九尾な女の子 6
こんばんは
雛仲 まひるです。
狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子を御拝読くださりアリガタウ(`・ω・´)
さてちょっと九尾6です。
ちょっとしたシリアスを経由した今回はバトルパートに突入します。
大妖怪九尾である美九音。
幼馴染が故に彼女の弱いところも知っている知泰が美九音のために頑張ります(`・ω・´)
では俺得満載ラブコメディーをお楽しみください><b
俺には美九音がくれた御守りが気配を断ち切るだけじゃないという確信があった。
長い間、俺の身を第一に守り続けてくれていた美九音が万が一、気配を晒し戦わなければならない状況下に陥った時に、俺を守るための策を講じてない訳がない。
だって、こいつは狡猾な狐で、それもとびっきり賢くてプライドが高くて、どうしようもなく我が侭な、我が侭だけど……。だけどこいつは狐の中でも、とびっきり賢くて優しい幼馴染なんだから。
「方法は?」
美九音がぽつり、ぽつりと話し出した。
「知くんに渡した御守りの中にはウチの金毛が、大事なお毛毛が入ってんのね」
……なんかさ? 金毛とか大事なお毛毛って言われると妙にエロイ響きじゃね? 年頃の女の子がそんなの言っちゃダメっ! まぁこいつは白面金毛九尾の狐。自慢の金毛って意味で言ってんだろうけどさ、天然ってコワイ。
「でもお毛毛だけじゃ効力を発揮しないから、結界に長けたある妖に頼んで御守りを作ったんだよ」
「お前あん時、いつの間に他の妖に会ってたの?」
だって、そんな時間なんてなかったもんよ。
あの夏の出来事の直後、こいつは何時も俺と一緒にいたんだぜ? 御守りをくれたのは夏休みが終わる日、つまり俺達が七霧の生家から戻って来た当日だったんだからさ。
何時どうやって? 恐らくは相当高位に位置づけされている妖力のある、しかも結界に長けた妖と会ったってことだろ? そんな妖と九尾が対面するとなりゃ相当の友好関係にあるかじゃなきゃ無理なんじゃね? 妖の世界ってお互い妖同士が相容れるなんてあり得ないって思うんだよ俺は。
縄張り意識みたいなものが強い気がしてさ。
「ウチも知くんも運が良かったんだね、きっと。一番適任の妖が直ぐ傍にいたのだも」
「その妖って?」
「座敷童だよ」
「ちょっと待て座敷童って言えば、妖の中でも滅多に姿を現わす事のない妖じゃないのか? それとも妖には姿を良く見せるのか?」
「そだね。あの子は結界を張って気配を消すのも上手だし、それに人見知りだから人間はおろか妖にも滅多に姿を見せない、かな?」
「じゃぁどうやって座敷童の存在に気づいて、どうやって見つけ出したんだよお前はさ」
「ふふっ。教えて欲しい? 実は七霧の生家に訪れたその日の夜に、あの子からウチに挨拶に来たんだよ。あの子にとっても他の妖と出会うなんて事は相当珍しい事なのよね。だってあの子ってさぁー引き籠もりじゃん(笑)」
(笑)ってお前な? 嫌な言い方をするんじゃない。ほんとお前に自覚がある様に、妙に人間界の悪しき言葉や習慣を覚えてんのな。
んん? 待てよ。じゃぁ座敷童って……。
「そだよ。知くんの思った通りあの子はずっとずーっと昔から七霧の生家に居たんだって言ってたよ。きっと今も居ると思う」
なるほどね。いろいろ合点が行ったわ。七霧家が永きに渡り栄えるはずだな。
「それで本題に入るけど使い方は簡単。御守りの中に入れてあるウチのお毛毛を取り出せばいいだけのこと、全部じゃなくて一本ね。取り出したお毛毛がウチが持っている九本刀、あっ今は七本しかないけど、その刀の内、敵と相性の良い一本が選ばれて取り出せる様に結界を仕組んであるのね。あとの残りのお毛毛は全て知くんを守る結界となる。だけど覚えて置いてね、結界に守られるけど気配を消して戦う事は出来ないから。つまりは敵の前に身を晒す事になるの。だからウチらは知くんが妖によって危険に晒された時、その術が発動して自動的に術が切り替わる仕組みに作ったんだよ。ウチから送られる妖力が御守りのお毛毛を通じて何処に居てもどんなに離れていても知くんを守れる様にしてあるんだよ。そしてもうひとつ覚えておきて欲しいことなんだけど……、結界には時間制限もあるし、知くんを守ってあげられるその時間はあれから十年も経った今ではどれだけの時間、守れるかは分かんない。だから勝負を決めるのは早めにね」
「刀かぁ」
