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第一話 少年歩く

何だか眩しい?

目が開けると俺は草原で倒れていた。

体を起こして、立ってみる。

現実ではあり得ないような見たこともない緑色の植物が辺り一面に広がっていた。

ここは、「テイルズゲート」の世界なのか?

だが、この五感に伝わってくる感覚…………間違いなく、現実のような…………。

何となく嫌な予感がしたので、俺はメニュー画面を出した。

…………どうやらメニュー画面は、出るようだ。

だが、肝心のあれがなかった。

「…………おいおい、なんなんだよこれは…………」

ログアウトの欄がないメニューを見て俺は一人戦慄したのだった。


あれから、分かったことはいくつかある。

まず、フレンドリストに登録されていた名簿が白紙になっていたこと。

そして、メニュー画面から装備することが出来なくなっていたこと。

最後にアイテム欄からアイテムを選択すると、実体化して目の前に出てくること、だ。

……………………これだけで一体俺にどうしろと?

流石にこれだけじゃ心ともない。

ログアウト出来ないとか、どこのデスゲームだよ…。

いや、デスゲームと決まった訳じゃないけど…………。

しかしまぁー、レベルとか持ち物は、変わらないんだな。

ステータスもスキルも特に変わったところはないし。

職業も変わってない。

なんというか、現実感が高まっただけでそれほどゲームの頃とかけ離れてないって印象だった。

さて、これからどうするか…。

少しの間、沈黙する俺。それから数秒経って、

ひとまず、仲間を探してみるか。どうせこの世界のどこかに転送されてるような気がするし。

うん、そうだな、探しに行こう。バカの考え休むに似たりってよく言うしな!

方針が決まったところで俺は適当にまっすぐ歩き出した。




「ぶっとべーー!!」

十手をフルスイングして、ライトウルフをほーむらーん。

おー、けっこう吹っ飛ぶなー…………。

何となく額に手を当てて遠くを見るようにライトウルフの行く末を眺める。

先ほどエンカウントした魔物はライトウルフという雑魚モンスターの一つで、フィールドなんかでは比較的によく出会う魔物だ。

場所によって色が変わったりするらしいが、まあ、どうでもいいよな。

手応えは、そんなになかった。

やはり、ステータスがそれなりに高いからなのだろう。ゲーム世界で雑魚のモンスターは、やはり雑魚だったというだけの話だったわけだ。

ただ、動きがゲーム時代より多彩になった気がする。

なんというか、少し動きが読みにくくなった。

ここら辺は現実なんだな。

まあ、それよりもさっき景気づけにと盛大に吹っ飛ばしたから、ドロップアイテムの確認しに行くのがめんどくさくなったな。

後先考えてないからめんどくさいことになる。これは現実でもここでも変わらないようだ。

俺はため息吐きながら、吹っ飛ばしたライトウルフのところまで歩いた。

「あー、落下ダメージとかのせいか?グチャグチャになってやがる…………。つーか、血の臭いが凄いんだが…………げほげほっ!」

ライトウルフは、原型を何とか留めているという悲惨な死体になっていた。これ、子供には見せられないな。なんというか、異世界早々のトラウマだ…………うげー。

それでも何とかドロップアイテムがないか調べてみる。

結果は運が悪いのか何もないということが分かっただけだったが。



それから、しばらく歩いていくと、一本の大きな木があった。

昼寝するにはちょうど良さそうだ。

「よし、そろそろ休むか。なんか疲れたし、休憩にしよう」

と言うわけで休憩に入る。

木の幹を背にして、座る。

よく考えてみたら、こんなにもいい天気なのに昼寝の一つもしていないとは、もったいなさすぎるな。

ここは一つ、昼寝をしてみるか。

俺は装備を外してアイテム欄に装備を入れた。何だか分からないが、アイテム欄に入れてみようと意識したら、装備が消えてアイテム欄に装備品が追加されていた。

何とも便利な機能である。

「んじゃ、寝るか~。おやすみー」

俺は白いシャツ、黒い短パンに着替えて夢のような昼寝ポジションでお昼寝タイムを取ることにした。


次に目が覚めるともう夕方だった。

「ふわぁー…………ふ。よく寝たなー」

軽く伸びをして、立ち上がろうとした。が、なぜか立ち上がることが出来なかった。

「…………ん?」

何だか体が少し重いような気がする。

体に違和感を感じた俺は体を見下ろしてみた。すると、そこには、銀髪のエルフの少女が俺の腰辺りにまとわりついて寝ていた。

…………えーと、気のせい…だよな?

もう一度見下ろしてみる。

あどけない顔をして寝息を立てて寝ている銀髪のエルフの少女がやはりいた。

…………………………………………うん、現実感がないな。

大体、俺はこんなエルフの少女と出会ったことないしな。こんなことをされるようなことなんてしたことないしな。

とりあえず、エルフの少女を退かし、今度こそ起き上がる。

「さて、そろそろ行くかー」

と言った側からエルフの少女が目を覚ました。

「あふ…………」

ぽやーとした雰囲気がどことなく伝わってくる。

俺はその様子を眺めていた。

エルフは、種族的特徴としてまず、容姿が整っている者が多い。そして、耳が長く、人より五感に優れているとか。あと確か…かなり寿命があるせいでかなりマイペースな性格をしているものが多いとか風の噂で聞いたことがある。

この銀髪エルフもそうなのだろうか?今のところ寝ぼけているからよく分からないが。やがて、銀髪エルフは、俺を視界に捉えて、開口一番にこんなことを口にした。

「おはようございます…お兄さん」

「ああ、おはよ…………」お兄さん?

何かの聞き間違いだろうと、首を振って忘れることにした。

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