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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
ちょっと? 九尾3人娘イラストそろい踏み感謝際! ちょっと? 九尾な女の子 番外編&短編
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狼の御奉公っ ちょっと? 腐った女の子 (ちょっと? 九尾な女の子) その2

 知くんの住まいに上がってから、暫く歓談を楽しむ。


 狼こと大神 紅葉ときたら兎に角、無表情で余り言葉を発しない。だけど大神 紅葉の視線は常に知くんを捕らえて外さないでいた。


 知くんが話すことの殆どは、今はここに居ない狐こと久遠寺 美九音のことだ。


 狐のことを話しているっていっても、その殆どは狐に対する文句とか悪口なんだよね。


 だけれども、狐に文句を言いながら、嬉しそうに笑う知くんを見ていると、ちょっぴり切なくて苦しい気持ちになっちゃうなぁ~。


 でも……この知くんの笑みがいつの日かあたしに向けられ、独占出来たらいいなぁ。


 時間もほどほどに過ぎたところで、あたしは席を立った。


「知くん、キッチン借りるね」


 持って来たバッグからかわいらしい黒猫の顔がプリントされたエプロンを取りだし、首紐に頭を通していく。


 エプロンの首紐を通り切らなかった自慢のツインテールに両手を掛けて、首紐から抜き取って、腰の紐を結んでキッチンに向かう。


 そのあとを大神 紅葉も着いて来た。


 彼女も知くんの部屋に来る前に自宅? に寄ってエプロンを取りに寄った。


 大神 紅葉の住んでいるところは、あたしと知くんが住んでいるマンションの隣……っつーか、もうびっくりしたわよっ! マンションの敷地内にあるエントランスにテントを張って住んでいたんだもの。


 大神 紅葉も持って来たバッグから自前のエプロンを取り出し始めた、って! あんたの普段着って、ほぼエプロン付のメイド服じゃん。それ以外あまり見た事ないけど、これからしようとしている作業を考えるなら、わざわざメイド服を着替える必要が何処にあるのよっ。


「んん?」


 ちょっと待って、何故、今スカートの中に手を入れたっ!


 なにを言っているの? 猫、とでも言いたげに首を傾げる大神 紅葉はそのまま着ているメイド服のスカートの中から、手を下ろし履いていたパンツを膝までズリ下げた。


 何故パンツを脱ぐ? 


「んん? なにかおかしい? 御主人様に教えて貰ったわ、パンツは貼るものでは無くて、履くものだそうよ。なら履いているのなら脱ぐ、貼っているのなら剥がす。違った?」


 ……あたしが聞いた「何故脱ぐ?」とは違った解釈の答えが返ってきちゃった、アハ♡


「って違うわよっ! っつーかさ? パンツを“貼る”ってなにぃ? そんなパンツ見た事も聞いた事もないわよっ」


 大神 紅葉は小首を傾げて、まだ履いたままのスカートのポケットから小箱を取り出して見せてきた。


「ブログ版には確か詳しい描写はなかったと思うけれど、これが貼る万能下着、絆創k――」


「それっパンツとちゃうわ! 絆創膏は何処まで行っても絆創膏であって、パンツじゃないわよっ」


「絆創膏っていうパンツよ。ブラとしても使える万能下着」


 こいつ……最後まで言い切りやがったわ。


「絆創膏っていうパンツにもブラにも使える万能下着よ」


 2回も言わなくてもいいわよっ! 絆創膏は絆創膏であって下着じゃありませんっ! 


「むぅ」


 そんな剥れてもダメっ。




 納得いかない、と言った顔をしていた大神 紅葉を知くんをダシになんとか料理の方に興味を向けさせ、2人並んでキッチンに立った。


 さて秋の味覚をどう料理しようかしら? こう見えてもあたし料理は得意なのよ? 創作料理だっていろいろ作れちゃうんだから。


 でも……。


 隣に並んで包丁を手に身じろぎもしない大神 紅葉が気にかかる。


 この子って料理とか出来るのかしら? 料理とか出来るなんて普段のこの子を見知ってから、まったくイメージ出来ないんだけど……。


「大丈夫、料理は得意よ」


 ……まあいいわ、今はこの子を信じるしかないわね。


 では早速、調理に取り掛かることにしようかしら? 美味しく作って知くんに喜んでもらうんだから。


 先ずは採って来た惚れさせ茸? を含む、きのこ類を使った料理からね。


 取り敢えず今いるのは3人分なんだけど、知くんに沢山食べて貰いたいから、土鍋を用意します。


 ではチキンときのこのクリーム煮風DE鍋。


 先ずはスーパー安得で買ってきた鳥のもも肉を食べ易いサイズに切ります。


 そしてきのこ類、白菜、その他好みの野菜、ベーコン(ブロック)、にんにく、白ワイン、ホワイトソース、牛乳、コンソメの素、塩、胡椒、パセリのみじん切りを用意します。


 クリーム煮だけれど今回は鍋にするので、好みだけれどコクを出すためにコンソメは多めがいいわよ? ホワイトソースは牛乳で伸ばしてね。


 でもあまり薄味にし過ぎると白菜から出る水気で薄味になるから注意してね。


 では大神さん、作業を分担して行いましょうか? 先ずは下拵えとして調理に使う食材を切りましょう、大神さんは鍋に入れる食材をお願いします……ね。って、えぇぇ?


 言うが早いか大神 紅葉は既に白菜を手に手慣れた手付きで、適度な大きさに切って行く。


 っつーか、この子……侮れないわね、普段からは想像もつかないくらいに女子力高いじゃない。


 じゃあサラダに使う野菜を切るわ。あたしだって負けないんだからねっ!


