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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
season2 第二章 なんてこったっ! 嫁と姉ちゃんが修羅場ってるんですけどっ
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なんてこった! 嫁と姉ちゃんが修羅場ってるんですけどっ 7

 その後は5人分も作らなければならなくなった本来不要な弁当も滞りなく完成し、朝食も済ませて3人のダメっ子動物たちと新学期の初登校となった。


 通学の途中で、今朝方から気になっていたことを尋ねてみるか?


「なあ未美に紅葉? なんでおまえらがあのマンションに出入り出来たんだ?」


「へぇ? 知らなかったの知くん。あたしあのマンションの住人だよ」


「紅葉? おまえはどうなんだよ」


「わたしも御主人様と同じ。住む場所を失って辿り着いたのがあのマンションの中庭だった」


 てっきり未美は女子寮で、紅葉は犬飼姉妹たち犬神一族と暮らしているのだと思っていたのだが、そういえば紅葉は犬神一族と反りが合わないらしいことを前に言ってたな。


 もしかして紅葉の奴は独りで暮らしていて、俺と同じく棲家を鬼一族とか、或いは他妖の襲撃にでもあって失っていたのか? 


 んん? 待てよ。なんか最後の方に余計な言葉が付いていなかった?


「えと、どこに辿り着いたって?」


「あのマンション」


「いやいや、そのあと、なんった?」


「中庭」


 まあな? マンションは分かる。住む場所を探していて妖専門の不動産屋にでも紹介されたのだろう。でもなんで中庭なんだ?


 なんとなく嫌な予感がして紅葉に尋ねてみる。


「おまえが住んでいた家はどうしたんだ?」


「鬼一族に襲われた」


「いつ?」


「夏休みに」


「どこで?」


「七霧本家の一角」


「……」


「御主人様のボロ家の庭」


「……」


「庭の隅に捨てられているように見えたダンボールの山が私の家。別荘が御主人様の部屋の押入れよ」


 おまえもかっ! 押入れ好きだなっダメっ子動物トリオっ。 っつーか紅葉っお前はホームレス女子高生だったのかよっ! そんな事実は初耳だ。俺はてっきり犬飼の家に居候決め込んでいるんだと思っとったわっ。


「言ってないもの」


「知らずの内に一緒に住んでたのかよ」


「そうね、わたしと御主人様は主従の関係を超えて、秘密裏に同棲していたことになる」


 しれっと真顔でとんでもないことをカミングアウトする紅葉ちゃん。


 言っておくけど秘密裏に俺ん家に不法侵入して住み込んだのはお前だからなっ! 俺はなにも知らなかったんだからなっ! 


 ……はっ!? 


 紅葉の放った言葉の直後に、ある物全て(主に俺なんだけど)を破滅に導くんじゃないかと感じるくらいの無言のプレッシャーと黒い疑惑を含んだ視線を感じた。


 そのプレッシャーと黒い疑惑の視線を向けているのは、言うまでも無く俺の幼馴染みにして嫁を経由し白紙に戻した途端に許婚だと発覚した幼馴染みから、そろそろ関係が発展しそうな予感がする美九音ちゃんだ。


「知泰? 飛鳥のことといい紅葉のことといい、あんたってほんと節操がないわねっ! こんなに可愛い狐っ娘の幼馴染みでしかも許婚だと発覚したウチがいるのにっ! 噛み付いてちょん切ってやろうかしらっ」


 ちょっと美九音ちゃんっ! いったいなにをちょん切るつもりなのですかっ!


