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しごとはじめ

 生徒会室にて、俺はスライドショーを作成していた。


「そろそろ終わりそう?☆」


「もう少しだけ待って」


 急かされても終わらないものは終わらない。


 先日、生徒会の中に入りクラスの実行委員を超えた、より積極的な文化祭の仕事に携わることを了承をしたのはいいが、佐藤芳佳から頼まれていた地域研究部の出し物の作成も進める必要はあった。


 とりあえずの突貫工事。出来合いの物とは言え、これがないと部費がもらえないので意外と必死だったりする。


「おっけー」


 小鞠こまりは短めのスカートをヒラリと翻し、時流じりゅうのもとへ戻っていった。


「キラキラしてるねえ」


 後ろ姿を眺めながらしみじみと言葉を漏らすのは一ノ木だ。


「まさか一ノ木さんまで声をかけられてるとは思わなかった」


「その言葉、そのままかえすよ」


 ニコニコしながら一ノ木さんは答えた。


「一ノ木君は時流君からの推薦でな」


 そのやり取りを聞いていた桜城おうじょうが声をかけてきた。相変わらず18歳とは思えない落ち着きである。相変わらず(身長が)デカい生徒会長だ。


「ちなみ僕は誰からの推薦です?」


 聞かなくてもいいことではあるが、ちょっと興味がある。もし時流や小鞠ならこのままハーレム展開も―――。


「俺だ」


 お前かよ。気分は悪くないけど、そこはハーレム展開の芽を摘まないでいただきたかった。


「おやあ? なんか不服そうだねえ?」


 メガネの奥にいたずらっ子ような目が見え隠れする。なるほど。そういうことか。


「ほらほら、後輩をいじめない」


 時流が割って入って来た。こんなやり取りをしてるから桜城には『ドS』という噂が経つのだろう。男から受けるS的なカラミは、残念ながら俺のMの性癖には響かない。


「いじめてないさ。いつかは生徒会に入ってもらいたいという思いもあって声をかけたのに」


「あら、そうでしたのね。会長の姿が不思議と小さな男の子に見えたもので、てっきりいつものからかい癖が出たものと」


「ちょ……俺にはからかい癖なんて……そんな子供じみたこと……いつも言ってるだろう!」


 なんだか夫婦みたいなやりとりが続いている。隣で見ているはがねがパソコンを打つ手を止め、やれやれという表情をしていた。そして小鞠はお腹を抱えてゲラゲラと笑っている。


 外から見るお堅いイメージとは裏腹に、意外と和気あいあいとした仲の良い生徒会なんだなと思った。これなら気疲れするようなこともなく仕事を出来そうだ。


 ふと、一ノ木が小声で話しかけてきた。


「私達も、仲良く、頑張ろうね」


 甘い吐息が耳にかかる。こそばゆい。あーダメですダメです。えっちすぎます。耳元でそんな言葉をかけられたら―――。せっかく作った資料を上書きするのを忘れてしまいます。


 と、とりあえず準備を含めて楽しそうな文化祭になりそうな予感がしてきた。

読んでいただきありがとうございます。

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