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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
season2  第一章 どうしてこうなった(´・ω・`) マジで! 最凶俺の嫁 
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どうしてこうなった(´・ω・`) マジで! 最凶俺の嫁 13

ちょっと? 九尾S2

第一章最終話となります。


ではどうぞ。><b

 先ずは結果だけ伝えることにする。


 大炎魔を手にした俺を見た銀狐衆は、易ともあっさりと引き下がった。


 そのお蔭で故あって波音ちゃんが自ら剥ぎ取った、捥ぎ立てパンツを被るという変態行為に及んだ俺が美九音におぱんちゅ仮面であると、正体がバレて殺されることもなく無事である。


 ほらこの通りピンピンしてるぜ? えと……勘違いするんじゃねぇーぞ? 身体だがだぞっ! か・ら・だっ。




 黒き炎を纏った刀身はいくしま童子の時よりも猛々しく燃え盛っている。


「貴様が七霧だったのか。噂には訊いてはいたのだが本当に姫様は七霧の血統に嫁いでいたとは」


 銀狐の1人が美九音を見て悲しげに笑った。


 当の美九音というと、どうやら大炎魔を呼んだ時に俺の声に驚き、びっくりした弾みにそのまま卒倒したらく気を失ってしまったらしい。


 こいつらしくねぇーと思わねぇか? そのくらいで気を失うなんてさ。


 それともなにか? 変装に気付いて俺の余りの変態っぷりを見て気を失ったんじゃねぇーだろうな? 


 だとしたらあとが怖えぇーな。


「どうしたよ銀狐ども。まだ美九音を力づくで連れてくってんなら俺は容赦しないぜ? 大人しくあんたらが引いてくれれば俺に争う意思はねぇーよ」


「何故だ人間。何故そこまでして銀狐衆を相手にしてまで姫様に拘る? 貴様は七霧だ。元来妖の天敵であり我らとは相容れぬ者だ」


「先ず最初の質問? でいいのかな。それは美九音がお前らと妖界に、妖狐一族に戻って生きて行くことを望んでねぇーから、それだけだ。もう一つの質問だがな……確かに俺は七霧に生まれたけれど、物心着いたときにはいつも俺の隣には美九音がいた。俺は確かに七霧だが、ただそれだけだ。それよりも七霧よりも、もっと俺は久遠寺 美九音の幼馴染みだってことに今日気付いた、それだけだ」


 なんか文句あるっ! 美九音ならきっとこう言うよな?


「俺は美九音の同族である、あんたらを傷付けたくはねぇーんだ。このまま美九音を見逃してやって引いてはくれねぇーか? だとすると助かる。まぁあんたらと戦ってフルボッコにされるのは俺の方なんだろうけどさ」


「人間よ……もし姫様が我らを倒して守れ、と命令されたなら貴様は戦いたくないと、そう言いながらも我らを討つのだろう? 姫様のご命令で」


「う~ん? ……どうかな? あんたらが嫌がる美九音を無理やり思い通りにしようとしていて、もしそれが嫌で嫌で美九音が本気で泣いていたら、俺はあんたらと戦ってでもこいつを守るよ。でもさ美九音に命令されたからって、それだけの理由ならこいつに言い聞かせてでも戦わない。だって俺が・・・戦う理由を見つけられなければ戦えないだろ? それに俺が知っている美九音だったら同族を傷付けたくはないだろうし、傷付いていくところは見たくないはずなんだよな……」


「人間よ貴様が知っている姫様とはなんだ?」


「こいつは高飛車で我が儘で理不尽で勝気な奴だけど、本当は打たれ弱くて思い遣りがあって心配性で泣き虫な奴なんだよ。こいつはさ、俺や喧嘩仲間の未美や近しい仲間の前では口は悪いし理不尽ばかりだけれど、こいつを慕っている紅葉をちゃんと心配してやって叱ったりも出来る。波音ちゃんや姫子先生には時と場合を弁えきっちり尊敬の念を持って接しているし、学校では気配りの出来る優しい女の子なんだぜ?(俺以外には)可愛くて綺麗で(見た目だけは)、成績優秀でスポーツ万能で(学校の成績は)、学校中の誰もが憧れ慕っている人気ものなんだ」


