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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
season2 第二章 なんてこったっ! 嫁と姉ちゃんが修羅場ってるんですけどっ
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なんてこった! 嫁と姉ちゃんが修羅場ってるんですけどっ 9

「えぇええええっ! 持って来ていないのですかっ? 知泰さん。私のパンツ……」


 当たり前ですっ! なんと言う無茶を仰るんですかっ波音ちゃん。


 学校に剥き身の女性物のパンツなんて持って来れるはずないでしょうよ? あんな物を持って学校に来るなんて俺ってどんだけ変態なんですかっ! 女教師のパンツを所持して学校に来るなんて、波音ちゃんってばさ? 俺をどんな勇者にしたいんだよっ。


「酷いですぅ知泰さんは返す気がないのですねっ」


 返す気はありま~すって! だからってでも女性物のパンツを学校に持ってくる度胸は俺にはねぇーよっつてんだ!


「それなのに私のパンツをあんなもの扱いですか? お気に入りだったのですよっ」 


 目を潤ませ始めた波音ちゃんが俺を睨み付けてきた。


 あの……なんというかその、すみません。お気に入りだったのですか。それを知ると早く返して上げたい気持ちになるし、返したいのは山々なんですけど……。


「いやその流石に学校には持って来れないですって波音ちゃん。そうだ……折を見て家に来て下さい。家庭訪問とかするときにでも、そのときに回収して行ってください。それでいいですよ……ね?」


「知泰さんは直ぐには返す気がないのですね? でももう返して下さってもいいじゃないですかっ、十分に私の汚パンツを散々弄んだのでしょ? くんくんしたんでしょ? 十二分に思春期の欲求を発散したのでしょ? まだ足りないのですかっ! それどころかパンツだけでは飽き足らず自宅に招いて、私にな、なにをしようとしているのですかっ」


 波音ちゃん! 思考が行くところまで行っちゃいましたね! 大丈夫ですって、なにもしていませんしなにもしませんっ。パンツも直ぐにきちんと洗っておきましたからっ。


「……な、なにもしないって、なにもしてないって知泰さん。……それはそれで先生は複雑な気持ちになっちゃいますぅ」


「えと? そ、それってなにかしてもいいってことなんですか?」


「ダメですぅ~! そ、そんなのは……あの、け、結婚してから……」


 ……はい? 


「だから……あのっ! 久遠寺さんとのことは無かったことになったのですよね? まだ私にもチャンスがあるってことですよね? チャンスが出来たってことですよね?」


「いやだからそれは……出来たことになるのかな? でも波音ちゃんは美九音に言いましたよね? 俺をあいつから奪わないって?」


「はい。言いました。ですがそれは今はです。明日は分かりませんよ?」


 波音ちゃんの今、短っ!


「もうパンツはいいですぅ知泰さんに差し上げます」


 そう言って可愛くはにかむ波音ちゃん。


 ヤバイ、マジ天使。えと……勘違いすんなよ? 俺はパンツが貰えて嬉しかったわけじゃないんだぞ? 波音ちゃんがマジに可愛かっただけだからなっ!


「えと、俺に用ってそれだけですか? そうなら俺も帰ります。今、姉がこっちに帰ってきていますので、いろいろとあるんですよ」


 あの姉はなにをしでかすか分かったもんじゃねぇーからな。


 特に俺の私物とか漁り兼ねん。以前、俺の買った妹萌えの薄い本(エロ同人誌)を姉萌え本の薄い本に差し替えるという黒歴史を持っているからな。


 現状ではエロ本の類は、引っ越す準備をしていたときに、美九音の奴にあらかた処分されちまって無ぇーんだけども、なぜか一冊だけ試しにかったスレンダー系の本だけは生き残ったんだよな? 謎だ。


「えっ? 知泰さんのお姉さんが……えと私――」


「待った、波音ちゃん。その先は言わなくてもいいです」


 なにかを言おうとした波音ちゃんの言葉を遮った。


 だってさ? なにを言うかなんてこれまでの流れから予想出来るだろ? 俺だってそこまで鈍くはねぇーんだよ。


 きっと「私、御挨拶に伺った方がいいですか? 将来七霧に嫁ぐかも知れませんし」って言うよな?


「ですが……、これから話すことの方が重要で本来の要件なのですが」


 えっ? じゃあさパンツの話はあとでも良かったよね? 1500文字も使ってパンツの話と俺の恥ずかしい趣味嗜好がバレただけだったよね?


「後々に久遠寺さんにまつわることにもなってきますので、本人には聞かせない方が良いかと思って先に帰ってもらいました。もしかしたら何れは話さなくてはならなくなるかも知れませんが、せめて知らない内にこちらで対処出来ればと、姫子先生とも相談して決めました。知らずにいれるなら知らずにいた方がいいですからね。復活してから彼女の人生とも言える中で、人間と強く結びついて来た今の久遠寺さんには……」


 嫌な予感がするぜ。いったいなんなんだよ? なにが起きているんだ? 鬼一族がまた美九音にちょっかい出そうとでもしてんじゃねぇーだろうな。


「それもあります。何者かによってかつて酒呑童子の配下にいた四天王の封印が解かれました。間もなく酒呑童子の封印そのものも解かれるでしょう」


「それって、ヤバイんじゃねぇーの? だけど美九音には直接的に関係が無いことだよな? 本人が酒呑童子とやらに個人的に恨みでも無い限り」


「そうなんですが……今はどうあれ彼女は妖です。それも類をみないほど強い妖なんです彼女は……知泰さんはもう知っているのでしょ? 今の久遠寺さんが九尾の狐の力を使えばどうなってしまうのか」


