ウチが傍にいたげるから
今回はちょっと? 九尾はブログの方で80話到達記念に書いた短編です。
今回はGWも近付いて参りましたので、ゴールデンウィーク特別編ってことで宜しくお願いします!
今回は美九音視点の物語で、物語が始まってから一ヶ月ほど過ぎたころの知泰と美九音のゴールデンウィーク中のとあるほのぼのとした一日の様子ですよ。
回想シーンにはロリみく ショタひろ が登場します。
ではどうぞっ! ><b
あの頃のあいつは放っておくけば壊れそうで、景色の中に融けてしまいそうなほど儚く、悲しみにくれていて、ずっと見守っていなければ茜色に染まった秋の夕暮れに今にも消えてしまいそうだった。
あの夏の日を最後に、……あいつは笑わなくなってしまったんだ。
狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子 特別編 ~ ウチが傍にいたげるから ~
なにから話せばいいのだろ?
……あいつのことを。
そうね。そうそう、まだあいつの家族とウチの家族、そしてもうひとつのお隣さんが頻繁に交流していた頃、あいつはほんと良く笑う元気な男の子で、お父さんやお母さんが大好きで、甘えん坊だった頃の話。
……だけど、それから暫くしてあいつは笑わなくなってしまった。
パパとママが言うには、なんでもあいつの家で当主争いが始まったのだとかで、あいつは両親と離された。
「まだ小さいのに可愛そうだね」って、ウチのママが言ってたことを幼かった頃の記憶の中にはっきりと覚えているわ。
でも当時のウチは幼くてあいつが置かれている状況が良く解からなくて、きっとそれはあいつも同じで、だけどそんなことはあいつの意思とは別で周囲の事情に、まだ小さな身を、心を流されるしかなかったのだと思うのね――。
今年の春にウチらが高校2年生に進級してから1ヶ月が経ったゴールデンウィークの真っ只中最中、窓を開けっ放しにしているお隣さんの様子を覗いて見た。
えと? か、かかか、勘違いしないでよね? 別にウチはあいつに構って欲しくて来たんじゃないんだからねっ!
2階建ての古い日本建築の家があいつが高校生になってから、本家を出て1人で暮らし始めた場所なの。
独り暮らしを始めたって言っても、本家を囲んでいる塀の外に建てられた昔に七霧に仕えた使用人たちが暮らしていた建物にあいつが移り住んでるだけなんだけなんだけどさ。
開けっ放しの窓から見える八畳間の居間の畳の上に、大の字になって「ぐごごごぉ」って、まるで地球上に生きる生物とは思えないほどの奇怪な寝息を立てて寝ている幼馴染の様子が見えた。
別に用事がある訳でもないんだけれど、ウチは玄関に回って家の中に入っていった。
だってあいつってば、なにも掛けないで寝てるんだよ? 5月に入って暖かくなったっていっても、タオルケットくらいは掛けて寝ないとお腹を冷やしちゃうじゃん。
「知泰? ねぇ知泰ってば~。なにも掛けないで転寝してたら風邪引いちゃうよ? お腹痛くなっちゃうよ?」
「ぐご……ぐごごごぉ」
こいつ。(怒)
……キュートで美しく可憐なウチが用も無いのに来たげて、風邪引かないように起こしたげてるのに奇怪なイビキで返事しやがった。
「……みくちゃん……俺、もう嫌だよ、こんなの……」
一発ビンタでも喰らわせてやろうかと手を振り上げたところで知泰の寝言が口を吐いて出てきた。
眼尻に薄っすら涙が零れ出している。
……きっとあの頃の夢を見ているのね? あんたてば。
小学校でのあいつは来る日も来る日も曇天のような顔をしていて、泣きはしていなかったけど、今にも目から雨が降りそうで見ている方も辛かったことを覚えてる。
「ちょっと? ともりんっ! みくといっしょにいるときくらい、シャキッとしてよねっ!」
「だって……もう俺、嫌だよ、こんなの……お父さんとお母さん、お兄ちゃんやお姉ちゃんたちと、どうして離れ離れに暮らさなければいけないんだよっ! 今日の授業参観だって、俺ん家だけ誰も来てなかった……」
「もっ! ともりんは男の子でしょ? 済んだことにいちいちめそめそしていないで、ほら元気出しなさいよっ! 家に帰ったらウチのママがニコニコおはよー( ̄□ ̄;)!!プリンヨーグルト味を買って来てくれてるから一緒に食べよ?」