「……絶対的なまでに畏れの対象であった、あの姫様がまさか」


 そんなに驚くことかよ? あんたたちは一体こいつのなにを見ていたんだ? こいつのことをなにも解かっていなかったんだな。


「あんたらが知っている以前の美九音は、白面金毛九尾の狐はどうだか知らないけどさ、きっと俺はあんたらに対してもこいつは優しかったんだと思う。ほらこいつが生きた前の時代って、もっと妖も今と違って日本中に溢れてて、人間を喰ったり悪戯したり脅かしたり怖がらせたりしていたんだろ? そんで妖退治の陰陽師の数も多かったんじゃねぇーの?」


「あの頃の妖界は戦国時代と言っても良い時代でした」


 そのあと銀狐衆の別のひとりがあとを引き取って話し出した。


 九尾の狐率いた個々の妖力と知力に秀でた我らが妖狐一族、圧倒的な数を誇った酒呑童子が率いる鬼一族、そして……鬼一族が地上の王なら空の王であって大天狗率いる天狗一族との熾烈な妖同士の覇権争いと、それに加え陰陽師たちとの凄惨な人間との利権争いでしたから……。


 その時代の姫様は強引で傲慢までの独裁主義で、それは恐ろしかったですよ。しかし三大勢力を率いる長の中でも姫様のお力は頭一つ飛び抜けていてそれはもうお強く、また賢く立ち回って我らを導いてくださいました。


 と続けた。


「強く恐ろしく怖かったのか? 当時の美九音は」


「はい。それはもう……姫様は一族だけではなく妖だけでもなく人間に対してもおそれの対象でしたから」


「そっかそっか。ほんとこいつは揺るぎねぇーな。でも同族のあんたたちには優しい奴だったんだな。そっかそっかうんうん――よっこらしょっと」


 気を失い地面に倒れている美九音を抱き起こし頭を撫でてやる。


「人間? 何故にそんなに誇らしげに嬉しそうな顔をする? 我らは姫様を恐ろしかった怖かったと申したのだぞ? それが何故に優しいという理解に及ぶのだ」


「そうだな~? ……こいつって凄く真面目な奴なんだよ。だから以前にあんたらがこいつと妖戦国時代を生きたときは、独裁者として敵にも味方にも恐怖を与える存在で在り続けたんだろ? 生きるか死ぬかの時代なんて俺には経験がないから分からないけど、こいつはさ……きっと仲間に厳しく接することで、誰からも畏れられる存在でい続けることで、同族のあんたらを敵から守り抜いたんだよ」


 きっとこいつなら自分が恨まれることになったとしても、こうしたと思うんだよな俺はね。だってこいつは誰よりも負けず嫌いで、だからこそ努力家で自分が納得行くまで物事にのめり込む。


 そしてなにより自分がやって見せることで周囲を納得させてきた。


 だからこそ、美九音は学校の皆から慕われているし人気もあるんだ。


 そんな美九音だから、生きるか死ぬかの中で俺みたいにぬるい奴らに対しての恐怖による絶対的支配をしたんだろう。


 戦乱の世では絶対に気を緩めるな、緩めれば死ぬぞ。ってな。


 それが良いのか悪いのかは別として、美九音は絶対的恐怖を持って当時の妖狐一族を一枚岩の如き組織力に纏め上げ、数的不利や敵一族との戦力差、頭上を抑えられているという状況的不利を克服するだけの士気を与えていたんだと思うんだよ。


「生きるか死ぬかの状況下でぬるいお仲間ごっこをしていたら、優しいだけのこいつだったら、あんたらはきっと飛び抜けて強かったこいつにだけ頼って、守られているだけだったろうな? こいつが陰陽師に封じられた後もあんたら妖狐一族が現在まできっちり生き永らえれたのは、こいつが居なくなった後も、そんな時代を仲間と共に戦い抜いて来れたからだろ? こいつは恐怖の下での支配を用いて、こいつ以上に恐ろしい妖は居ないんだと錯覚してしまうほど、どんな恐怖の中でも仲間一人一人が単独でも生き抜けるほどに、常に先頭に立って強さを示すことで、困難なこともやって見せることで、あんたらの気持ちを強くしたんじゃねぇーの? 違うかな?」


「確かに姫様は常に先頭を切って戦っていらっしゃいました」


「さて、俺は俺の知っている美九音を守るが、あんたたちどうする? まだ美九音を無理やり連れて行くなら、例えこいつの想いと心を傷つけることになるとしても、俺は戦うけど?」


 右手に握っている猛り狂う黒き炎を纏った大炎魔を銀狐衆の眼前に突き立てた。


「いいえ止めておきます。あなた様が姫様を想う気持ちとその刀が纏う炎に一瞬で焼き殺されては堪りませんから……。七霧殿、我らあなたの姫様への想いを訊いて目からうんこが出た思いです……」


 俺の話は目からうんこなんて出ねぇーよっ! それ目からうろこが落ちた、じゃねぇーの? 


