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大好きな日常系アニメの中に転生したようだが  作者: しんしん
バージョン1.01
45/77

僕の知らないひまわりでいず②

 樹木じゅもくを追い出した後、僕は再びスマホと向き合った。


「市井さんの転校」


 という話を真剣に向き合わなくてはけなかったからだ。


 舞台はいつもと変わらない放課後の教室。市井さんの「私、転校するんだ」という言葉から唐突に始まる。それまでに伏線など一切ない。本当に唐突に始まった。


 理由は物語によくある『親の都合』。深くは語られず『一ノ木 青花いちのきあおか』『高山たかやま 羽希はねき』『竹下たけした 雪絵ゆきえ』の3人による別れの言葉がメインだ。


 話的にはかなり湿っぽく、前話までのとりとめのない会話劇とは異なっていた。「ありがとう」とか「さようなら」「あの時は楽しかったね」とか、確かに親友が転校するとなったら暗い気持ちになるのは当然だ。ただ、なんでこの作品でこの話が展開されているのか、僕には全く理解できなかった。


「私達、いつまでも友達だよ……」


 その言葉で話は終わり、6巻も終了となる。心がズンと重くなった。なぜ女子高生たちの愉快な日常を求めて読んでいる作品で、こんなにも心にダメージを負わされるのか。会心の一撃。ただの屍。教会で生き返らせてもらう必要がある。社会人時代であれば、営業ノルマと相まって再起不能で間違いない。


「なぜこんなことに……」


 言葉が零れ落ちる。辛い。ふと、まだページが残っていることに気付いた。自分としたことが、あまりの衝撃で作者のあとがきイラストの存在を忘れていた。おまけの美麗イラストで回復する必要がある。僕は、砂漠の中でオアシスを見つけた旅人のように、希望を求め次のページをめくった。


 そして―――。


 そこには作者の長々としたあとがきと共に、市井さんのイラストが描かれていた。


 僕はすっかり忘れていた。そして、なぜこのような唐突な転校話が展開されたのかを理解した。そう―――まさにこの時期に―――市井ゆう役の声優『あおい ひじり』が亡くなったのだ。

いつも読んでいただきありがとうございます。また点数ありがとうございます。大変励みになります。

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