「ヤダよ、そんなヨーグルトかプリンか分からない食べ物」
「あんたってば、ぅんとにもうっ、わがままばっかり言うんだからっ! ともりんはっ。これ美味しいのよ? けっこう」
「みくちゃん! 今、語尾に【?】付けたよねっ!、クェション付けたよねっ!」
「だって知るわけないじゃんっ! ……だってこれ新作だしなんだか怪しい香りがネーミングからプンプン匂ってきたから、ウチだってまだ食べたことないんだもんっ! ニコニコおはよー( ̄□ ̄;)!!プリンヨーグルト味。だからともりんに始めに食べさせたげて、様子をみようかな~って思ったのっ」
「みくちゃん! それ完全に毒見役だよねっ! 俺っ」
「違うわよっ! ここのところ、ともりんに元気がないからウチが気を使かたげてるのっ! あとっウチのことはみくみくって呼びなさいっていつもゆってるでしょ? なんど言えばわかるのかなぁ~? ともりんはっ」
「みくみくなんて恥ずかしくて呼べないよ! みくちゃん」
「なら、みくねぱみゅぱみゅでもいいよ?」
「ダメだよ! みくちゃん、その呼び方にしたら読者さんが噛み噛みだよっ! そんな噛み噛みになりそうな呼び方にしたら俺、その呼び方でみくちゃんを10回呼んだら10回噛むよ! ノーミスフルコンボ達成だよ! 噛み噛みの達人、間違いなしだよっ!」
「だからみくみくって呼べっつてんのっ! 呼んでくれたらともりんの好きないちごパンツ見せたげてもいいよ? あ、あのね? そのね? ウ、ウチね、今日は気合の入ったいちごパンツはいてるから……」
「みくちゃん俺、そんなこと望んでないよ! 女子の間でいちごパンツが流行り出してるみたいだけど、俺はそんなパンツには全然興味ないよ! みくみく」
「良かった……、やっと笑ったね? とも~りんっ♡」
クスクス^q^
そういえば昔、ウチらが小学4年生のときに学校でスカート捲りが流行って、6年生のガキ大将がウチのスカート捲って、そのときウチが履いてたいちごパンツがみんなの前で晒されちゃって泣いちゃったときに、知泰が怒ってガキ大将と殴り合いの喧嘩までしてくれたんだっけ?
あの頃の知泰は七霧古神道術の厳しい稽古を毎日毎日、風の日も雨の日も嵐の日も稽古に稽古を重ねていて強かったんだよね。
ガキ大将は体も大きくて力も強かったけど、自分より大きい相手に知泰は負けなかったんだよ? そりゃもう今と違ってカッコ良くて女の子たちの憧れの的だったんだから。でもね? 今でも知泰は時々だけど、物凄くカッコイイ時があるんだよ? だけどね、それはウチだけが知っていればいいことなの。
「怖い…怖いんだ……誰か助けてくれよ……」
知泰ってば今度は怖い夢でもみてるのかな?
「大丈夫だよ、ともりん? ウチが傍にいたげるからね。どんなことがあっても、なにがあっても、ウチが、ウチだけは知泰の傍にいたげるからね」
悪夢にうなされている知泰の頭をそっと優しく起こさないように持ち上げて膝の上に乗せて撫でてあげ、知泰の寝顔を上から覗き込んだ。
悪夢にうなされていた知泰の寝顔が、ウチの膝の上でウチの温もりを感じたのか知泰の寝顔が安らいで行く。
知泰ってばほんとウチのことが好きなのね? こんな寝顔しちゃっ……。
うんもうっ! (*´д`*)
普段は死んだ魚の眼をして間抜け面してるのに、寝ている時だけはなんでこんなに可愛いのよっ! (>_<)
余りにも可愛い寝顔をしている知泰の頭を、思わず優しくギュッと抱え込んでしまった。
ポカポカとした気温と窓から入って来る初夏の香りがほのかに香る心地良い風に中てられている内に、なんだかウチまで眠くなってきちゃった。
瞼がやけに重くなって来た……ウチも知泰と一緒にお昼寝しちゃおっか……な……ウチも、安らかな寝顔をしている知泰と同じ夢が見れるといい……な…………。Zzz
「ニコニコおはよー( ̄□ ̄;)!!プリンヨーグルト味……恐るべしっ! 怖いよ怖いよ~誰か俺をみくちゃんから助けてくれよ……むにゅむにゅ……」
狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子 特別編。
~ ウチが傍にいたげるから ~
終わり。
ご拝読アリガタウ。
次回もお楽しみにっ!><b




