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境界線の先の僕らにしか見えない隣人  作者: 伊勢海老
【第二章】赤い糸のおまじない
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第38話

ダイニングテーブルの上には差し入れた菓子が早速珈琲と共に用意されている。家主は包帯の巻かれていない方の手で好物のジャム入りマシュマロを摘まみ口に運ぶ事に夢中になっていた。


ここ数日あった事を佐倉から聞いた祐介は難しそうな顔をして腕を組んでいるが、菓子に喜び嬉しそうにニコニコとしている彼の笑みに緊張感が殺がれていくのを感じる。


「あのなぁ···」


いつも以上にいつも通りな彼に苛立ちを覚えた祐介は米神辺りを押さえて「落ち着け···落ち着け···」と自分に言い聞かせた。


「昨日から何も食べてなかったから助かった」


その様子を気にする事なく呑気に礼を言う彼に思わず大きな溜め息が漏れてしまう。

祐介は、そのままテーブルに肘を突き「そうかよ」と遠い目をした。


「それにしても、よく分からないな。麗奈の先輩の呪い自体はなくなったんだろ、なんでまだ変な現象が起きてるの?思いっきりとばっちり食ってるし」


本来呪詛は本体を見付けてしまうと破るのは簡単なのだと佐倉は答えた。

だから昔の人間達は呪った事がバレない様に振る舞い、呪符や呪具を巧妙に隠したのだ。


しかし、素人が行った現代のアレンジが施されている呪詛というものは何が起こるか分からない。


何が切っ掛けで伝染したのかはっきりした原因は分からないが、昨日何かに腕を引っ張られて車道に飛び出し、危うく轢かれるところだったと言うので佐倉も影響下にある事は確かだろう。フロアに漂う腐敗臭も恐らくその影響だと彼は考えている様だ。


板井の身近な人間が術者で、此方の動きに勘付いて呪詛を重ねて行っている可能性があると判断した佐倉は怪我を負った後、一日掛けて板井と連絡を取りながら術者を探していたが、彼の心当たりが多すぎて空振りに終わっていると言う。


「モテる男も辛いって訳ね」


自分には縁のない話だと、半ば呆れた様に肩を竦めて温くなった珈琲を啜る。

佐倉は祐介の言葉に目を見開きハッとすると口元に手をやり「そうか···その線は考えてなかった」とぶつぶつと呟いた。


「祐介の言った通りだな。確かに知恵は一人で絞るよりも二人で絞った方が良い」


思考に没頭していた彼は祐介と目を合わせるとニヤリと笑い「頼みたい事がある」と告げた。

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