第百二話 最強戦力イルファ&タマ
奥地に入ると目的の内の鎧犀が一頭見つかった。この鎧犀のドロップする【鎧皮】は武具の性能を引き上げる【エンチャント装置】で作れる【鎧珠】というものの素材となり、それを使うと通常生成した防具をより強固な鎧にパワーアップできるものであった。
すでに【エンチャント装置】は作成済みであり、各種のエンチャント素材として必要となる素材を求めて、この百獣平原に足を運んでいるため、逃がす訳にいかなかった。
「ツクル様、アタシ等に任せてくれんね」
イルファとタマが手持ち無沙汰をかこっていたので、鎧犀を狩りたいと申し出てきていた。LV的な強さで行けば二人で十分に狩れる強さを持っていたので、二人にお任せすることにした。
「いいよ。イルファとタマに任せた」
イルファがグルグルと槍を回して草を食んでいる鎧犀に近寄っていく。そして、気配を察した鎧犀が戦闘態勢に移行していく。戦闘態勢に入った鎧犀の滑らかだった表面からは鋭く尖った突起いくつも突き出し、びっしりと棘に覆われていた。
「あらまぁ、鎧犀はんは、えろうトンガリはったねぇ。イルファはんとタマちゃんは大丈夫かしら?」
ルシアが心配そうに二人を見ているが、すでに俺よりも戦闘力が高い二人組なので、苦戦することは無いはずだ。
「大丈夫さ。我が家の最強戦力だからね。あの二人は」
棘を全身に生やして突進してきた鎧犀から、棘がイルファ達に向けて無数に打ち放たれていく。弾幕のような棘の量にもイルファ達はたじろぎもせず、イルファが槍を回転させて迫りくる棘を次々に叩き落していた。棘を叩き落された鎧犀は怒りの表情を見せてイルファ達に突っ込んでいく。しかし、イルファは一歩も動かずに棘を撃ち落とし終えると、槍の石突を鎧犀に向けて突き出した。
ドゥンという鈍い音が響いたかと思うと、石突に脳天を打ち抜かれた鎧犀が頭部を無くしてドサリと地面に倒れた。最近、タマが能力強化の補助系魔術書を強請ってきたので、作ってやったのだが、その魔術をイルファに掛けてやったらしい。結果として、最強戦力が更にパワーアップすることになっていた。
これで竜化とかしたら、イルファはとんでもない強さになるんじゃなかろうか……。味方で良かったぜ。
鎧犀を一撃で葬ったイルファの成長ぶりに、恐れを感じながらも頼もしさも感じており、次の修練のダンジョンでは大いに活躍してくれるであろうと思った。
「さすが、イルファだね。オレの盾役として仕事はほぼ無くなったようだ。俺はサポート役に転職だな」
「そうですなぁ、イルファはんはえらく強くなられたようで……」
ルシアもイルファの強さを目の当たりにしてビックリしている様子だった。新たに現れた鬼人猿の群れに対しては、殴りかかってきた数十体の鬼人猿を見事な槍さばきでいなして、次々に正確に喉を刺し貫いて姿を見ていると、元がポンコツだったとは思えないほどの達人ぶりを発揮している。数十対一の戦いをしているはずなのに、苦戦の『く』の字も見せずに戦うイルファのおっぱいでは、落とされないようにタマがしっかりと踏ん張っていた。さすがのコンビネーションである。すでに一心同体と言っても過言ではなかった。
目下の所、俺の仕事はイルファ達が倒した鎧犀や鬼人猿のドロップ品を集める事しかなかった。【鎧皮】、【鬼人猿の尻尾】、【鬼人猿の牙】、【鬼人猿の爪】を拾い集めていく。
鬼人猿は攻撃力を上げる薬の材料になったりする素材や、武器の攻撃力を上昇させる中間素材を作るのに必要な素材なので、いくらあっても困らない。イルファが鬼人猿を挑発すると、鬼人猿雄たけびをあげて仲間を呼び集めていたが、集まってきた鬼人猿はイルファに蹴散らされて死骸に変えられていった。
恐るべき、殺戮機械とも言うべきイルファとタマの強さに鬼人猿達も恐れをなして逃げ散っていた。
「ワシ達の相手ではなかったニャ。ワシとイルファがコンビを組めば世界最強のコンビと言ってもいいニャ」
タマがイルファのおっぱいに埋もれながらご満悦な顔をしていた。すっかりとあの位置がタマの定位置となっていた。そんな二人を見ていた俺の頭をピヨちゃんが小突いてきた。
どうも、あの二人が最強だと言うのが、気になったようで、ルシアの事を俺に任せて自分も存分に戦ってみたいらしい。
「あら、ピヨちゃんもついに戦う気になりましたか? なら、うちも応援せんといかんねぇ」
ピヨ、ピイヨ。
ルシアの援護を断ったピヨちゃんが一人で百獣平原の敵を探し始めた。
第二回ツギクル大賞を受賞することができました。書籍化に向けて改稿を作業を始めております。
書籍版の発売時期は未定ですが、正式に決まり次第、活動報告やツイッターにてご報告させてもらいます。
ルシアやイルファ、ピヨちゃんルリ、ハチにイラストが付くぜw
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