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第二十話 伝説のイベント


 流血の大惨事でぶっ倒れた後、気が付くと小屋に運び込まれていたようで、ルシアに膝枕の上で目覚めていた。


 さすが、ルシアだ。膝の柔らかさといい、頭のフィット感といい、俺にピッタリ仕様。そして見上げると大きな二つの頂が下から眺められるという絶景。ここは天国か。


「ひゃあっ!! よかったぁ。急に倒れられたから、ビックリしてしもたんよ~」


 革のワンピースに着替えたルシアが覗き込むように心配そうな顔を見せていた。


「あ、ああ。なんだか、凄い迷惑をかけてしまったようだね。けど、とてもいいものを見せて貰えた……オフゥ」


 ルシアの拳がポコポコとお腹にヒットしていた。だが、痛くはない。むしろ心地よい程度の刺激に過ぎなかった。


 これが伝説の膝枕イベントという奴か……やっぱり、覗きイベントを発生させないで正解だったな。リア充、へへっ、最高じゃねえか。


「忘れておくれやす~。ニヤニヤしちゃあきまへん~。ツクルにーはんのいけず~」


 恥ずかしがるルシアたんはやっぱりカワイイ。この可愛さに俺はもうメロメロの骨抜きにされてしまっているのだ。カワイイは正義教に入信してバリバリの信者となった俺に敵はいない。ルシアさえいれば、この転生先でも生き抜いていける自信がある。


「残念ながら、俺のルシアメモリーの中に永久保存されております」


 すぐさま、脳内に先程のルシアの下着姿が浮かび上がってくる。まさにこの世の天使そのものの姿に、脳から幸せを感じる脳内物質がダバダバと溢れ出していた。


「ひゃあぁ。ホンマに堪忍やわぁ~。恥ずかしわ~」


 ルシアのポコポコパンチが今度は頭にヒットしている。ちょうど、マッサージ程度の刺激なので心地よかった。


 はっ! しまった。ルシアとイチャイチャして忘れていたけど、まだ畑に水を撒いてなかったな。それに開墾中に見つけた【サツマ芋】と【ジャガイモ】の植え付けも終わってなかった。だが、ルシアの柔らかな膝枕と頭部マッサージは非常に捨てがたい。もしかしたら、二度と味わえない感触かもしれない。


 どうするか悩んでいると、不意にルシアの頭部マッサージが止まった。


「ツクルにーはん、うち、そろそろお昼ご飯の準備をせんとあかんのやわ。もうちょっと膝枕してあげたいけどなぁ……」


 ルシアとイチャイチャしていたら、いつの間にか昼近くの時間になっており、困った顔でこちらを覗き込んでいる。膝枕された位置からルシアを見上げると、凶悪な二つの頂きが嫌でも存在をアピールしてきていた。


 ……とりあえず、今度俺がレベルアップしたらルシアに膝枕をねだってみよう。これは至極の癒し空間だ。


 ルシアが困っていそうなので、昼食ができるまでに畑に水を撒き終えて、種芋を植え、午後からの【綿の花】と【羽毛】ゲットに向けた南側の低湿地地帯への素材取集ツアーに備えた武器のパワーアップをしておくことにした。


「……ありがとう。ルシアのおかげでやる気は満タンだっ!」


 起き上がるついでにルシアのおでこに軽く接吻をしていく。


「ひゃあぁ!? んもうー! ツクルにーはん、不意打ちは卑怯や~。しはるなら、しはると言うてやぁ~」


「ごめん、ごめん。つい、したくなった。今度からはちゃんと言うよ」


「ツクルにーはんのいけず~」


 真っ赤になっているルシアの頭をポンポンと軽く叩く。本当にカワイイ。


「そうだ。調理道具も新しいの作ったから使ってくれるとありがたい。チューの謝罪の品だから遠慮なく受け取って」


「ひゃあぁ!? 銅製の器具。普通に買うと、えろう高くつく品ですから、欲しくても買えなかった品物なんですわ……ホンマに使ってええん?」


 新しい調理器具をもらったルシアが道具の品定めをしながら、こちらをチラチラと覗き見ている。本当にもらっていいのか迷っているようだ。


「どうぞ。道具は腕を持った人に使ってもらった方がいいからね」


「もっと美味しい物つくれるように頑張りますぅ」


 調理道具一式を手にしたルシアが、憧れの道具に目をキラキラとさせていた。


 これで、更にルシアの料理が美味しくなるのは間違いないな。調味料や食材がそろってきたらルシアの食事はどれだけ美味しくなっていくのであろうか……イカン、涎が……。


 ルシアの昼食を想像して、垂れそうになった涎を飲み込み小屋を後にして作業に戻っていった。


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