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Creatures  作者: 赤神 火恋
1/9

事件発生

地下鉄の人混み。たくさんの人が次の電車が来るのを待つ。受験前で勉強する受験生、携帯でゲームをする高校生、喫煙室で煙草を吸う大人、人それぞれ何かに集中している。

そんな中、意識が朦朧とする人が顔が見えないくらいにフードを深くかぶり、駅内をふらふらしていた。フードからたまに出るつり上がった目はまるで獣のようだった。

そして乗客が少なくなったその時間、事件は起きた。

フードを目深にかぶった男は歩いてきたサングラスをかけた一見悪そうな男にぶつかって倒れる。

「おい、お前。ぶつかっといてごめんなさいの一文字も出せねぇのか?」

サングラスをかけた男はフードをかぶった男の胸ぐらを掴んで持ち上げた。

「何か言えや、オラァ!」

男が拳を振りかざしたその瞬間、


ザクッ!


何かが刺さった音がした。

次の瞬間、サングラスの男は口から血を吐いて、その場に崩れ落ちた。


冷たい小降りの雨が降るなかフードをかぶった彼はいつの間にか駅から出ていて、少し歩いたところに立っていた。まだ意識が朦朧とするのか足元がおぼつかない。そして彼は靴屋前を通ったときに店前に置かれた姿見を見て驚いた。

まるで赤いペンキの缶をかぶったかのようにベットリと赤い液体が付着している服を着て、何があったのか両手の甲は少し皮がむけていて、痛みを感じないが爪が少し剥がれていた。

男は上に羽織ったフード付きコートを脱ぐと、それを丸めて脇に挟み、その場から逃げた。

少し走るとそこには小さな電気家具屋があり、たくさんのテレビの電源が着いている。それを見てさらに驚く。

そこには彼がさっきまでいた地下鉄のホームが映っていた。ホームの床や壁や柱には俺のコートに付いていたものと同じような物が付いていた。

彼はもっと遠くに行くために、停めたままで放置されている自転車を使った。

次第にさっきまで降っていた雨が強くなっていく。このペンキを流すのにピッタリだ。


彼は無事、自分の家に帰ってくると庭の物置の中にペンキまみれのコートを入れて、何もなかったのように家に入った。

彼はすぐに入り口の鍵を閉めると、階段を急いで駆け上がり、自分の部屋に飛び込んだ。そしてドアを閉めてドアの前に座り込んだ。

息があがる、心臓の鼓動が速い、冬なのに大量の汗をかく。そんな現状だ。彼の中では自分を狙う殺し屋から逃げている感覚だった。

彼は息を整えるために一度深呼吸をすると、一気にドアを開ける。

「ただいまー」

ちょうど彼の母が帰ってきたところだった。

「おかえり・・・」

「どうしたの?そんなびしょびしょで。そんなところにいないで早く着替えなさい。一週間後、高校入試でしょう?風邪ひいたらこれまでの苦労が水の泡よ」

彼の母はそう言い、下駄箱の上に置いてある新品のタオルでコートに付いた水滴を拭いた。

彼はタンスから下着と上下組のジャージを持つと洗面所に行き、服を脱いだ。

そして風呂場の鏡で自分の体を見た。特にこれといった傷はなかった。

彼は5分くらいシャワーを浴びるとすぐに風呂場から出て、タオルで体を拭いた。

「俺は何をしたんだろうか・・・」

そう考えながら、リビングに行くと電気家具屋のテレビに映っていたニュースの続きが放送されていた。そしてそこには


監視カメラに写った映像と上に表示され、真ん中には手の甲から何かに大きな爪のようなものが生えた自分の姿がそこにあった。

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