最後の大会
僕はフェイントを入れて前線へと飛び出していく、そこにタイミングを合わせたようにトップ下の宏くんから僕へとパスが通る。
応援席から期待の応援と悲鳴の絶叫が聞こえる。
スコアは0-1、ロスタイムが何分か過ぎてるからこれがきっと最後のワンプレーになるだろう。
横から相手がスライディングしてくるけど躱す、するとキーパーと1対1だ、僕は思いっ切り右足を振り抜いた。
ゲーム終了のホイッスルが鳴り響くと同時に相手チームと応援席から歓喜の声が聞えた。
ちぎれた雲が流れていく空を見上げながら僕は大きくため息をついた。
今日は小学生サッカークラブ選手権大会の地方予選決勝だったのだ。
僕が所属するチーム〈 高山ワンダーズSC 〉は地方でも優秀なサッカークラブで去年、僕が小学5年生の時は県大会で準優勝した事もあるクラブチームだ。
今年は準決勝でライバルチームである〈鷹目スポーツSC 〉を2-1とギリギリで勝って優勝は確実だと思っていた。
なのに練習試合では1度も負けたことのない〈 亀の子サッカーズ〉に後半に先制されてそのまま負けてしまった。
コーチは
「みんな頑張ってたからカッコよかったよ」
と言うけど小学生最後の大会で負けてしまった事が悔しいから慰めてもらっても全然気持ちは晴れなかった。
最後のシーンでの決定機で見事にふかした僕のせいでチームは負けてしまったのだから尚更だ。
暗い気分のままクラブチームのミーティングが終わると僕を含めた6年生全員でバーベキューをして僕達は最後のクラブチームの練習を終えた。
サッカークラブでの最後の大会が終わってから数ヶ月後に僕らは卒業式を迎え、地元の中学へと進む人と私立中学受験を目指す人とに別れる。
僕は地元の日野出中学ではなく、春から強豪サッカー部がある富士岡中学校へと入学する。
富士岡中学校は最近こそ全国大会から退いているが6年前の世代では全国大会決勝トーナメントで道北中学校に敗れるまでは無敗を誇っていた。
またそれほどきつい進学校でもないので強豪サッカー部に入部するために勉強していた僕は評定が良かったので学校推薦で入学することが出来た。
僕は卒業式の写真撮影のときに日野出中学校に進学するクラブのチームメイトと大会での再会を誓うと地元である福岡県から愛知県へと引越した。
僕の名前は高崎真司、ポジションはFWで長所はチーム1の足の速さだ。
思いつきと若干の経験で書き始めたの多少設定がおかしいかもしれないですが多めに見て頂けたらと思います。