3話 真の力
タイトルの真はまことと読んでください。
「本当に本当か?」
「本当に本当に本当だよ。」
岬は龍之介を睨み付けて、
「オルトロス王は何といっていた?作戦は組み立ててあるのか??…ないとは思うが、オルトロス王に報告していないと言うことはないよな???」
すると龍之介は、少し焦った表情をして、
「も。勿論だよ。ぼくに抜かりはないさ…」
とあまりにもバレバレな嘘をついた。岬は続けて、
「そうか…なら私はオルトロス王のところに行って詳しい作戦を聞いてこよう。」
と、龍之介を横目で見て言った。すると龍之介は、
「すみません。言っておりません。」
と言った。岬の全身から殴るぞオーラがではじめた。真はまずいと思い、
「あの…岬さん?王様に報告した方がいいかと…」
と言った。すると岬は龍之介を再び睨み付け、
「そうだな。私はオルトロス王に報告しにいかせてもらう。龍之介が何かしないように見張っててくれ。」
と言って龍之介を睨みながら部屋から出ていった。龍之介は岬が部屋から出たのを確認すると、
「あなたが真さん?とても榊原家の風格がないなぁ。それとも榊原家ってこんなものなのかなぁ??」
真は岬が龍之介をなぜ軽蔑したように睨むのかを理解した。追い打ちをかけるように龍之介は、
「真さんって強いんですか??ひょっとして僕の発明し…」
とたんに龍之介の口が動かなくなった。真も全身が凄い威圧感によって動かなくなっていた。すると、部屋のドアから1人の小さめの男がはいってきた。そして、龍之介の前まで来ると、
「黙りやがれ。ゴミ野郎。」
と言って龍之介の首を締め付けた。
「に…兄ちゃ。ん」
龍之介はそう言って気絶した。そして龍之介に兄ちゃんと呼ばれた男は、
「東條轟。第一分隊長だ。王の命によって貴様の力を調べにきた。ついてこい。」
と言って轟は部屋から出ていった。いきなり分隊長にそんなことを言われて戸惑ったが、真も轟の後を追った。龍之介を、置き去りにして。
しばらく進むと轟は、ドアの前で止まった。そして、
「ここだ。入るぞ。」
と言ってドアを開けて中に入っていった。真も部屋の中に入った。中は白い壁に囲まれていて、広々していた。
「ここで貴様は俺と戦って貰う。殺しはしない。さぁこい!」
唐突にそう言われた真は、
「嫌だって。だいたい何で味方同士…」
「お前は榊原家として2人の王を、倒したいのか?俺は東條として奴等を殺りたい。」
真にスイッチが入った。
「いい目だ。いくぞ!」
と言って轟は片手を前にして構え、
「パワーストライク!!単位h!!」
と唱えた。すると、轟の手に緑色の球ができた。そしてそれは、真の元に飛んできた。真は殴りあいの喧嘩もしかことがなかったが、力によって両手を前につき出された。真は出す気のなかった手を下げようとしたが、手が動かなかった。だんだん近づいてくる球に恐怖を感じると、手に紫みの黒色の気がたまった。そしてそれは、球を吸い込んだ。いきなり謎の技を繰り出した真は、不思議と力がみなぎる感覚があった。
「!?やるな、今度は貴様がこい!!」
と言って大の字になった。真の身体は再び力によって動いた。今度は、真の足が動き、轟の正面まで走り込んだ。今度は真自身で、腕を振りかぶって…
「くらいやがれぇぇ!!」
しょせん喧嘩もしたことのない真のくそパンチは、轟に当たっても何のダメージも与えられなかったはずだが、手が突然黒っぽい青色のオーラをまとった。轟は両手をクロスさせ守りの体制にはいった。真のパンチは轟の手がクロスしたところをとらえた。双方共に攻撃は通らないのを確信していたが……
ドガーーン!!
とてつもない爆音と黒っぽい青色の光が2人を包んだ。そして、部屋は爆発の衝撃による煙におおわれた。煙が晴れると、なんとか両足で立っている真と、壁にめり込んでいる轟がいた。しかし轟はドス黒い目で真を静かに見つめていた。真はなぜかその場から一歩も動くことができなかった。まばたきすら…。真は轟を見つめていたが、轟を見失ってしまった。しかし一歩も動けない真はどうすることも出来なかった。恐怖はなかった。正確に言うと、恐怖が恐怖を押し殺していた。すると後ろから、
「インフィニティストライク。単位Y。」
真は死を悟った。背後から迫る黒いエネルギーが真の体に当たる瞬間、その間に1本の剣が割り込んだ。そしてその剣は黒いエネルギーをどうやったのか分からないが消した。謎の剣の持ち主は、
「轟君、少し頭を冷やした方がいいよ?君が真くんかな??」