先生共
何かに目覚めそうな心を抑えつつ、会議は進んでいった。会議と言えば社畜時代を思い出すが、あんな人格否定の公開ショーではなく、今後のスケジュールや自己紹介がメインの可愛い会議であった。
「一ノ木 青花です! 青い花で青花です! どうぞよろしくお願いいたします!」
緊張感が伝わってくる挨拶だった。少し宙を見ながら大きな声を出すことだけに集中している。拍手のあと、崩れるのように着席した。
「はあ……えへへ……私こういうの苦手で……」
僕にだけ聞こえるよう、小さな声でそう言った。初々しい感じがとても良い。とても良い!!!!
「僕もあまり得意じゃないな」
「え、すごく上手だったよ。聞きやすくて、冗談も入れてさ」
「……慣れだよね」
「会議慣れしてるなんて凄いね。中学の時は生徒会とかだったの?」
別に凄い訳ではない。ただ単に生きてきた年数が違うだけだ。三十越えのおっさんが初々しい自己紹介なんてしたら、それはそれで可愛いかもしれないが、やっぱり少しまずいと思ってしまう。考えが毒されているのかもしれない。
「いや……」
言いかけたところで時流ヤヤの目線を感じだ。無駄話をするなということなんだろう。目線がやはり気持ちいい。もっと喋ってしまいそうになる。これはいけない。
「自己紹介ありがとうございます。それでは、次の議題に入らせていただきますわ」
鋭い目線をこちらに向けながら、時流が進行を始めた。次第のプリントに目をやると『今年度のステージについて』という議題が書いてあった。
ステージと言えば佐藤芳佳のライブ計画である。できればやって欲しくないという気持ちがないと言えば嘘である。
社会現象アニメ『氷川ルイの焦燥』世代である佐藤芳佳にとって、『盛り上がるライブ』はオタク的青春の必須条件であり、絶対に達成するべき要件なのだろう。
資料として、プロジェクターに昨年の映像が流れ始めた。プロのようなバンドあり、合唱あり、身内のカラオケ大会あり、漫才ありと、なんやかんやで楽しそうであった。やっぱり学生はいいなあと思ってしまう。アオハルである。
この感じであれば、佐藤芳佳withその他仲間達のライブは受け入れられそうであった。
「以上が昨年の様子だ」
映像が終わると、生徒会である桜城 翡翠が話し始めた。
「とても楽しいステージだったと思う。大成功だ。設営していたステージチームも、達成感から涙をながしていたのを覚えている。俺ももらい泣きをしていまったくらいだ」
どSという噂があるが、情に厚いところもあるようだった。そりゃあ、ただのどSなら多くの支持を受けて生徒会長にならないかと思った。
「しかしだ」
口調が変わった。
「先生方はそう考えていなかった。なぜか。先ほど見ていただいた資料にその答えがある。これだと思う人は手を上げて欲しい」
先生方が去年のステージに納得がいかないということか? なんだろう? 学生っぽくて良かった気がするが。重い沈黙が会議室を支配した。
営業会議で、「なぜ数字が上がらないのか」と詰められている空気に少しにていて、少し笑いそうになってしまった。
更新遅れてしまい申し訳ありません。読んでいただきありがとうございます。またブックマークありがとうございます。




