神との誓い
「へ…?ここは…?」
いつも通り21にもなったの俺だが実家に居座り飯を食べては自室にこもり、PCを触りアニメを見たりフリーゲームを落として暇を潰して眠くなれば寝る。そんな生活を送り続けていた。
それで俺はいつも通り布団の上で寝ていた筈だ…なのにここはどこだ?
朝起きて目を開けるとだだっ広い真っ白な空間にポツリと1人立っていた。何もかもがおかしい…
「のうお主…全てはお主のせいなのじゃが…今の生活、生き方、全てを変えたいと思って居るんじゃよな?」
「ひっ!!」
そんな事を考えて居るといきなり真後ろの、しかもかなり近い距離から老人の声が聞こえて来て、ビクッと身体を跳ねさせ後ろに振り向くと見知らぬ老人がこちらをじっと見つめていた。
「ふむ。まぁ驚くじゃろうなぁ。いきなりこんな状況に置かれれば普通の人間ならそりゃ混乱もするわい!かっかっかっ!」
「あの…すみません…ちょっと状況が理解出来ないのですが…」
「おおっ。それはすまんの。まぁ取り敢えずは説明から入るからの。ちょっと長くなるが聞いとくれ。」
高笑いをしながら楽しそうに話す老人に素直に意味が分からないと伝えると、説明をしてもらえる様で話しを聞きに入る
「まずはお主の状況からじゃが、簡単に言えばお主が色々な事を後悔しておる。それが本当にたまたまじゃが儂が見つけての。魂を見て見ると何故だかこの儂が惹かれる様な…何かが普通とは違う魂じゃったんじゃよ。」
「へ?魂?」
「そうじゃ。それでどうしても好奇心が抑えられなくてな。今のお主が望んでいる新しい人生。それを与えて見たらどう化けて見せてくれるのか。それが気になってここに呼び出したんじゃよ」
はっきり言って老人が言ってる事は分かるが意味が分からない。まずここがどこだかも分からないし、寝てる間にこんな場所に連れてこられて起きない筈が無い。
「分かっておる。この場所も今説明するから焦るで無い。」
「へ…?」
俺は何も口には出していない。なのに何故老人は俺の質問を当てたんだ?何なんだよこれは…!
「まず儂は神と言われる存在じゃな。まぁ信じられないじゃろうが話してれば分かる。現にこうやってお主の心を読んだしのぉ?」
「っ…!はいっ…」
「それでここは儂が作った空間じゃ。信じてるかは分からんが儂が神ならそれ位は出来るじゃろ?そこに呼び出したって訳じゃ」
は?神?かみっ…て神様?いやいやいや!あり得ないだろ!
…けど実際考えてる事まで当てられたし…取り敢えず話しを聞いてみるか…
「…それで貴方が本当に神様だとして…そのさっき言っていた第二の人生って言うのはどういう意味ですか?」
「おぉ!それじゃがの!お主の望み通り新たな人生を言葉のまま与えようと思っての!簡単に言えば儂が干渉出来るもう1つの世界で暮らしてみんか?…まぁ見た目などは変わるがお主がイメージした通りの見た目にしてやるからの!」
は…?何を言ってんだこいつ…て!ダメだ!この爺さん人の心読むんだったな!なら猫被ってもダメだな…。まぁ良いか、普通に話すとしよう。
「…まぁ神様が新しい人生をくれると言うなら、絶対そのチャンス掴みますよ。それに見た目も自由とか最高ですしね。それで…その世界はどんな世界なんですか?」
「まぁ転生を受け入れるのも分かっておったが…ここまで返事が早いと驚くのう…」
「とりあえずその世界を教えて貰えませんか?」
「そう急かすでない。本当に簡単に分かりやすく言えばお主が知っておる、ファンタジー世界じゃの。獣人、魔族、人間、龍や魔王も居るのぉ。」
うぉぉ!ファンタジー世界に転生とか…!既にワクワクなんだが!って…待てよ。それ行った瞬間魔物や盗賊に襲われて死ぬんじゃないか?
「大丈夫じゃ。ある程度は身体も強く作り変えて加護も与えるからの。レベル等も有るからお主の頑張り次第では世界最強にもなれるぞ?」
「さらっと心読んで答えないで下さいよ!まぁそれなら安心ですね。言葉なども話せる様にしてもらえるんですよね?」
「もちろんじゃ。まぁこの位は情報を与えたが後は自分自身で世界を知り、お主の後悔しない人生を掴んで行け。あっちの世界の人間だって何もかもを最初から知っておるわけじゃ無いからのぉ」
こいつ無責任過ぎだろ!…けど確かに神様の言う事も確かだな…最初から全てを知ってるんじゃあ楽しくも何ともないからな。
どんな場所でも次が有るなら…絶対に楽しく、後悔しない生き方をするって決めてたしな…
「ふむ。もう心は決まっておる様じゃな。なら後はお主の姿を決めるだけじゃ。決めたら直ぐに作り変えて飛ばしてやるからの。」
「いえ…見た目は既に決まってます。また心を読んでもらえますか?」
「速すぎじゃろ!…まぁ儂としては構わぬが…」
神様が脳内のイメージまで読み取る為に俺の頭に手を翳したので、目を瞑り、より強く頭の中のイメージを強める。
イメージしているのは異世界なので成人がこちらの世界より早い可能性が有るので、年齢は15歳、身長が低く見た目は明るい茶髪に大きなクリッとした目で何方かと言うと可愛らしい顔つきの少年だ。
「ふむ…もう変わったぞい。」
「はやっ!!って本当だ!!」
神様に直ぐに声をかけられ目を開けると目線が低くなって、手を見ると小さくスベスベの真っ白になってる!あれ?声も少し高くなったかな?
「ふむ。もう飛ばすぞい?お主は前の世界に未練なんかない様じゃし…何もかもを先に教えてはつまらんからの。」
「え?いくら何でも早すぎませんか!?」
「うるさいのぉ…!後はお主自身の力で世界を知り、人生を変えてゆけ!」
「…分かりました!これでも神様は僕に…本当に望んでやまなかった第二の人生を与えてくれましたし…神様に誓います。僕は神様から与えられたこの第二の人生で…神様すら驚く様な人生を送ります!」
神様はちょっと厳しい感じもするけど、やっぱり何もかも上手くいかなくなった人生を変えてくれた神様だし…チャンスをくれたしな!
俺は神様にしっかりと宣言をして旅立つ覚悟を決める。
「かっかっかっ!良く言った!最後にあちらに言ったらステータスと念じれば儂が授けた加護と身体能力、レベルが見れるからの!たまにお主を見させてもらうから…しっかりと今度こそは良い人生を送るんじゃぞ!」
「はいっ…!ありがとうございま…!!」
心底嬉しそうに笑った神様は別れの言葉と応援をくれて、お礼を言おうとすると、フッと一瞬目の前が真っ暗になった。
あの神様!礼ぐらい言わせろぉ!