 しかし日本語って恐ろしいよな? 一文字違うだけで、とんでもないことになるんだもん。


「七霧、七霧殿。姫様を……何卒我らが姫様を宜しくお願い申しあげまする」


 深々と頭を下げる銀狐衆。


「いいのかそれで? あんたたちはこいつを連れ帰らなきゃならないんだろ?」


「……良くはないです。しかし我らとて姫様の幸せを一番に望んでいるのも本心です。出来ることなら姫様には御自分が心から好いている相手に愛され結ばれて頂きたい。そして姫様を心から好いてくださり愛して下さる御方を愛して嫁いで貰いたい。七霧殿、あなたは姫様が内に秘めた心の内まで察して見せた。あなたなら我ら銀狐衆は姫様を託せます。一族の中には我らと同じ気持ちの者も少なからずおります」


 偉く高く買われたもんだよな俺も……。


「でもさ? さっき言ったことは俺の推測でしか無いんだぜ? もしこいつに訊いてみたら絶対認めないと思うしな」


 顔を赤らめ口を尖らせて分り易く否定するだろうよ。


 銀狐衆はやんわりと笑って「そうですね、やはり良く姫様のことを分かっていらっしゃる。姫様は決して本心であっても認めないでしょうね。姫様は人の言うことなど認めて御自分を曲げたりはしませんから、何せ姫様は――のお方で在り続けていらっしゃいましたから」と言った。


 だよな俺もそう思う。


 こいつは最強で最凶の妖、九尾の狐で最凶に性質が悪い九尾の狐だけれども、最高に可愛いところもあるが、殺人級の手料理を食わせる最凶の幼馴染みで、おまけに今は俺の嫁なんだからな。


「七霧殿。十中八九、天狐様は我らが戦わずしてあなたに敗北したことを、全盛期の姫様に匹敵する神通力、【千里眼】で様子を見ておられたことでしょう。これからあなたたちには天狐様が差し向ける刺客が現れるかも知れません。その時はどうか姫様を宜しくお願い申しあげます」


「ああ任せとけ」


 妖相手に戦い抜いてこいつを、美九音を守り抜けるなんて自信は俺にはまだない。


 だけどこいつを守ってやりたいって気持ちは俺の本心だ。


 ひとりでは無理だけど、こいつが俺の傍に居てくれるなら……、こいつとならきっと出来ると思うんだよ。


 こいつと一緒なら……。


 未だに気を失ったままの美九音に向って、俺は「俺は絶対にお前を――からな」と、まだ言葉には出来ないでいる、とある言葉を可愛い寝顔を晒して眠っている美九音に告げ、その言葉を心に強く誓った。





 狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子 season2  第一章 どうしてこうなった(´・ω・`) マジで! 最凶俺の嫁。 終わり。 

























 エピローグというかプロローグ。


 銀狐衆は去り際に俺に、こう言った。


 姫様の話によれば、姫様はまだ旦那様になられた七霧様にお許しになっておられないとか……。


 我らはお美しい姫様のお子を兼ねてより楽しみにしておったというのに、姫様もとんだネンネちゃんでございますな。


 姫様が愛する七霧殿に愛想をつかされ、出戻る前に策を講じねばなりませぬ。


 そうだ。では七霧様に魔法のお言葉をお教えしておきましょう。


 さすれば姫様は必ずや、身も心もあなた様に捧げられることとなるでしょう。


 では七霧殿。どうか我らが姫様に子種を孕ませて下さいまし、そして可愛らしい姫様のお子を一族にお見せ下さいますよう……d(。ゝд・) (o^-')b ( ≖ิ‿≖ิ )b



 その魔法の言葉は――。


ご拝読アリガタウ。


次回っ!


狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子 season2 エピローグというか第二章プロローグ 俺の可愛い嫁がネンネちゃん過ぎて生きるのが辛い。


をお楽しみにねっ!

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