内心ほっとしたぜ。武術なら物心着く前から一通り仕込まれて来た。出来不出来は別としても、変な術みてぇなもんだったらどうしようかと思ったぜ。
俺そんなの教えて貰ってねぇもん。
戦える今の俺でもこれなら。
「で、どんな刀なんだ?」
とんでもねぇバカデカイ刀だったらどうしよう……。だって妖が持ってるんだぜ? どんなもんかなんて見当もつかねぇよ。
「相手は鬼。間違いなく知くんが手にするのは童子切安綱。 人間が対妖のために鍛錬して拵えた銘刀だよ」
「そうか。ありがとな美九音。んじゃまぁ行って来る」
「待ってっ……」
「どうした?」
「これ解いてって」
「駄目だ。そんな事したらお前も戦うだろ?」
美九音が静かに頭を振る。
「ううん……ウチは見てる。だって知くんがウチのために戦ってくれるだもん。……それにね? 知くんの骨はウチが拾ってあげなくちゃね」
と、御自慢のもふもふ尻尾を振り振り、可愛らしく微笑む超ご機嫌な美九音ちゃん。
おいっ。俺の死亡が確定しているみたいな不吉な事を言うんじゃない。最初の方の科白で、ちょっとマジにお前を可愛い奴とか思っちまったじゃねぇかよっ。
美九音の戒めを解いてやり、俺は鬼が居る場所に向い先ずは鬼を広い校庭まで誘い出す事にする。
あんなバカデカくてイボイボ付き金属バットみたいなもん振り回す奴を相手にするなら、定石ちゃー狭い場所に限るんだけど、相手の体格はデカい、俺は小さい、向こうの得物は重くて大きい。本来得物を自由に振り回せない様に、体格差の不利を有利に変えるために、狭い場所に誘い込む方が俺には有利に戦えるだろう。
だけどそれは経験豊富で腕のある奴がやるからこそ活きる戦術で、心得はあっても今の俺は鍛錬を怠ってきた武道の経験者に過ぎないからな。
七霧の家に伝わっていると聞いた事はあるけど、退魔術なんてもんを俺はなに一つ教わっちゃいねぇーし文献すら見た事もないね。
ならどうやって戦うか? そんなの決まってるさ。
鬼の様子を観察していた限り、あいつの動きはそれほど素早くなかった。寧ろ鈍いと言ってもいいね。身体がデカい奴って動きが鈍いイメージあるしな。
体力に自信がある訳じゃねぇけど、少なくとも俺の方がすばしっこいし小回りが利くから、攪乱して隙見て斬り掛るしか手はねぇ。
あいつが持つ獲物は破壊力は抜群だろうけど重く長く大きい分、取り回しは良くない。
俺は素早く動ける利点を活かしてヒットアンドアウェイと手数で勝負するさ。
でもチンタラはやってられねぇ。美九音の大事なお毛毛とやらと妖力で俺を守ってくれる結界は有限だそうだから生身で鬼の得物の打撃を喰らえば……。
おっといけねぇ考えただけでチビリそうになっちまった。……失敗したかもなぁー可愛げのない凶悪な幼馴染なんかに格好つけるんじゃなかった手も足も震えてきたぜ。
ビビる気持ちを押さえながら、鬼の背後から忍び寄り挑発して注意を引く事にする。
「おいっコラァ! そこの変質者っ。多くの女子高生も通う学校で、なんっう恰好してうろちょろしてんだよ。年甲斐もなく黄色と黒のボーダーって派手なパンツ履いてるだけでほぼ全裸じゃねか! 縞々パンツは美少女が履いてナンボじゃっつーの! 汚い中年のおっさんが履いてても萌えねぇってんだよそんなもんっ。俺の夢返せっチクショウっ! 通報すんぞコラァ」
鬼の野郎が俺に気付き、ゆっくりと振り返るとギロリと見下ろし「ぶぅわぉおお」という獣じみた咆哮を上げた。
おっかねぇー。シャレになんねぇなぁーおい。
……でもなおっさん。俺はそんくらいの恫喝じゃ引かないぜ? なんたって俺りぁー毎日毎日おっさんなんかより、数万倍は怖えぇー超怖えぇー、一見キュートな美九音ちゃんアイと本人曰くプリチー美九音ちゃんボイスから放たれる超精神破壊光線と超精神破壊音波の暴風に晒されてんだよっ!!
分かるか? 眼は口ほどに物を言うってあれだ。
美九音が俺を蔑み時の視線にはなぁ「はぁ?」「カス」「ハゲ」「馬鹿」「変態」「愚図」「間抜け」「ゴミ」「下僕」「虫けら」「ヘタレ」「死ね」etsetsって的確に状況に応じて掃射されんだぜ? どうだ凄いだろ? 心折れそうだよ俺は、あっ……涙出てきた。
「さぁ来い。暇なら俺が付き合ってやんよ」
俺は鬼を斬るための刀、鬼殺し“童子切安綱”を構え対峙する。
さてと……。一丁、今まで俺を守ってくれていた可愛い幼馴染のために鬼退治といきますか。
To Be Continued
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