「そ、そんなの! あんたのお……(ry。いちいち聞かないでよ……そんなのき、決まってるでしょ?」


 突然なにかを思い出したのか、余って勢いで言葉にし掛けたその言葉を口の中でくぐもらせて、なぜか顔を赤らめて俯いてしまった美九音ちゃん。


「怖ぇーよ! だからなにをちょん切るつもりでいるんだ? 言わなくちゃ分かんねぇーだろっ」


「そ、そそ、そんなのハズカシくて、い、いいい、言えるわけないでしょっ! あんた乙女になにを言わせるつもりっ」


 美九音は顔を真っ赤にしてプリプリ怒りながら、俺から顔を背けて黙ってしまった。


「おちんちんね」


 口を閉ざした美九音に代わって紅葉が答えた。


「なっ!? ちょっと狼っ。あんたなに言ってくれちゃってんのっ!」


 慌てて否定するも羞恥に顔を染めながら震えている美九音の挙動不振ぶりをみる限り、どうやら紅葉の答えは正解だったらしい。


「御主人様? いい加減にして。御姉様の気持ちも察して上げて」


 言ったのはおまえだっ紅葉。


「御主人様は鈍感ね。御姉様は噛み付いて・・・・・ちょん切ると言ったのよ?」


 確かにそう言ってたな。とても痛そうだから是非ともお断りしたい。


「確かにそう言ったけども、それがどうしたんだ? なにをなのかは分からんが、ま、まさか本気で食い千切ろうなんてじゃねぇーだろうなっ! 美九音っ」


「そ、そんなこと……しないもん……」


「あっ! 分かった」


 美九音の表情と紅葉の謎の問い掛けに首を傾げていた未美が突然納得に至ったようだ。


「なんだよ未美。急になにが分かったんだ?」


「猫? 絶対に言っちゃダメだかんねっ」


 どうやら未美が辿り着いた答えが正解のようだ。美九音、おまえは絶対に隠し事を出来ないタイプだな? 反応した態度でバレバレみたいだぞ。


「言わないわよ。あたしだって女の子なんだから、たとえ他人のことでも好きな男の子の前で面と向かってそんなことハズカシ過ぎて言えるわけないじゃない。そんな度胸はあたしにもないわよ」


「ありがと、猫。一応感謝したげる」


「御主人様? なんども言うけれど御姉様のことをもっと察してあげて」


 紅葉が美九音を指差して起こっている。滅多に感情すら表に出すことがない紅葉にしては珍しく顔にも若干、怒りが現れていた。


「御姉様は御主人様のおちんちんをちょん切るために、こんなにも愛らしい小さなお口をいっぱいに開いて御主人様のおちんちんに噛み付いている御自分のお姿を妄そ……(ry 想像してしまって顔を赤らめたのよ。御姉様ほど気位が高い美少女が見た目も行動も冴えない御主人様のおちんちんを口で咥えるというあられもない屈辱的な姿で〔ぱきゅ~ん〕オを、或いはその状態に興奮を覚えた御主人様がこともあろうに頭を強引に掴んで嫌がる御姉様に無理やり、イ〔ぱきゅ~ん〕オさせられるという屈辱な姿を妄そ……(ry 御姉様の雌の本能を、サディスティックに見えて実はマゾの御姉様のM心……(ry、御自分が強いられた屈辱が脳裏に浮かんでしまった御姉様の胸中をなぜ? 御主人様は察してあげられないのっ」


 紅葉っ! おまえ~全てを語ってしまっているじゃねぇーかっ! それにおまえも可愛い顔しておちんちんとかモロ出しにして言ってんじゃねぇーよっ。そこは一応伏字にしろよ、そういう言葉はっ!


「お、おおお、狼っ! あ、あああ、あんたそれ、ゆったらダメなところてんこ盛りっ!」


 どうやら美九音は紅葉が言っていたことを本当に想像してしまっていたらしい。ほんと隠し事が出来ない奴だ。


「と、ととと、知泰っ!」


「なんだよ美九音? そんなにテンパってないで兎に角落ち着け」


「ち、ちち、違うのっ! これは違くて……ウチはその……そういうの知らなくて、そのね? 昨日、家に帰ってから携帯のメールで来八音こはねちゃんに相談したのね?」


 もう美九音の奴はテンパり過ぎていてなにが言いたいのかさっぱり分からねぇー。


「っつーかおまえっ! まだ中学生女子の妹になんてことを相談してんだっ!」


「だから違うんだってばっ! ウチはね、来八音こはねちゃんに男の子ってやっぱり料理とか出来る女の子の方がいいのかな? 可愛く思うのかな~とか」


「とか」


「他になにをしたげたら悦ぶのかな~って相談したのっ。そうしたら、なんかさっきの話みたいのが書いてあって、……ウチなんだか分かんなくて代わりに来八音こはねがいろいろ調べてくれたり、画像を送るのはハズカシイとかゆって送ってきたメールに書いてあったアドレスを入力してインターネットで調べてたら、……そのね、あのね? ゆってたみたいのが画像で出てきたから……。でもでもっ! お、おお、狼が変なこと言うから、その……思い出しちゃったんだもんっ! バカっ」


