久しぶりの部室③
ラブコメという言葉を知らない人はいないであろう。男と女が恋愛を介してあーだこーだして、ちょっと笑えるそんな物語。それ自体が物語の一つのジャンルであり、アクション、スポーツ、ホラー、サスペンス、あらゆる物語で隠し味的に混入してくる。
それが『ラブコメ』というやつなのである。
「なあ樹木。これは一体どういう状況なんだ? アップデート失敗したの?」
「私に聞かれても知らんぞ」
部室の中では太田オセロこと太田さんとアルファが椅子に座ったまま。向かい合って黙り混んでいる。
さて、ここまでの経緯を説明しなくてはいけない。
***
おっぱい先生こと山田先生の薄着を堪能し、カギを手に入れた俺たちは意気揚々と部室へやってきた。
「あっ、太田さんじゃん」
部室の前でちょこんと立っていたのは、ツインテールの寡黙な少女の太田さんだった。
「あ、……」
太田さんがペコリと頭を下げると、樹木が体全体で喜びを表しながら友好のタックルを浴びせた。
「オセロちゃん! 連絡くれれば迎えにいったのに! このセクハラ兄弟の世話はこりごりじゃあ」
セクハラ兄弟とはなんとも不名誉なあだ名だ。
「はあ~! セクハラなんてしてないよなあ、レン! 」
アルファが一生懸命と弁明している。見ているだけとか、あれは朝顔の観察のようなものだとか、自由研究で毎日メートに記録しているだけだとか。まあ一生懸命考えたいい訳なんだろうが、ただただ変態性を上げているだけに気付いていない。
「まあまあ。暑いし部室入ろうぜ」
「おい! レン弁明しないとセクハラ兄弟のままだぞ!」
その方がよっぽどマシだ。このままだと『女教師で夏休みの自由研究をする男』という最悪の二つ名を手に入れることになる。学校生活が破綻しかねない。
扉を開けると、ムアッとした熱気が顔面を覆った。
「部室のが熱いじゃないか!」
という樹木の言葉はもっともだった。すぐに窓を開け換気をする。クーラーを付けるのは、まずこの熱気を取り除いた後だろう。
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