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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
season2  第一章 どうしてこうなった(´・ω・`) マジで! 最凶俺の嫁 
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どうしてこうなった(´・ω・`) マジで! 最凶俺の嫁 9

こんにちは

雛仲 まひるです。


さてちょっと? 九尾S2第9話目となります。


ではどうぞ><b

 紅葉が指差した方向には、やっぱりというか当然と言うべきか美九音の姿があった。


 てかあいつなにやってんだ? ペットショップなんかに来て……。


 もしかしてあいつ――長年眠っていた動物的感覚が目覚めやがったのか? あいつが真っ当な狐だった頃に受けた大昔のトラウマかなんかで罠に掛った時のこととか思い出して、檻に捕らえられた愛玩動物たちに自身の姿を重ねて憐れみの目で見ていやがるに違いない。


 狐っていや今じゃ狐っ娘とかふさふさもふもふした尻尾が可愛いとかで持てはやされたり、衆目に止まっているところもあるけれど基本的なイメージとか良くないもんな? 狐を扱った昔話の多くは狐は狡猾だったり人を化かしているし。


 そっかそっか。そうだったのか。


 お前、さては人間に愛される愛玩動物に密かに憧れていたろ? 自分ももっと可愛がって欲しいとか思っていたろ?


 でもさ? お前ってばもう動物の頃を飛び越えて今やあやかしだしそれも九尾の狐っていう大妖怪になっちまってるし今更なんだよ。


 そんなこと気にしなくても俺が――。


 ゲフンゲフン……。お前さえその気になってくれたら、なってくれるならば俺がお前をいくらでも可愛がってやるっつーの、別の意味でだけど。


 ――っつーか、なんだよ。


 お前のその悲しそうな目は? なんでそんなに寂しそうな目をしていやがるんだよ? 誰にも手を差し伸べて貰えない売れ残った小動物ペットみたいに……。


 俺はそんな美九音の姿を見て、無性に居た堪れなくなって視線を背け頭を下げた。


「あっ! 御姉様が爬虫類的な奴に噛まれた」


 なんだと! 紅葉の言葉で美九音を確認すると大したことはなさそうでほっと胸を撫で下ろす。


「どうせならニシキヘビやアナコンダやらの類の巨大蛇の胴で全身を絡められ、イケないところを、乙女の秘密の蕾や花びらを責めたてられてエロい表情を浮かべる御姉様を見て見たいのに。悔やまれる」


 パチン☆


「痛い御主人様」


「うるせぇー」


 紅葉っ、おまえぇ~俺の幼馴染みでエロい妄想をするんじゃない。


「御主人様?」


「なんだよ」


「まだ御姉様のことを幼馴染みとか言っているの? 御姉様がどんな想いで御主人様に嫁いだと思っているの? 妖にとって人間に嫁ぐなど、どれだけの反発があるのかも分からない。それでも御姉様は御主人様に嫁ぐ決心をしたというのに……。御主人様はバカ――きゃんっ」


 御主人様にバカとはなんだ、バカとはっ。バカにバカって言われると悲しくなるから止めてください、お願いします。


「じゃあさお前らは……どうなんだよ? お前といい未美といい、波音ちゃんといい俺の傍に居るじゃねぇーか? それにあの時に、いくしま童子との一件の後に姫子先生たち妖グループの隠れ里で俺と、そ、その……け、結婚するとか言ってたじゃねぇーかよ?」


「御主人様は、ほんとになにも分かって無い。わたしたちと九尾の狐である御姉様とは、なにもかも事情が違う。唯一無二の存在とその他多数では当然の様に妖界の反応は違う」


「そ、そんなに偉いのかよ? 九尾の狐って……」


 そんなのあいつには……。


「そうよ御主人様」


 そんなの俺には……。


 俺たちにはどうしようもねぇーことじゃねぇーか……。


「妖界はかつて三大勢力に分かれていた。一つは御姉様であるところの九尾の狐を長とする妖狐一族。そして先だってのいくしま童子らを率いていた酒呑童子の鬼一族。そして大昔に妖界を裏切り人間界に取り入って、今現在妖界と人間界との橋渡し役を買って出ている大天狗を頭とする天狗一族。その長のひとりがまた人間に、それも七霧の血統である御主人様に嫁いだとなれば、妖界自体が震撼してもなんら可笑しくはない」


