第4話 仕組まれたかのような運命
それは、俺が大きな通りを歩いていたときに、突然起こった。
俺は突然、嫌な予感に襲われ、前へステップを踏んだ。
「はぁっ!!」
「ーーっ!?」
それは、不意討ちだった。何とか避けることに成功したが…………。
「なっ…………!」
振り返ると、そこには青い髪の17歳くらいの赤い和服を着た女の子がこちらに刀を向けて、立っていた。
「覚悟!」
「ちょっ!待って!」
明らかに武術を習ってる感じの無駄の少ない斬撃をこちらに振り落としてくる。
それに対して俺は…………。
「守刀流、弾撃!」
刀の横を右手の拳で叩き上げてその攻撃を逸らした。
これは、スキルではない。ただの対人戦闘技術用の技だ。
「なにっ!?」
「なにっ!?じゃねぇよ!いきなりなにしてんだよ!俺じゃなきゃばっさり斬られてたじゃねぇか!」
「…………誤魔化すな悪党!成敗してくれるっ!トリプルソード!」
刀を包むオレンジ色の閃光、間違いない剣術スキルだ。
流れるような縦斬り、切り上げ、刺突のスキルコンボが繰り出されてくる。今度は生半可な一撃程度では、横に逸らすことも出来ないだろう。
だが、
「だあああーーー!めんどくせぇぇーーー!!」
縦斬りを最小限の動きで横に避け、青髪の女の子の腹部へとカウンターの肘をいれる。こうすることで、スキルを中断させることが出来るのだ。
「ぐっ…………」
さすがの女の子もこのカウンターは、効いたらしく一撃で気絶した。
「はぁはぁ、俺がなにしたって言うんだ…………まったく…」
息が乱れてはいたが、気絶してぐったりとしている女の子を見てつい、そんな呟きが思わず漏れた。
しかし、安堵するのはまだ早い。
「上からもかよっ!?」
「せいやぁぁーっ!」
今度は大きなハンマーを持った黄色い髪の少女が鋼を襲った。
すぐに気づいたおかげで、何とか後ろにステップを踏んで避けることに成功する。
ドゴンッ!
直後に響く地面がめり込む音。
(あんなの喰らったらさすがの俺でもヤバイぞ!)
ハンマーは、打撃武器の中でもかなり攻撃力の高い武器だ。武器系統からしてもまともに当たればかなりの大ダメージを喰らうだろう。
「話を聞けよっ!俺がなにしたってんだ!」
さすがの俺も武器を抜いた。
素手で何とかなるような奴なんて、早々いない。
相手は殺す気で俺に武器を向けているのだから、こちらとしても武器を向けざるを得ない。
「何をした…………ですって?親友にあんなことをしたのに?絶対に許してあげるもんですかっ!十手の借金取り!」
「えーっ!?そっち系かー!」
しかも、十手の借金取りぃぃ!?!?
それだけで襲ってくるなんて、世の中物騒すぎておちおち町中すら歩けねぇよ!
「つーか、十手以外の犯人の特徴ないのかよっ!」
ハンマーの右薙ぎ払い。ギリギリ後ろに下がって避けるが、風圧とひしひしと伝わってくる殺気で思わず、後ろめりになりそうになる。
それでも、勇気を振り絞り、前へ一歩踏み出す。
「わっーー」
「ーーふっ!」
俺は女の子の懐に飛び込んで、前へと突撃してくる力を利用した背負い投げを決めた。
「はぁはぁ…………さすがにもうない………よな?」
そう思いたいところだが、ここにいては危険だろうと勘が囁いたので、すぐさまここから離れることにした。