議案:ステージの開催について
会議室には重い空気が漂っている。ドS生徒会長の桜城 翡翠の質問に誰も答えることができていない。まあ自分はこの空気感を楽しんでいるが。
よく考えれば答えはそんなに難しくない。僕が良いと感じた学生らしいステージの適当感は、先生共からみたら面白くないはずだ。この学校は文化部のレベルが高いこともあり、高いレベルの出し物は、お金を取れるレベルと言っても過言ではない。
その中に、言ってしまえば佐藤芳佳のような、遊び半分の思い出作りの物が混じってしまっている。
「一部だけど、お遊びというか、レベルが低い演者がいる」
僕は手を上げ言った。いつまでも重苦しい雰囲気にしていてもしょうがない。
桜城の表情が緩むのが分かった。
「正解だ。楽しいのはいいと思うのだが、やはり頑張って準備をしてきた生徒と、お遊びで参加する生徒を同じ舞台には立たせたくはないという意見が先生たちの中に多かったようだ」
なるほど。そういう理由か。
「それでは、今回からは文化部のみの参加になると?」
「そこまでは決まっていない。この要望が通れば、やり方までは口を出さないとのことだ。そうだろ? 小鞠君?」
「そうだね☆ 先生にしっかりお願いしたよ」
副会長の小鞠が大きく頷いた。それを確認した桜城は時流に目配せをした。
「そういう訳ですので、もしステージについていい案がありましたら、ぜひ皆さんにご意見をいただければと思います」
時流が再び進行を始めた。
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「という訳なのよ」
翌日、部室にみんなに集まってもらい、昨日の説明をした。樹木は『コンデンドー nicchi』で遊んでいる。有機ELバージョンを手に入れたそうで、みんなに自慢するために持ってきたのだ。
「結局、ステージは部活しか参加できない感じなの?」
佐藤英気ことアルファが言った。
「いや、次の会議に持ち越しになった。その意見が優勢だったけどね。昨年の楽しさを知っている生徒が反発した感じかな」
「困ったわね……」
佐藤芳佳が頭を抱えている。
「でも……まだ決まりじゃないんですよね……何かいいアイデアがあれば……」
太田さんは意外に乗り気なようで、何とかいい案はないかと佐藤芳佳と話を始めた。
「市井さんはどう?」
珍しく話に入ってこない市井さんに俺は話を振った。あんまり目立つことはしたくないんだろう。原作から言っても、目立つことが好きなタイプではない。
「えへへ……」
困ったように笑うだけ。このまま無理に参加させるのも可哀そうだななと思ってしまう。
「もし駄目なら、地域研究部の部活報告はあるんだし、そっちに力を入れようか」
「そうね……。出来ないものはしょうないよねー」
佐藤芳佳は残念そうに笑った。ここで強硬しないは佐藤芳佳が『氷川ルイ』のような性格の女子ではないからこそだろう。『氷川ルイ』であれば、どんな手を使っても実現したはずだ。
「でも諦めてはいないよー! ねっ!オセロちゃんにゆいちゃん!」
あとで市井さんの気持ちを教えておこう。市井さんの性格を見誤るなんて珍しい。『市井ゆう』の声優としては恥じてもらわねば。
ふと、扉を叩く音が聞こえた。来客のようだ。部室に来客なんて珍しい。
扉を開けると、そこには生徒会副会長『小鞠 あんづ』が立っていた。
「やっ!☆ レン君! 会いたかったよ」
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