 まな板と包丁が小気味良い音を奏で出す。2人並んで綺麗なハーモニーとなって行く。


 ……ヤバイ、あたし料理には自信があったのに大神 紅葉……油断できない奴だわね。


「あ痛っ……」


 しまった、あたしとしたことが大神 紅葉の包丁捌きに見惚れてた。


 指の先から鮮血が玉の様に滲見出し、やがて指に沿って流れ落ちていく。


「どうした? 未美」


「ちょっとドジっちゃった」


「どれ見せてみろ」


「大丈夫よ。こんなの直ぐに治るわ? あたしは妖しだもの、人間なんかよりずっと治癒力はたかいんだから、こんなの舐めて置けばものの数分で……あっ」


 あたしの言葉が終わる前に、知くんの口が血が滲んでいるあたしの指をパックリ咥えた。


「と、知くん? あのね、あたし、本当に料理は得意なんだよ? ちょっとどじっちゃったけど……」


 あたしなに言い訳してるんだろ? あっそうかあたし知くんにカッコ悪いところ見せちゃって、誤解されたくないんだ……。


 知くんの口が指から離れる。傷口を確認するためだ。


 切った傷口を見て知くんは大神 紅葉に向けて手を出した。


「紅葉、絆創膏くれ」


「御主人様も貼るの? お〔ぱきゅ~ん〕んに」


「違げぇーよ! 俺はトランクス以外は履かない主義だ。っつーか、絆創膏の本当の使い方をこの際、お前に知らしめておこうと思ってんのっ」


 知くんは大神 紅葉から絆創膏を貰い、あたしの傷付いた指先に貼ってくれた。


「これでよし。気をつけろよな未美」


「知くん? あのね、あたし――」


「知ってるよ、っつーか解ってる。そんなの包丁の音を聴いてりゃ分かるさ」


 知くん……。


 そうか知くんも自分で料理するんだったね?


「……猫だけずるい、御主人様に優しくされてる」


 相変わらず棒読みの台詞だけれど、拗ねたような? 口調で大神 紅葉が包丁を股間にあて……。


「ちょっとっ! あんたなにしてるのよっ!」


「私も御主人様に舐めて貰うのよ」


 で? あんたは何処を舐めて貰う気なのっ!


 ぺちっ


「あぅ……、御主人様、痛い」


 大神 紅葉の脳天に知くんが振り下ろした手の平が落ちた。


「紅葉っ! 危ないから包丁で遊んじゃいけませんっ! ほんとお前はなにを考えてるんだか……。マジで止めてくれ紅葉。自分で自分を傷付けるなんてこと」


「解った御主人様、私もう包丁で遊んだりしない。だからそのまま舐めて」


「紅葉、おまえぇーーーーっ!」


 Ping Ponng♪ Ping Ponng♪


 知くんの雷が大神紅葉に落ちようとしたとき、来客を知らせるチャイムの音が鳴り響いた。


「誰が来たのか紅葉、お前が確認して来てくれ。俺は未美の怪我をきちんと診なきゃいけないから」


「分かったわ」


 大神紅葉が知くんの頼みを聞いてモニタの掛けてある壁の前に立ち、モニタを覗き込んだ。


「御主人様。誰も居ない」


「そんなわきゃねぇーだろ?」


「本当よ、モニタで確認したけれど誰も居なかったもの」


 誰かの悪戯かしら? ピンポンダッシュってやつ? それとも幽霊? そんなわけない。……もしかしてまた鬼の連中が知泰くんを? もしそうだったとしたら、あたしは何時だってどんな時だって、知くんのためなら命を投げ出す覚悟をしているわ。


 知くんはあたしが絶対に守る。


「ったく……お前はほんと使えねぇー奴だなっ紅葉」


「酷いわ、御主人様。私は何時だってどんな時だって、御主人様のために股を開く覚悟があるわ」


 この子ってば大胆過ぎるっ! あたしにもあるけれど、知くんが求めてくれればあたしだって、か、かかか、覚悟はしてるけれども……とてもじゃないけど言葉には出来ないわ。


 バキッ!


「知泰っ! ウチが来てあげたわよ、泣いて喜びなさい。って……あれ? なんか知ってる女の匂いがするわね?」


「げっ! 美九音っ」


「御姉様が来てくださったのね」


 げっ! 狐、もう帰って来たの? えっ!? もうそんな時間だったっけ?


 ドタドタ足音を立て、狐がここに向かって来る。


 どうしよう……。


 ええぃっ! こうなったら仕方ない。あたしだって知くんが好きなんだからっ! 狐にだって狼にだってあたしの知くんを想う気持ちは負けてないんだからっ。


 それに……あたし、決めたじゃない。もう二度と諦めないって、もうあんな思いをするのなんてごめんだわ。


 あたしがあれこれ考えている内に狐が血相を変えて部屋に飛び込んできた。


 って! あんたどうやって鍵を開けたのよっ! まさか……合鍵を知くんに貰っているの?


 よくよく冷静になって狐を見てみる。


 ……あ、あああ、あんたってば……な、ななな、なにもそこまで焦って入って来なくても……。


 狐の手には……。


「ちょっと? あんたたち、ウチがちょっと知泰の傍を離れた隙に……」


挿絵(By みてみん)


 なんと玄関のドアを片手に狐がわなわな身を震わせていた。


 そして調理中の食材を見て、正確にいえば食材の中にある惚れさせ茸? を見付けて激怒した。


「あ、あんたたちっ! これはいったいどういうことかしら? 詳しく説明して貰うわよっ!」


 3話目につづく。

ご拝読アリガタウ


次回もお楽しみにっ!

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