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Creatures  作者: 赤神 火恋
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武器とは

入学してから一週間が経った。なんとなくだがチームの雰囲気がわかり始めていた。

だが、戦闘実習授業にはついていけなった。


まず入学したら二日目で自分の能力を把握してなければならない。だが、千歳のところに行ってもわからず終いで、リアもわからないと連呼するだけで何も把握できてなかった。

チームの先輩の四津野 千理という初日に瞑想していた人に、

「まずは戦闘に使う武器を考えれば?」

と言われたため、リアから武器を借りたがルナに負ける始末で、心が折れ始めていた。


「もうダメだー!」

ある日、戦闘実習後、俺は諦めて戦闘室の前のベンチに座って、天井を見上げていた。

「こんなにも体が弱い能力者は初めてだ」

四津野はそう言い、とにかくあきれていた。

俺はベンチの横に置かれた剣を見るとため息を吐いた。

「剣以外にないの?」

「銃はどんなに反動の小さいやつでも手首痛めますし、槍もダメでした」

横でルナが説明する。

「・・・じゃあお前が最初能力を使ったとき、何で戦ってた?」

俺はあのときニュースで見た俺の武器を細かく言った。

「爪か・・・話的にキラに訓練は任した方がいいかな。あいつも素手での戦闘を得意とした能力者だ。

ちなみに私は剣、オルガは刀と銃、キラは素手、雷帝は砲撃型攻撃能力だ。キラには言っておくから明日はキラのところに行って」

四津野は俺の横に置かれた剣を持つと、その場から去っていった。そして去り際に

「あ、それと。キラは上下関係に厳しいからそこんところよろしく」

と言った。


俺は疲れのせいか風呂から出ると、すぐに布団に入り寝てしまった。

そして夢を見た。

とても奇妙な夢だ。俺はあのときの格好で真っ赤な空間を走っている。行く先はどこまでも赤く、後ろからはその色に負けないような深紅色の狼が追いかける、というものだ。

狼は俺が道を進む度に色々と問う。お前の本能は何か、お前の本性は何か、お前の本音は何か・・・

真っ赤な空間はどこまでも続くがそれと同じくらいに体力も続き、狼の質問も続く。

そのとき、俺は脚がもつれ転がるように転んだ。そして狼に馬乗りにされた。

「さぁ答えろ。お前は何になりたい!」

俺は言葉が出なかった。恐怖や動揺によってではない。

そして答えが待ちきれなくなったのかその狼は俺に噛みついた。

そして次の瞬間、俺は目が覚めた。

横にはなぜかルナがいる。

「どうしたの?うなされてたけど・・・何か悪夢でも」

「いや、なんでもない。つーか何でお前がここに」

「いいでしょ、たまには・・・ね?それに女の子が横にいたら眠れるでしょ?」

「・・・お前がどういう教育をしてきたのか知らないが、大丈夫だ。それに幼女が横で寝てても何の癒されもねぇよ」

「同い年なら?」

「・・・・・・何を待ってんだ?」

「なんでもない。明日も早いんだし、寝ましょう」

俺はふと、あることに気づいた。

「なぁ。吸血鬼って夜行性じゃないのか?」

「吸血鬼それぞれよ。吸血鬼だって昼間動けばその分、夜は眠くなる」

「そう・・・だな」

「ねぇ、能力のことなんだけど。柊君の能力って何だったの?千歳さんのところに行ってわかったんじゃないの?」

俺は静かに布団から出て、あのとき千歳から渡された紙をルナに渡した。

「・・・つまりはわからないってことね」

部屋は一気に静まり、空気は夜が更け寒くなっていく。

そしてそのまま時が過ぎた。


翌日、俺はキラのところへむかう。

キラ・ヘルフレア。初日、足を組み、机の上に乗せていた男だ。話によると本物の悪魔らしい。

悪魔という存在自体が現実離れしているが超能力というものがある以上、嘘には思えない。

キラとの待ち合わせはなぜか戦闘室とは反対の方角にある大きな時計台の下だった。

俺は時計台下に行き、キラを探した。だが付近にはいない。遅刻だろうか・・・

「よぉ!柊!」

真上から声をかけられた。俺は目にはいる太陽の光を手で隠しながら、上を見た。時計台の上に誰かがいる。

それは俺が見たのを確認すると、そこから飛び立ち、垂直に落ちてきた。

「俺の名はキラ・ヘルフレア!正真正銘本物の悪魔だ!」

キラはサングラスを光らせると八重歯を見せた。

「君のことは四津野さんから聞いている。なかなかの素人のようだな」

キラは口を大きく開いて、大声で笑った。その豪快さは先輩としての威厳を物語っていた。

「だが、安心しろ。俺の修行を受ければすぐに能力を開花させることができる。俺様に任せろ!」

キラは天めがけて指をたてた。


キラの特訓は四津野以上のスパルタだったが四津野よりは先が見える特訓だった。だが、俺の求めるものとは違う、キラ特有の闇属性の魔法を教わったのは意味がないことだと思った。

「いいぞ、柊!お前には星が見える」

「星・・・ですか?」

「俺が思う『能力の輝き』だ。お、噂をしてれば星が見えないやつらがきたな」

俺はキラが睨み付けた方向を見た。そこには他チームのメンバーがこちらに向かって歩いてきた。

「よぉ、キラ。事前戦闘はよくもやってくれたなぁ」

事前戦闘とは戦闘前に戦闘開始配置の好配置を得るため、個人戦を行い配置番号を決めることである。

特に個々の力が強いが故に連携の弱いチームOの先輩方はここで好配置を得るよりもこの個人戦で成果を得るのを狙っている。

そして目の前にいる集団はそれで戦闘に出れない怪我を負い、戦闘に出れなかった者の集まり・・・とでも予想しよう。

「お前のせいで出れなかったんだ。そのせいで・・・ここでこの鬱憤晴らしてやる!」

集団内の一人が武器の斧をかまえた。そしてそれに続くように武器をかまえた。

「鬱憤ねぇ・・・。柊、ここは下がれ」

キラは俺の肩を掴むと後ろに引っ張った。

「そっちは全員で来いや。全員破壊してやらぁ」

キラはサングラスをとるとそれを手で握りつぶした。

「戦闘開始!」

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