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第二十五話 ルリとハチ

 家に帰りつくと、ルリとハチは驚いていた。何もない荒れ地の中にいきなり土の防壁で囲まれ水堀まで完備している城塞のような場所があったからだ。


「あの……まさかとは思いますけど、ここが全部ツクルさんとルシアさんの家というわけではありませんよね?」


「ルリちゃん、いくらなんでもそれはにゃーでしょう。ちょっとした村くりゃーの広さはあるでさ。きっと、休憩に寄っただけだわ」


 ルリとハチはここが、俺達のマイホームだと認識をしていないようだ。寝泊まりできる小屋こそみすぼらしいが、外側の防壁はそこいらの村よりもずっと堅牢にこさえてある。素材が集まったら石垣にバージョンアップさせる予定もあるが、今のところは土の壁だ。小屋の改修を終えたら、防壁の手直しとトラップ類の設置を考えており、防壁にたどり着く前に雑魚魔物の生命活動が終わるトラップの設置を予定だ。


「すまんが、ここが俺達の家だ。門構えは立派だが、中はみすぼらしいままなんでな。ガッカリしないでおいでくれ」


 目指すべき場所だと聞かされたルリとハチが焦っている様子が手に取るように分かる。


「……ハ、ハチちゃん……こ、これは凄い人のお家で番犬しないといけないことになったかも……」


「ル、ルリちゃん……おいら達だけでお仕事せなあかんのだわ。おいら、めちゃくちゃに頑張って、ツクル様に褒めてもらって、ルリちゃんにちゃんとご飯食べさせてあげるがね。見とってちょー」


 ハチは尻尾をパタパタ振ってやる気を十分に見せていた。男として、嫁となるルリちゃんを食べさせていく決意が固まったものと思われる。


 その意気だ。同じ男として俺も応援させてもらうぞ。


「番犬って言うたって、魔物もそないに寄ってこうへんし、平和なところだから、気負わんとしはったらええわ~」


「ルシアの言う通りだ。とりあえず、ハチとルリには素材集めと魔物討伐を助けてもらえるとありがたい。なに、俺がついてるから大丈夫。すぐに強くなるさ」


 とりあえず、二人には俺がビルダーだと言うことはまだ伝えていなかった。魔物討伐を手伝って欲しいと言われた二人の顔が不安そうに曇っている。


「おいら達だと角ウサギくりゃーしか狩れんとおもうんだけど……」


「まぁ、大丈夫だ。とりあえず、今日はルシアが腕を振るってくれる夕食を食べて英気を養ってくれよ」


 ハチの背中をパンパンと叩きながら、木の扉を開き、中に入っていった。



 帰宅するとルシアは夕食の準備を始めたので、俺はハチとルリの身体を綺麗にすることにした。とりあえず、泥と砂が凄いので沐浴用の洗い場は断念して、飲料用の水場からバケツで水を汲みハチの身体かけると丁寧に泥と砂を落としていった。


「はくしょいっ! ツクル様……どえりゃー冷てゃーんですけど……やっぱり、泥と砂は落とさなあかんですかね?」


「小屋の中を泥と砂まみれにするとルシアが掃除しないといけなくなるからな。我慢してくれ。ルリも冷たいが我慢してくれよ。なに、後でそこの焚き火に当たればいいさ」


 今度はルリに水をかけると毛についた泥と砂を洗い落としていく。二人とも泥と砂の大半が落ち、ハチは黒い毛、ルリは白い毛だったことが判明していた。大半が落ちた所で仕上げにすすぎ水を二人にかける。


「ひゃぅ……冷たいです。ツクルさん、あたし我慢しますから、ザバッとやってください。はぅううっん! 冷たいぃい」


 水に濡れた二人が毛についた水を飛ばそうと身体をブルブルと震わせていた。そして、泥の混じった水が俺の顔を直撃する。


「ぶへぇ! ぺっ! ぺっ! こらこら、二人とも泥を飛ばさないでくれ」


「そー言われても、寒うてかなわんだわ。ルリちゃん、とりあえず、焚き火の前にいこみゃー」


「……ううぅ、そうね。あたし、冷え性だから我慢できないわ。ハチちゃん。身体寄せていい?」


「そんなのええにきまっとるじゃにゃーか。遠慮なんかせんでいいがや。おいらとルリちゃんの仲でしょー」


 見ているこっちが赤面しそうなほどのイチャつきを見せてくれるルリとハチだが、落ち着いたら二人のなれそめを聞かしてもらうことにしよう。


「……大好きだよ。ハチちゃん」


「そんなん、おいらもだがや」


 ヘルハウンドとフェンリルが焚き火の前でイチャイチャして身体を寄せ合っていた。転生前なら、茶々を入れたところだが、ルシアと共に暮らすようになった今の俺にはハチの気持ちが痛いほど分かるので、後は二人に任せてそっと作業台に移動した。

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