5話 初陣にして最強クラスの戦い
ネプチューン。岬は確かにそう言った。ネプチューンは、ポーセルスの王だ。岬が怯えるのも無理もない。真も恐怖に襲われたが東條轟の威圧とアルフレッドとの特訓によって精神的に強くなっていた。マータ軍の中でただ1人、真は静かに闘志を燃やしていた。ネプチューンとの戦闘ヘの闘志を…。するとネプチューンは、
「我はポーセルスの王!!おとなしく降伏するなら貴様らが持ってる白の鍵と、捕虜として貴様らの長を我らに差し出せ!!それとも戦闘を選ぶか?」
しばらく沈黙が続いたが怯えながらも岬が、
「マ…マータ第6分隊。分隊長だ…。マータ軍は……ポーセルスに、こぅ」
「待った!岬さんここで貴方と鍵をおとなしく奴等に渡すなんて俺には出来ない。自信はないけど俺がネプチューンと殺る。その間にアルフレッドさんを貴方のテレパシーで呼んでもらいたい。なァに俺も簡単にはくたばらない。」
岬は怯えた顔で、真の顔を見て
「助けてくれ…私は……っ」
と言って岬は真の胸に右手をあてた。しばらくそのままでいると、ネプチューンの怒りが高まりはじめたことに気が付いた。それと同時に、もしかしたら勝てるかもしれないとも思えた。
「岬さん、それではよろしくお願いします。」
そう言って真はネプチューンを見て、
「ネプチューン。俺と怠慢はれぇ!!俺が勝ったらおとなしく撤退しろぉ!!」
するとネプチューンは呆れ顔で、
「お前が?笑わせてくれるwいいだろう…そう言う無駄な勇気は無駄だだと言うことを。後悔するなよ?」
するとネプチューンは真の元へ歩いてきた。近くに来るとやはりデカかった4mありそうな巨体だ。それでも真には算段があった。2人はしばらく見つめ合った。ネプチューンは油断していた。初激でどこまでいけるのか、それだけを真は考えた。そして、ネプチューンが
「じゃあはじめようか。貴様の名はなんと言う?覚えてやろう。」
「真…榊原真だぁ!!」
真はそれと同時にジャンプしてネプチューンの胸を左手で殴った。真の3倍ほどあるネプチューンの巨体はそのまま吹っ飛ばされて、後方の岩石に止められた。ネプチューンは驚きを隠せずに、目の前にいる真を見た。真は追撃をかけるべく、走り出して座り込んでいるネプチューンの顔面目掛けてジャンプして、左ストレートを叩き込んだ。再びネプチューンは吹っ飛ばされて後方の岩石を破壊し、仰向けに倒れた。見事クリーンヒットした先制攻撃だった。とても最近まで生きる希望を見失いかけてた人物とは思えなかった。するとネプチューンは起き上がって、
「すまない。我は貴様について勘違いしていたようだ…何者かなんていいぃ!血がたぎるデスマッチをしようぜぇ!!本気でやらせてもらう。手加減なしぃ!」
と言ったネプチューンの背中から獣毛のような金色の毛がはえ、青色だった体はみるみるうちに金色に変わった。真に考えてる時間はなかった。問答無用でネプチューンの体に連激を叩きこもうとした。そして、一発目の攻撃で全身に激痛が走った。
「はっはっはぁー!これが我の力、海電竜の力だぁ!!今我の体には触れただけで即死するほどの電圧が流れているわけだ。だが貴様はまだ死なねぇよなぁ??」
真は痛いと言う巨大な力を秘めた感情を直接的な力に変換しながら言った。
「俺の痛みはやがてお前の痛みとなる!!!」
そして、痛みの力をエネルギーの塊にしてネプチューンを的に発射された。真の放ったエネルギー弾はネプチューンに当たることはなかった。真の放った球に対して正確に超高圧電流を直撃させていた。互いに前後左右に動きながら、エネルギー弾と超高圧電流の激しい打ち合いが続いたが、真のエネルギー切れで打ち合いは中断された。疲労の感情を力に変換しても良かったが、疲労の感情の力は極わずかなのだったため無理に力を作るのを止めた。するとネプチューンは、
「やるなぁ!我もこんなに電気を使ったのは久々だ!!今度は我の番だぁ!!」
とネプチューンの両手に超多量の高圧電流が集められた。するとネプチューンの背後にいた隊長のような人物が
「今すぐここから離れろぉーー!」
と言って孟スピードでこの場から離れていった。真は人軍の人達も逃げたのを確認して、ありったけの力で体を包み込んだ。先程の感電もこの力の鎧によって守られていた。そして、ネプチューンが繰り出す大技が起こる瞬間を待った。もうネプチューンの両手には「バチバチ」音のなる電流が蓄えられていた。そして、
「陸感電っ!!」《エレキランドショックっ!!》
ネプチューンは両手で地面を殴った。地面に亀裂が入るほどの強さで。そしてそのネプチューンの殴った地面からネプチューンの両手にあった電流が流れ出た。その電流はネプチューンを中央に起き、地面をつたって、全体に広がった。地面をも感電していまい、地震のような揺れが起きていた。真は残っている感情を壁のようにし、自身の地面に叩き付けたが、その盾は1秒足りとも持たなかった。真の体に再び電流が流れ、数秒間電流が流れ続けそして止まった。ネプチューンは手を地面から離すと、目の前で固まっている真を見て少し満足したような表情を見せた。
真の体は動かなかった。おそらく全身の神経が麻痺しているのだろう。ネプチューンは前から、どんどん迫ってきている。このままだと負ける。まだ助けは来てない。それまでは、何としてでも食い止める!!
