生徒会室にて
広々した部屋に高そうな木製の机と革製のソファ。その机の上には『生徒会長』と書かれたプレートが、威厳を放ちながら置かれている。
「すごい部屋ですね」
「生徒会に入ってみたくなった☆?」
小鞠はソファに腰かけ、僕にも座るように促している。部室棟から連れ出された僕は、無理やりに近い形でこの生徒会室に連れてこられたのだった。とりあえず促されるままソファに腰かける。
しみじみと小鞠の顔を見る。なんというロリロリしい顔なのだろう。ファンが多いのも頷ける。いわゆる愛されフェイスというやつだ。
「昨日の会議はお疲れ様☆ 色々意見言ってくれて助かったよ。レン君一年生だよね? 一年生であそこまでしっかり意見が言えるのは凄いことだよ!」
「ありがとうございます」
元々30代半ばのおっさんですとは流石に口が裂けても言えないし、残念ながら言っても信じてもらうことは不可能だろう。ふと見ると、部屋の奥から、同じく副会長である時流が現れた。
「こんにちは」
どうやら紅茶を淹れてくれたらしい。なんて気品のあるティーカップだ。特徴的な金髪は風もないのになびいている(ようにみえる)。会議の時とは違って、とても穏やかな表情をしている。
「こんにちは。会議の時はうるさくしてしまって申し訳なかったです」
「そうね、私語は駄目よ」
表情は穏やかなのに、ナイフのような、エッジの効いた返しにゾクゾクしそうになる。だから変なスイッチを押すのを止めていただきたい。もしかしたらこの副会長と僕は相性がいいのだろうか。
「それはそれとして―――今日はありがとうございます。ごめんなさいね、突然呼びつけてしまって」
「ありがとねっ☆」
美麗&最高ランクかわいい女子二人に感謝され、頭を下げられるシチュエーションなんて、人生で未だかつてあっただろうか?
「なんなんですか一体? 本当びっくりしましたよ。部活の途中だっていうのに」
喜びを抑えつつ、一応迷惑がっている振りをしないとおっさんとしての威厳が保てない。ここは強気に出ていいはずだ。
「ごめんなさい」
「ごめんね……★……」
申し訳なさそうな二人を見て、ちょっと強く言い過ぎたなと後悔した。好感度が急降下している可能性が高い。
昔流行ったツンデレとはこんな感覚なのかもしれない。喜びを隠したい、でも相手より有利でいたい、そして言葉の選択が強くなる。この要件を満たした時、人はツンデレのツン状態に至る。
「すいません、少し言い過ぎました。それで用事と言うのはなんでしょうか?」
僕は別にツンデレでもなんでもないので、さっさと謝って話を進める。デレはない。そして好感度は無事だろうか。
「実は―――生徒会の仕事を手伝って欲しいの」
「もちろん文化祭に関わる部分だけのお願いだけどね☆」
まさかの申し出である。なんとまあ面倒な展開になりそうなことで。困ったなと言う気持ちが表情に出ないよう抑えつつ、紅茶を一口飲んだ。あ、うまいねこの紅茶。
さてどうしたものか。
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