予定のない日③
冷やし中華という料理はあまりにも評価されていないと、僕は夏の間中常々思っている。
刻んだチャーシューに、甘めに味付けした卵焼き、シャキシャキのキュウリを載せて、四分の一にカットしたトマトが彩を添える。コシがあるんだかないんだか分からない麺に、ちょっぴり酸味が効いた黒酢醤油。
一口味見をする。うむ、これは旨い。我ながら素晴らしい出来だ。これぞ冷やし中華。これこそが冷やし中華。押しも押されぬ街の中華屋の夏季限定SSRだ。
「へい、お持ち」
「わー! レンくん料理上手なんだね!」
市井さんに褒められるのは、会社のクソ上司に褒められるのとは比較にならない。いや、比較すること自体間違っていた。
「そうめんと冷やし中華だけだぞ。うまいけど」
樹木がボソッと呟く。一言余計な気がするがまあ良いだろう。二人はプレイしていたFSO14をいったん中断し、もくもくと食べ始めた。しっかり食べるがいい。麺のお替りはないが、キュウリはなぜか腐る程持っているのでどんどん言ってくれ。
テレビ画面を見ると、市井さんのキャラである猫耳姿の女騎士がとても可愛らしい動きをしている。髪を整えたり、ウインクしたり、猫っぽい動きをしながら鳴き真似までしていた。
一方、樹木のキャラと言うと、おっぱいだったり、お尻だったり、取り敢えず大きくしときました感があるお色気お姉さん天使キャラを使っていた。見事に樹木の特徴であるロリ、死神とは正反対のキャラだ。
「なあ、妹よ。なんでこんなキャラを作ったんだ?」
「何を言っている? 私にそっくりじゃないか」
うーむ、ついに下界に馴染みすぎて目が腐ってしまったか。ギャグなのかマジなのか本気で分からん。見ろ、市井さんも反応に困ってるじゃないか。
「二人共、冷やし中華おいしい?」
「はい!」
「なかなか」
僕は危険な話題を夏の空にぶん投げってやった。
久しぶりの投稿です。気分転換に書いてます。よろしくお願いします。




