僕の知らないひまわりでいず②
樹木を追い出した後、僕は再びスマホと向き合った。
「市井さんの転校」
という話を真剣に向き合わなくてはけなかったからだ。
舞台はいつもと変わらない放課後の教室。市井さんの「私、転校するんだ」という言葉から唐突に始まる。それまでに伏線など一切ない。本当に唐突に始まった。
理由は物語によくある『親の都合』。深くは語られず『一ノ木 青花』『高山 羽希』『竹下 雪絵』の3人による別れの言葉がメインだ。
話的にはかなり湿っぽく、前話までのとりとめのない会話劇とは異なっていた。「ありがとう」とか「さようなら」「あの時は楽しかったね」とか、確かに親友が転校するとなったら暗い気持ちになるのは当然だ。ただ、なんでこの作品でこの話が展開されているのか、僕には全く理解できなかった。
「私達、いつまでも友達だよ……」
その言葉で話は終わり、6巻も終了となる。心がズンと重くなった。なぜ女子高生たちの愉快な日常を求めて読んでいる作品で、こんなにも心にダメージを負わされるのか。会心の一撃。ただの屍。教会で生き返らせてもらう必要がある。社会人時代であれば、営業ノルマと相まって再起不能で間違いない。
「なぜこんなことに……」
言葉が零れ落ちる。辛い。ふと、まだページが残っていることに気付いた。自分としたことが、あまりの衝撃で作者のあとがきイラストの存在を忘れていた。おまけの美麗イラストで回復する必要がある。僕は、砂漠の中でオアシスを見つけた旅人のように、希望を求め次のページをめくった。
そして―――。
そこには作者の長々としたあとがきと共に、市井さんのイラストが描かれていた。
僕はすっかり忘れていた。そして、なぜこのような唐突な転校話が展開されたのかを理解した。そう―――まさにこの時期に―――市井ゆう役の声優『葵 聖』が亡くなったのだ。
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