 ああ知っているさ。あいつが今、強い九尾の力を集めて使えば、あいつは……美九音はかつての恐ろしい妖、白面金毛九尾の狐の本性に目覚めてしまう。


 久遠寺 美九音であったことも忘れて、どうしようもないほど妖に戻ってしまうんだよな。


「そうです。今の久遠寺さんにこのことを話せば、以前に起きた学園に現れた鬼の件といくしま童子の件で知泰さんを傷付けられた久遠寺さんが黙って見過ごすとは思えません。彼女はきっと二度と知泰さんを傷付けられまいとして九尾の力を躊躇無く使うでしょうね」


「……」


「ですが安心してください。この件に関してはまだ時間に余裕があります。封印を解かれた四天王も酒呑童子が復活し、命令あるまでは公に目立った行動はとらないでしょう」


「酒呑童子の封印が解かれたとしてどれくらいの時間に猶予があるんだ? 直ぐには動けないものなのか?」


「封印が解かれたからと言って、直ぐに全盛期の力が戻るわけではありません。久遠寺さんの様に自身の妖力で自我を失くしてしまうでしょうから。今直ぐに封印が解かれてもこの度、既に封印を解かれた四天王や酒呑童子が本来の力を取戻し鬼一族を統一し率いて動き出すまでに恐らくは一年、というところです。それまでに私たちも間崎君たちのGEOもその日のために準備を整えますから大丈夫ですよ」


「でも姫子先生や波音ちゃんたち、それに犬飼たち犬神一族が鬼一族を警戒していることは、既にあいつも周知の通りで今更隠すこともないんじゃねぇーか?」


 今のあいつなら“仲間”を見捨てたり切り捨て自分だけ良ければいいなんてことは出来ねぇーと思うんだ。


「今回の問題は鬼一族ではないのです、知泰さん。その封印を解いて回っている組織に問題があるのですよ」


「その組織っていったい……」


 人間を嫌い、鬼一族に着いている別の妖たちのグループでもあんのか?


「いいえ違いますよ。酒呑童子を倒して封じ、そして封印を施したのは人間です」


「えと……それがなんの問題になってくるのですか? 波音ちゃん」


「……人間が人間の編み出した術で封じた。その術を解けるのは人間だけです。妖には近寄ることすら出来ません。久遠寺さんは妖の中でも規格外の妖ですから、ある程度の力を取戻し本気を出せば自力で解くことも可能ですが」


「……つまりは美九音なら人間が施した術を破ることが出来るってこと? それでまた美九音が狙われるって言うのかよっ!」


「それも無いとは言い切れません。しかし今、既に四天王の封印が解かれました。それが意味することはもう知泰さんにはお解りですよね?」


「まさかとは思うけど……もしかして封印を解いたのは人間ってことなのか?」


「そうです。そして姫子先生たち情報部からの情報によれば今、この街に相当に強力な術者が九尾探索に来ているということなのです。あともう一つあるのですが、どうやら妖狐の一族も動きだしているようなのですよね? あの今まで大人しくしていた妖狐の一族が……。とても嫌な予感がします」


「しかし人間の術者が美九音を探しに? なんで?」


「それは分かりませんが、その点は大丈夫ですよ安心してください。同じ妖の私たちでも簡単には感知出来ないのが九尾の狐なのです。今の久遠寺さんの妖力を考えれば到底見つけられませんよ、例えそれがもっとも近しい同族の妖狐一族であってもです」


 美九音が狙われている……。


「そこで知泰さんに協力をお願いしたいのです。強い術者が相手では私たち妖も簡単には勝てませんし、その者の行動を阻止することも容易ではありません。無論、私たちも対処はしていますが、今回は七霧本家の力をお借りしたいのです。かつて酒呑童子や九尾の狐を討伐し封印したときの陰の功労者である七霧の力を是非、お貸しください」


 今度は妖ではない人間の陰陽師に美九音が狙われて。……はっ!? まさか!


「波音ちゃんっ。なんでそれを早く言わねぇーんだよっ!」


 俺は言葉と同時に身体は指導室の出口に向かっていた。


「急にどうしたのですか知泰さん? ちょっと……」


「美九音が危ねぇー」


「え、ええ? それっていったいどういうことなのです?」


 すぐさま追い駆けて来た波音ちゃんを振り返ることなく走った。



 美九音の家は隣だが向かう先は七霧本家だ。


 かつて在った俺が住んでいた家屋は、七霧の所有地ではあるが囲まれた塀の外にあった。以前に使用人や小使いの者達が使っていた古びた家だ。


 鬼の襲撃で壊され瓦礫は既に片付けられた今はもう無い、その跡を横目に七霧本家に通ずる門の前に立った。


 七霧本家の門を潜るのは一年半ぶりになる。


 俺の感が正しければ美九音と、そしてあの人がいるはずだ。


 あの人……つまりは強い陰陽道を会得した強い退魔師であり術者でもある人。そう俺の実の姉、七霧ななきり 飛鳥あすかその人がいるはずなんだ。


 To Be Continued

ご拝読アリガタウ


いよいよ第二章も佳境に入っていきます。

次回もお楽しみにっ!><b

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