2話 鍵
2人は、大滅の話を聞き王室を後にした。岬はオルトロス王の命令によって、真にこの世界の説明をすることを任された。2人は岬の部屋で話をすることになった。女の子の部屋に入るのは気まずかったが、向こうが「遠慮するな」なんて言ったから、勢いではいってしまった。
「最初は…改めて自己紹介をさせてもらう。私はこのマータ王国、王国兵団第6分隊分隊長、東條岬。」
「俺は榊原真だ。よろしく。」
向こうが丁重に自己紹介してくれたが、自身の紹介要素がなくてちょっと切なかった。
「では進めるぞ。まずはこの世界の国についてだ。この国は先程言った通りマータ王国。そして先日真が戦ったところが火の国のフレイズ、他にも水の国ポーセルス、緑の国プラネが存在する。」
「つまりこの国も合わせて4つと言うことか?いったいどこの国が梨沙さんを…」
「そう慌てるな。実はもう2つ国がある。位置は、マータをさっき言った3つの国で、三角形をつくって囲んでいるのと上下で結んでいる国がある。上がスカイエンジェルで、下がヘルオーガスだ。」
「その国の王が…」
「そうだろう。そしてやつらは少々特殊でな。同じ標高に存在する4つの国は、不定期に現れる中立区域でのみ戦える。以前お前が戦った戦場もそこだ。だが、上下でに位置する2つの国は20年に1度、好きなタイミングで4つの国のうち1つに直接攻め込むことができる」
「それじゃあ…」
「あぁ、その通りだ。こちらから仕掛けることができない。向こうの王を戦場に出すことは無理と言っていい。簡単に言えば…無敵の国だ。」
そんな…と真は思った。そしてもう1つ、真は疑問になることがあった。
「そもそもなぜ戦争をするんだよ?そこさえ直せば問題ないだろ??」
岬は少し困った顔をして言った
「すまない。今は説明することができない…この事を知っているのはこの国でも20人前後の機密情報なんだ…。」
真は梨沙の仇を榊原家としてとることも困難で、戦争の理由も分からない今のままでは何もできないことが悔しかった。
「真、これだけは言える。スカイエンジェルとヘルオーガスは自分の欲望のために戦争をしている。そして、さっきオルトロス王から聞いたことを思い出せ。」
えっと…3人で2人を!!
「なぜやつらはオルトロス王と戦ったんだ?ずっと自分の国に籠っていればいいのに…そもそも5人が戦った場所ってどこなんだ?」
「戦場はスカイエンジェルとヘルオーガスの中立区域があってな、通称エンドオブウォー。そこで戦った。」
「そこにはどうやったら行けるんだ!?」
「鍵…それぞれの中央に大きな門がある。どこにも繋がっていない門がな。だが赤の鍵、青の鍵、緑の鍵を使えばそれぞれの色の国の門に一度だけ繋がる。そして白の鍵と黒の鍵を使えば2つの国にも行ける。」
「じゃあその鍵はどこにあるんだよ!!」
真は完全に熱がはってしまっていた。岬は落ち着いて、
「まぁ落ち着け。鍵の場所が分かれば私達もこんなに苦労してない。鍵はどこかの中立区域にあるんだかな…」
真は少し肩を落とした、が
バタン!!と勢いよくドアが開いた。ドアからは博士のような格好をした小さい男の子が入ってきた。岬はふとドアの方を見て
「龍!!?人の部屋に入るときはノックしろ。いくら兄弟とは言え私は女だ!!」
兄弟?俺はずいぶんあっさり入れてくれたから全然そう言うことには無関心なのかと思ったじゃないか!!てか兄弟!?
「そんなこと言ってる場合じゃないんだよ!!鍵が…鍵が!!!」
「ためるなくていいから早く言え!!ぶん殴るぞ?」
「待って!それだけはやめて!ね?ねーちゃん」
「ならさっさと言え。また部屋の鍵無くしたのか?」
「んな訳ないよ!!大変だ!白の鍵が…見つかった。」