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大好きな日常系アニメの中に転生したようだが  作者: しんしん
新しい日常編
28/77

野球をしよう③

「さあ、バッチこい!」


 体力の復活したアルファが早くノックをしろとかしている。さっきまで死にそうな顔をして空を見上げていた男とは思えない。


「どうした、どうした!レン!お休みするにはまだ早いぞ!芳佳ちゃんとイチャイチャしやがって、てめえのへなちょこ打球なんぞ目をつむっても取れらぁ!」

 

 あの自信はどこから来るのか。ノックを再開して三球打ったが、アルファは一度もボールをキャッチできていない。股下にトンネル掘り続けている。後ろでボール拾いをしている佐藤芳佳と、休憩後に加わった市井さんは、その度にボールを追いかけ楽しそうであるが。ちなみに太田さんは、僕の隣でボールを渡す役目をしている。


「ほら!今度はしっかりとれよ!」


 そうは言ったが、易々と取れる球を打とうとは思わない。思いっ切りバットを振り抜く。


「あっ!」


 しまった!力を入れすぎたせいでとんでもない方向へ打ってしまった。アルファの頭の上をボールが飛び越えていく。


「どこ打ってんだあああ!」


 怒りのアルファ。くっ……ちょっと悔しい。


「わーーーーーーたしにいいいいいいいい任せろおおおおおおおおおおおおお!」


 大声と共に松本ひかりこと樹木じゅもくがグラウンドに飛び出した!明らかに人外な運動能力でボールを追いかけスライディングキャッチをした。同時に歓声があがる。


「ひかりちゃんもやるじゃん」


 明らかに上から目線のアルファ。


「きゃーかっこいい!!抱いて!!」


 黄色い声をあげる佐藤芳佳。抱いてってなんだよ。


「ひかりちゃんスゴイ!『よばんばったー』になれるよ」


 市井さんは野球を知らない。だからしょうがない。


「打球の下に行くまで無駄がなく一直線だった……。そして、今のスライディングキャッチはイチロー選手のやり方に似てる……。あの方法は怪我がしにくい……」


 お、太田さんは野球に詳しい系でしたか……。意外だ……。


「バックホーーーーーーームだあああああああああ!!!!」


 樹木は大きく振りかぶりボールをこちらに投げ込んできた。しかも唸りをあげる剛速球ときている。こちとらグローブを持ってないのにふざけるな!

 って太田さんが危ない!


『パーーーーーーーーーーーーーーーーン』


 いつの間にかグローブを装着していた太田さんが気持ちの良い音をたて、その投げつけられた剛速球をキャッチしていた。


「今のは元中日のアレックス選手が巨人戦で見せたバックホームのようでしたね……」


 言ってることが理解できないよ太田さん。


「私がピッチャーをやるぞ。打てるものなら打ってみるがいい!」


「ふっ、簡単だな」


「やろうやろう!私が最初に打つー」


「わ、わたしも打ちたいです」


 どうやら他のみんなもその提案に賛同したようだ。


                        ○


「って僕がキャッチャーかよ!」


「あたり前だろ。お前が怪我をしても誰も困らん」


 ちょっとその言い方は酷すぎませんかね樹木さん。


「もし怪我をしても治してやるから心配ないぞ」


「えっ!?そんな能力があったのか?」


 初耳だ。それが本当なら、今後は冒険的な行動も取れるかもしれない。例えば不良に絡まれている女の子を助けたりとか。使い方によっては、なんとも物語が動きそうな匂いがする能力だ。


「まあ嘘だがのっ」


 嘘かよ……。ちょっと期待した僕が馬鹿でした。


「もし危ないならキャッチャーしなくても良いんじゃない?大丈夫?」


 バッターボックスに入った佐藤芳佳が心配そうに声を掛けてきた。今日は色々と気にかけてくれるな。


「ああ、大丈夫。仕事の付き合いでやらされてたしな」


「そっか。じゃーわざとファール打ってレンにぶつけてやろ」


 ええ……。酷い、酷すぎる。当たるとかなり痛くてシャレになりませんよ。


「勘弁してください……」


 とりあえず懇願しておこう。


「くっくっくっ、どうしよっかなあー」


「くそ、もう勝手にしてくれ。もしファールを打ってきても掴み取ってやる」


「あ、ちょっと怒ってる。ふふふっ、……ねえレン?」


「なんだよ」


「この世界は好き?もう『ひまわりでいず』の世界とは随分変わっちゃったけど」


「当たり前だろ」


 愚問だ。考えるまでもない。


「そっか、良かった」


「おーい!いつまで喋ってるつもりだ。もう投げてもいいかのー?」


 先程から待たされていた樹木が痺れを切らしたようだった。


「わるい、わるい。よーし、どんと投げ込んでこい!」


 僕はそう言うと、グローブを構えた。投球動作に入った樹木は高々と足をあげる。


 太陽の日差しがだんだん強くなる昼間近。空は高く、雲と陽炎。青々と茂った林にカブトムシ。蝉は賑やかに今日も鳴く。


 本格的に夏だなと僕は思った。そして、次はプールに行きたいなと思った。

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