4話 王と神獣
2人の間に入ってきた謎の男は、何をしたかは見ることができなかったが、轟を気絶させ、真の恐怖をほぐした。そして、
「すまない。僕ら兵隊の第一分隊長が迷惑をかけたな。おっと、僕の自己紹介がまだだったね。僕はアルフレッド。分隊には所属してない。分隊をまとめる兵長みたいなもんだ。」
アルフレッドは自分の自己紹介を簡単に済ませて、要件を話した。
「轟君が君の力を計測して僕が君に戦い方を教える予定だったんだが…轟に本気を出させるなんて凄いね!!僕が教えることなんてあるのかな??」
アルフレッドは左手に持つ剣を振り回しながら言った。真は完全に轟への恐怖を失っていなかったが、アルフレッドの陽気さに恐怖を忘れた。
「んで。岬ちゃんが伝え忘れてたことがあったらしくてね?僕が代わりに説明することになったから。」
「説明??国についてですか?」
すると、アルフレッドは首振って、
「能力についてだ。能力は生まれながら全員が持ってる。しかし覚醒には条件があったりする。今はその事を知ってもらいたい訳じゃない。ここからよく聞いといてね?能力には、ランクが存在する。強さを示すものだか、1番低い物は、ノーマルと言う。次にレア。レアには5級から1級がある。基本1、2級はスーパーレアと呼ばれている。そして、アルティメットがある。」
「俺の能力はどこに?」
真はとりあえず聞いてみた。
「まぁまぁ、落ち着いてくれ。実は他にもランクがある。」
アルフレッドは柔らかい表現を少ししめ、
「2つある。1つは王しか持つことを許されていない、キング。通称王。」
真はオルトロス王を含めた王のことを考え、
「6つ…6つしか存在しないわけか…」
「ご名答。僕的にはネプチューンっていうやつの能力にはどうしても慣れないんだよね。王はすごいよ?まぁそれはさておき、もう1つの能力が神の獣。神獣…レジェンドという。そして…これはいいか。」
そしてアルフレッドは、ニッコリして
「君は神獣だ!!」
「!?」
真は戸惑いを隠せなかった反面、その事をすぐに理解した。真は、自分自身の能力には恐ろしい力が秘めていることを知っていたからだ。アルフレッドはその事に気付き、ほっとし、真剣な表情で言った。
「僕らの戦う理由の1つは、僕らの守護している星を守るため…それは君の星を守るためでもある。どうか僕らと共に戦ってくれ!!」
真は、驚きながらも笑って言った。
「言われなくても…。」
「1週間後…鍵を求めて出撃する。君には最前線で戦ってもらうつもりだ。第6分隊副隊長として!そのためにも僕が君に王とも戦える強さをあげよう。君はこの1週間で、一握りの勇気を手に入れろ!!榊原真よ!感情を支配しろ!!!」
かくしてアルフレッド指導のもと真の1週間の修行がはじまった。真はアルフレッドの期待を裏切らない成長をした。そして、出撃の日。
「アルフレッドさん。ありがとうございました!俺はやり遂げます。いろいろなものの為に!」
「くれぐれも力の暴走をさせないように。僕も後ろから応援してるよ!」
アルフレッドの言葉を聞いて、軽く一礼した真は岬のもとへ向かった。岬の横にたつと、岬は少し驚きの表情を見せながら、
「私達は、他分隊の支援を受け、途中からは第6分隊のみで鍵を奪取して、撤退だ。他の部隊の支援がなくなってからが戦いだ。ではそろそろ行くぞ!」
作戦に参加する部隊が中立区域に陣形をつくった。先頭の第1分隊と第3分隊。そして、中央の起動部隊の第6分隊。最後に後方の第5分隊。それぞれは1kmの間隔で前に進み出した。最初は何もなかったが、中立区域の半分を越えると敵の攻撃がはじまった。第1と第3は作戦通り戦闘をはじめ、左右に分断した。第6はその間を通って鍵のもとへ向かった。道中に第5分隊の囮作戦も成功し、とうとう鍵の前にたどり着いた。
「鍵は…あっ!あそこだ!!」
第6分隊の班長が鍵を見つけ鍵を手に取った瞬間、
「危ないぃ!!今すぐそこを離れろぉ!!!」
真が何かを感じ取って反射的に叫んだ。班長は目を丸くして真を見ていたが、次の瞬間、爆発に巻き込まれた。幸い鍵は近くに飛んできたが、班長のもとには一斉砲火がはじまった。煙が消え跡形も無くなった場所にはポーセルスの軍がいた。あわてて真は鍵を拾い後退した。そして岬に指示を聞こうとすると、岬は怯えた顔で相手の後ろの方にいる親玉らしきものを見ていた。真もそれが親玉と言うことは分かっていた。岬に再び指示をきこうとすると、
「ネ…ネプチューン…?」