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境界線の先の僕らにしか見えない隣人  作者: 伊勢海老
【第一章】徒歩15分のアパート
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第3話

「お邪魔します」


玄関の灯りを点けると祐介は佐倉を招き入れた。彼は早々に左から右にゆっくり視線をやると溜め息を吐く。

意味深な行動に祐介は何も言えず、ただ、ゴクリという喉の音だけが辺りに響いた。


ややあって佐倉は祐介と目を合わせると、へらりと笑い「わからん」と告げた。

緊張が一気に解け、膝の力が抜ける。


「何だよ、もー」


玄関先に座り込むと、喉元に詰まっていた息と同時に文句が出た。


「部屋がおかしいのは分かるんだが、本体になり得るモノが見えない。俺が見えるラインが違うか、条件があるか・・・」


口元に手を当て、ブツブツと仮説を立てる佐倉の足元に置かれた荷物を手持ちの物と纏めると、玄関からすぐのキッチンに置いておく。


何にせよ、夜も更けているので、遅くまで起きているのは健康、心霊現象、二重の意味で良くないだろう。


客用の布団なんて上等な物はないので、夏に向けて出していたタオルケットは自分用に、厚みのある掛け布団を彼に用意する。

買ってきたばかりの飲み物を二人分部屋の真ん中のローテーブルに置くとベッドに腰掛けた。


悪霊と意を決して闘うイメージをしていた為、日常の延長と変わらないやり取りに間が抜ける。


「佐倉が見えないって事は、やっぱり部屋に原因はないんじゃない?」


「それはないと思う」


さらりと告げると佐倉は出された飲み物に口をつけた。


「電気が点いてるのに独特の仄暗さがあるから、多分確定。今見えないのは俺とは接点が薄いからと見た」


彼なりにあれこれと考えたであろう結果が受け入れ難く苦く笑う。


「住んでる俺の出方次第って事ね」


「どっちに転ぶか分からないから、活発化する様なら引っ越しも考えた方が良い」


「マジか。苦学生には辛いなぁ・・・」


考えを纏めるやり取りを一通りし、お互いにシャワーを浴び就寝の準備を整える。


祐介はシャワーを何時もより短く済ませ、早々にベッドに横になり携帯のチェックを。

一方、佐倉は濡れた髪の毛を片手で乾かしながらアルコール除菌スプレーを取り出し部屋中に振り撒いた。


あまりに多く振り撒く為、部屋が汚いのかと不安を覚え問うと、「霊避け」という予想外の返答に困惑する。


「一説によると霊は湿度や菌と密接に考えられてる。除菌はネットで見た事があるだけだけど、アルコールが入ってて揮発性があるから理には敵ってる。此れで何も無くなるなら御の字」


「へぇー、流石。手近な物で対処の方法もあるんだね」


「俺の研究はこっちの方面にも掛かってるからな。唯、この方法は気休め程度だから、あまり期待するなよ」


それでもいい。最近、身の回りで起きている気味の悪い現象に強がってはいたが、正直なところ神経を使っていたのだ。


自分よりも知識を持っている佐倉を頼もしく思い安心したのか、珍しくぼんやりする時間もなく意識が途切れた。

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