真がアルフレッドから教えられたことは2つあった。1つは能力の制御の仕方、力を作り出す方法などと、先程のまでの戦闘で使っていた力は1つに過ぎなかった。もう1つは、
「Feel out」《フィールアウト》
この技は大和が実際に使っていた高性能かつ、高頻度に使える技だった。そして、この技を攻略出来た者は1人もいなかった。この技は相手の心を見て、相手の都合の悪くなるように感情を書き換える技だ。アルフレッド自信も、大和と戦った時にこの技の餌食となっていた。そして、真はこの技をまだ完成させてはいなかった。アルフレッドの体験談からやろうとしている技。しかし真の体は無意識に動いた。動かないはずの体はゆっくり動き出し、攻撃の姿勢に入った。ネプチューンは口に出すのことの出来ないほどの驚きで目を丸くして真を見た。しかしその真自身の意識は今の真の体にはなかった。すると、ネプチューンの頭の中にある何かが語りかけてきた。その声はネプチューンに、
『久しぶりだね。何年ぶりだろう?俺としてはこうして喋ることすらあの時以来だ。のぅネプチューンさんよぉ。』
ネプチューンはその声を聞いただけで全身を赤くした。
「や、大和ぉぉぉ!!貴様どこにいやがるぅ。今すぐ俺と決着をつけろぉ!俺の父との因縁…ここで晴らしてやろうじゃねぇかぁ!!」
先程のネプチューンの攻撃によってかなり遠くに離れた両軍だったが、ネプチューンの爆音とも言える声は、全員にはっきり聞こえた。いや、その叫びは両国の城までかすかではあったが、響いた。そしてその叫びは空へと響いていった。
『まぁ落ち着きなよ。今俺はこの真の体を借りている訳だが、どうにも声だけは出ないもんだからこうやって直接語りかけてる訳だ。』
「んなんどうだっていい!俺と闘えぇ!!」
すると真の体を借りている大和が、真の体を動かし始めた。
『よし!問題ないよ。本気ってのは難しいにしても、闘うくらいならなんとか出来そうだしな。まぁ負けるきないし、借り物の体に傷つける訳にはいかないし、そもそもお前は俺に指1本も触れることが出来ないまま地面に膝をつくだろう。』
「黙れぇ!!その借り物の体を粉々に砕いてくれるぅ!!いくぞぉ!」
ネプチューンは勢いよく大和に飛びかかった。しかしネプチューンがそのモーションに入る1秒前に大和は右に動いていた。(ちっ。さすがにこの体じゃ30%ちょいが限界か。)ネプチューンは大和の動き出しには気付いていたが体の向きを少し変えるのが限界だった。紙一重?でネプチューンの攻撃をかわし、
『俺には時間ってのがなくてな、5秒1発で決めさせてもらおぅ!』
大和は紙一重でかわしたおかげで、超近距離で強めの先制攻撃を外して少し動けずにいたネプチューンに向かって左手を引き同時に左足を下げた。
『Feel out』
次の瞬間、怒りや憎しみなどの憎悪の感情を持ったネプチューンは大和によって、その感情を何倍、いや何百倍に増幅させられた。そんな興奮しやすい感情をあり得ない位に感じてしまったネプチューンは全身から赤い、血の煙を吹き出しながら倒れた。それと同時に大和は真の中から消え、真の意識が戻った。
「あれ?ネプチューンが倒れてる??確か…」
目の前に倒れるネプチューンを見ながら考えていると、目の前のネプチューンが起き上がった。
「殺す」
真は完全に理性を失っているネプチューンの憎悪を相殺すべくありったけの愛の感情を込めてネプチューンを殴った。ネプチューンは少しの間、動かなかったがすぐに理性を取り戻した。真は残っていた全ての力を感情に変換させてしまっていた。立っているので精一杯だった。対するネプチューンも力を使い果たしていた。それどころか、内出血が激しく、真よりもひどい状態だった。しかし2人は決着をつけるべく、前に歩き出そうとした瞬間、2人の間に1人の白銀の羽を持った謎の人物が空から舞い降りた。ヤバい!!そいつがヤバい奴だと言うことはすぐに分かった。2人はすぐに離れようとしたが、あまりの疲労に動けずにいた。その白銀の羽を持った謎の人物は真の方に攻撃をすべく、飛びかかってきた。思考することもできなかった真に、鋭い鉤爪?が襲いかかった。しかしその鉤爪は真に当たらなかった。真は恐る恐る目を開けると、鉤爪の間に見覚えのある剣を見た。
「真君!待たせたね。ここからは僕に任せてくれ!!」
真は自分の師を見て安堵の笑みを浮かべて気を失った。
「さぁここからは僕の番だ!!」