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第十一話 鉱石掘り

 素材収集の準備を終えた俺達は、小屋から北に一キロ程度進んだ場所にある鉱山地帯にまで足を延ばしていた。


 この場所は序盤で採掘できる唯一の鉱山地帯で、量こそ多くないものの、【鉄鉱石】と【銅鉱石】が手に入れられる場所だった。鉱石が山肌に見えているちょうどいい小山を見つけたので、周囲に魔物がいないことを確認してから、ルシアを麓に待たせて山を登る。


 一〇メートル程度の高さの山の頂上に立つと、地面を【石のつるはし】でぶっ叩く。一叩きで一メートル四方が掘られて土ブロックや粘土ブロック、砂礫ブロックなどに変化していく。その内、鉱石や石炭の層に当たり、【鉄鉱石】、【銅鉱石】、【石炭】も素材化してきて、辺りにブロックが散乱しはじめる。


 頂上から順番に採掘をしていく露天掘りだが、掘った物は重さのないブロックに変化するため、土砂を棄てる手間が無い。


 そのため、小山の採掘は異常なスピードで進んでいく、一〇メートル級の小山を採掘しつくすのに一時間足らずで完了していた。


 これも、【石のつるはし】を大量に準備していたおかげで、採掘の効率が高まっていたからだ。


 その作業を見ていた現地人であるルシアが、またまた呆気に取られていた。


「ふぅ……一山削り終わったね。【鉄鉱石】と【銅鉱石】がかなり手に入ったよ。あと、【石炭】も。これで、鉄製の武器や道具。銅製の鍋釜や食器が作成できるようになったね」

「相変わらず、ツクルにーはんの作業は魔法みたいな感じどすなぁ~。小山とはいえ、これだけの規模の山を掘り返そうとしたら、ぎょうさんの人手がいるんやからねぇ~。さすがビルダー様やねぇ~」


 採掘を終えて戻ってきたが、ルシアは見事に消え失せた小山のあった位置を見て感心している様子だった。

  

 実は採掘中に貴石の一つである【ルビー】も一緒に採掘されていたので、銅製の台座にルビーをあしらったネックレスを密かに制作して、ルシアにサプライズのプレゼントをしようと画策していた。


 このルビーでペンダント作ってプレゼントしたら、『ツクルにーはん、素敵。抱いてくれますか』とか、言われちゃったりして……グフフ、グフフ。


 そのあとは大人な時間を……グフフ、グフ、グフフ。


「ツクルにーはん? どないかされましたかぁ?」


 やましい気持ちが前面に出てしまったようで、いつの間にか含み笑いをしてしまった。その姿を不思議に思ったルシアが声をかけてきていた。


「ん? ああ、大丈夫だ。思ったより多くの鉱石が手に入ったからね。嬉しかったのさ」


「そうどしたかぁ……」


「さて、鉱石は手に入れたから、夕食の食材調達とルシアのご希望品である調味料を探しにいくか」


「【塩】だけだと味の幅が余りないですからね~。それに、甘いモンをこしらえるには砂糖も欲しいところですなぁ」


「甘い物かぁ。俺も甘党だし、まず砂糖を手に入れようか……確か、もう少し北にテンサイ草の自生している所があったなぁ。そこには、毛長牛がいるけど、火属性に弱いからルシアの魔術で倒せそうだし、行ってみようか」


「今晩は『牛のお肉』ステーキ食べられそうどすなぁ。うち、張り切って魔物退治しますわぁ!」


 採掘では役に立てなかったと思っているルシアが、杖をブンブンと振り回して魔物を倒すアピールをしていた。


「ルシア大先生の魔術に大変期待しておりますので、よろしくお願いしますよ」


 採掘を終えて日が暮れる前に夕食と調味料素材を手に入れるため、俺達は更に北ある草原地帯へと歩いていくことにした。


 鉱山地帯から更に三〇分ほど北に歩くと、なだらかな草原地帯が続く場所となった。


ここにくる途中に山椒の実が自生していたため、木槌で叩くと【粉山椒】に変化していた。ルシア曰く山椒は爽やかな辛味を与えてくれるようで香りも強く、食材の旨さを引き立てる名わき役として重宝されている調味料だそうだ。


 日本にいた時は、小さい頃からコンビニ弁当と冷凍食品で育ってきているので、山椒といわれてもピンとこない調味料だった。


 だが、料理番のルシアが喜んでいるなら、大層料理を美味しくできる調味料なのだろう。


調味料が揃えば、ルシアの腕で料理が更に美味くなるとのことなので、調味料は見つけ次第、素材化させて持ち帰るつもりだった。

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