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第三十三話 混浴お風呂同盟


 沐浴から帰ってきたルシアは純白のコットンシャツとスカートに着替えて、清楚なお嬢様みたいな格好になっていた。


 やはり、ルシアは白が似合うなぁ。断然、白だ。黒はパンツとブラジャーだけでいい。麦わら帽子とか被せたら、完璧ヒロインの誕生だ。


 純白の服に着替えたルシアに見とれていると、先に屋敷の中に入ったルリとハチが驚きの声を上げていた。


「ツクル様、えりゃー広い部屋ですわ。こんなに広う作っていいんですか? それに、おいら達の部屋もやたらと広いんだわ」


「ああ、多分ルリとハチは成長すると結構大きくなるからね。これくらいの広さがいると思うよ。それに子供が生まれたら、狭い部屋というわけもいかんだ……おふぅ」


 子供と聞いたルリが俺に体当たりをしてきた。意外に衝撃が強く、床に尻もちをつく。


「ツクルさんっ! こ、子供なんてまだ早いですよ。あたし達がまだ子供なんだからぁ」


「そうだがね。子供はおいらが一人前になってからだぎゃー」


 ハチも慌てているが、フェンリルとヘルハウンドの子供は何が生まれるのか、知りたい気持ちが強くなる。ヘルリルだろうか、フェンハウンドだろうか……いずれにせよ強い魔物であることは間違いと思われる。


 だが、二人がまだ幼い魔物であることは間違いないので、ゆっくりと見守ってあげた方が良さそうだ。


「すまん、すまん。二人が仲良くしているからな。子はまだかと先走ってしまったようだ。部屋はまだ殺風景だから欲しい物があれば教えてくれ」


 器用に身体で押してドアを開け、自分たちの部屋に入ったルリとハチが室内を見回っていた。


 その間にルシアを連れてキッチンスペースや寝室などを案内することにして、大きな玄関ドアを開けていく。


「ひゃあ!? えらいごっつい扉ですなぁ……ひゃああぁ!! 広い、広すぎやしまへんかぁ!!」


「とりあえず、ルリとハチが成長しても入れるように広めのリビングダイニングを作ったんだ。あいつらは大人になるとでっかくなるからなぁ」


「フェンリルさんとヘルハウンドさんですからなぁ……それにしても広いトコやわぁ……ああっ!! キッチンスペースまでっ!!」


 玄関の先にあった、だだっ広いリビングダイニングに二の足を踏む、ルシアだったがキッチンスペースを見つけると、すぐさま駆け寄っていった。


 やはり、ルシアが一番興味あるのはキッチンスペースのようだ。あそこはかなりこだわって作ったから、喜んでもらえると嬉しいな。


 キッチンスペースに入ったルシアが嬉しそうな顔で工夫して配置した水瓶や流し台、レンガのかまどを見て喜んでいた。


「ツクルにーはん……こないな立派なお台所を作ってくれてほんまにおおきに。こないに使いやすいお台所は初めてですわぁ……」


「あとは食材を保存する【冷蔵庫】とか作れるといいだけど、結構奥地に行かないと【氷結晶】が取れないからな……もう少し強くなったら、取りにいってみよう」


「ひやぁあ!? 【冷蔵庫】も作れるんですか。あら裕福な方しか持てへん高級品ですよ。そないな高級品まで自作できるだなんて……」


「ここはルシアのお城だからね。必要な物があったら、遠慮せずに言ってくれ」


「へぇ、大概の物は揃うたさかい、大丈夫です」


 ルシアは早速キッチンを自分用にカスタマイズするために、調理器具や食器の設置を始めていた。ルシアの専用スペースなので、下手にお手伝いするよりはお任せしてしまった方が良いだろう。


「あとは沐浴場の改装をしてくるから、お昼ご飯は期待しておくね」


「へぇ、任せておくれやすぅ~」


 ウキウキした顔で鍋や包丁を整えているルシアを横目に見ながら、勝手口から沐浴場へ向かった。


 沐浴場に着くと、早速目隠し用に積んだ土壁を撤去して、元々の小屋で使っていた【木の壁】を取り出す。


「ゆくゆくは温泉に変えるつもりだから、目隠しはやっぱ木の風情が大事だよな」


 手にした【木の壁】を外からの目線を遮るように設置していく。続いて洗い場の一部に屋根を付けて雨天でも使用ができるようにしておいた。


 これで、ルシアたんとウキウキお風呂大作戦への下準備が半分済んだな。あとは【溶岩燃料】と【シャボン】を手に入れて温泉を完成させれば、作戦発動準備完了だ。ぐへっへ、ルシアたんのお背中を流すのは俺の特権なのだ。ついでに手が滑ったふりでおっぱい触っちゃったりして……ぐへへ。


 妄想に浸っていると、ハチから声がかけられた。


「ツクル様……声が漏れてますがね。おいらもルリちゃんと一緒にお風呂ひゃーりてゃーけど、怒られるで我慢しとるですわ」


 ひゃぁ!? 声出てた!? 


 すぐさま逃げられないようにハチの頭をヘッドロックする。


「ハチ君、取引しようじゃないか。なに君にとっても利益になる取引さ」


「ツクル様、痛いですって。言う事は聞きますで、放いてちょー」

 

 ヘッドロックから抜け出ようと足を踏ん張るハチに囁きかける。


「今聞いたことをルシアに黙っておいてくれるなら、温泉ができたあかつきにはルリとの混浴をセッティングしようではないか。どうだい、悪い話ではないだろう?」


 ヘッドロックから抜け出そうとしていたハチの動きが止まった。


 しめた。ハチの興味を引いたぞ。なんとか言いくるめて、ルシアたんとのウキウキお風呂大作戦の漏洩を阻止しなければ。


「……本当きゃー?」


「俺は嘘をつかない。さっき聞いたことを黙ってくれたら、ルリとの混浴をプレゼントしよう。男同士の約束だ」


 しばらく、ハチは考え込んでいたが、奴も男だった。男というのは煩悩に抗えないように神が作りたもうたに違いない。


「分かったルシア様には内緒にしとくで、温泉できたらルリちゃんとの件はよろしゅう頼みます」


 交渉成立だ。男であるハチに混浴という餌を投げ与えれば、抗えるはずがなかった。

 

「任された。ハチもくれぐれもよろしく頼むぞ。これには男のロマンがかかっているのだから」


 ガッチリとハチの前足を握る。


「お任せくだせゃー。ツクル様の夢はおいらの夢です。かならず、成就させるだぎゃー」


 こうして、俺とハチとの間に『混浴お風呂同盟』が発足し、ウキウキお風呂大作戦の成就に向けて結束を高めることに成功した。


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