 美九音よ? 中学生女子の来八音こはねちゃんになんてことを相談してんだよっ! まさか相談したとき「喜ぶ」を「悦ぶ」と主にエロ方面で良く見かけるよろこびを表わす表現で変換したんじゃねぇーだろうなっ! そら来八音こはねちゃんもまさか高校生にもなった姉から、よもや男の子の悦ぶ方法とか聞かれるとは思わなかっただろうし、さぞ焦っただろうしハズカシかっただろうよ。


 それをネンネの姉のために調べて答えてやって参考になるエロサイトのURLを教えてやるなんて……って、えっ? 来八音こはねちゃんの方が、高校生女子の美九音よりおませさんじゃねぇーかっ? 恐るべしいまどきの中学生女子。




 始業式を終えたあとHRの時間に2学期に控えている学園2大イベントの体育祭と学園祭について話があった。


 そして最後に進路調査表なるものが配られた。


 2年生になった直後にも一度、進路調査が行われたがそのときはまだ誰もが進路を絞り込んではいなかったと思う。


 ただ漠然に進学か否か、そしてなにを目指すのか自分の学力を踏まえてどの大学を受験するのかを、なんとなく自分が思い描いている未来をビジョンとしてイメージしたくらいのものだった。


 しかし高校2年生の2学期となれば、もうはっきり決まっている者は既に準備していることだろうけども、漠然と進学と書いた者も受験の準備を本格的に始める時期に来ている。


 ふと美九音の進路が気になった。


 進学先はどこを選ぶのだ? あいつはいろいろ知らなくて残念思考なところもあって、美九音の普段を見ていると、こいつバカなんじゃね? とかついつい思ってしまうのだけれども、学校の中間試験や期末試験なんかは入学以来、常に学年1位を取り続けている。


 しかも風の噂では陽麟学園の入学試験は難しいといわれているにも関わらず、パーフェクトだったらしい。


「なあ? 美九音。おまえ進路どうすんの?」


「えっ? ウ、ウチ? ウチは……内緒」


 なぜか進路のことを聞いただけなのに顔を真っ赤にして俯いてしまう美九音ちゃん。


「えと、七霧くん?」


 担任の水無月 波音ちゃん24歳独身のロリ教師が俺の名前を呼んだ。


「なんですか? 波音ちゃん」


「七霧くんは進路は決めていますか? もし決まっていなかったり迷っているなら書かなくてもいいですよ」


「なんで?」


「えとですね。それは……内緒ですぅ」


 なぜか進路を聞くいて生徒の意向を確認し指導や助言をする立場であるはずの先生が顔を真っ赤にして俯いた。


「えと、進路調査表の提出は一週間後ですぅ。良く考え御両親とも相談しながら皆さんの未来を決めてくださいね。提出後に一度、個人面談を行います。このあと七霧くんと久遠寺さんは職員室の指導室まできてくださいね。大切なお話がありますから」


 大切な話ってなんなんだ? もしかして妖絡みでなにか起こっているんじゃねぇーだろうな? でもそれなら未美も呼ばれるはずなんだよな。もしかしてもう未美は既に聞いて知っているのかもしれないな。


 気になって未美の様子をみると特に変わった様子は無い。それどころか俺の視線に気付いて、にこりと笑顔を浮かべて手を小さく振ってきた。


 なんだかんだで未美の奴もやっぱり可愛いじゃねぇーかっ! チクショウっ。


 To Be Continued

ご拝読アリガタウ


次回もお楽しみにっ!><b


本作品に対するご意見、ご感想、評価など聞かせていただければうれしいですよ。

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