 お前も未美と同じことを言うんだな……。


「御姉様はそのことを知った上で、妖界からのなんらかの咎めが、制裁があることも承知で御主人様に嫁――」


 未美といい紅葉といい、妖界の事情ばかり言いやがって……。思わず紅葉の言葉の先を掻き消すように言葉を被せた。


「なぁ紅葉、それがどうした? お前らうるせぇーよ。美九音は美九音だ。あいつは……あいつが生まれたのは久遠寺家で、俺の隣の家に住んでいる女の子で、物心着いたときにはもう俺の幼馴染みで……久遠寺 美九音だった。俺にとってのあいつは、美九音はそれ以外の何者でもない。例えあいつが大妖怪九尾の狐であってもだ。なにも変わらねぇー変わるはずもねぇーんだよ」


「……御主人様」


「なんだよ紅葉。反論は認めないし聞かねぇーぞ?」


「うん。御主人様、……分かってる。そんな人間だから、人だから紅葉は御主人様が好き」


 どいつもこいつも俺なんかを好きだとか言いやがって……。どうして俺の周りに集まってくる可愛い女の子はあやかしばかりなんだ?


「御主人様?」


「な、なんだよ……文句も聞かねぇーぞ」


「そんなことどうでもいい。それより御姉様が移動する」


 そっちかよっ! 俺ちょっと良い事言った気になってたのに台無しじゃねぇーかっ!


「いくぞ紅葉」


「どこへ?」


「そんなことは分からんっ! これから俺は美九音をストーキングする」


「……では紅葉はこれで」


「えっ? お前は着いて来ないのか紅葉」


「うん。私に必要な本日の御姉様分は補給し終えた御姉様のストーキングの時間は終わり。あとは御主人様にお任せ致します。どうか御姉様を宜しく御主人様」





 紅葉が去り俺はひとり美九音のあとを付けた。


 暫く美九音は商店街を散策し幾つか買い物をしたあと、やがて次の目的らしい店を見付けたようで店の前で立ち止まった。


 そして店の前に立つこと5分が経過し、店内を覗いたりはするものの、どうも入店することに戸惑っている様子だ。


 俺はというと美九音に見付からない様に片側6m道路の車道を挟んだ側の歩道橋を十段程登ったところの踊り場から様子を窺がっている。


 俺の居る距離からでは美九音が入ろうとしている店がなんなのかまでは確認できない。


 もっと近づいてみることにした俺は、足早に歩道橋を駆け上がり向かい側の歩道へと向かった。


 そして等身大の立て看板の影に隠れてマイハニーのストーキングを再開した。


「あら? 知泰さん、ですよね」


 美九音の様子を窺っていると突如、背後からロリボイスで俺を呼んだのは我、陽麟学園のロリ教師。水無月みなづき 波音はのんちゃんだ。


「……あれは久遠寺さん、ですよ、ね?」


 波音ちゃんは何時もと違う髪型をしている美九音を見てそう尋ねた。


「そうだけど、ごめん波音ちゃん今取り込む中なう」


 しかし波音ちゃんが美九音を見て戸惑うのも無理はないかな? 何時もの見慣れたポニテからツインにしただけで女の子って相当印象が変わるもんだよな? なんだか美九音が少し幼く見える。


 っつーか、あいつはなにをやっているんだ? 店の前で落ち着きがないと思ったら、急にしゃがんで頭を抱えたりして? それとも具合でも悪くなったのか?


「はっ! 久遠寺さ――うぐぅ……むぐぐぐっ……むうむうむう……」


 美九音の様子を見て心配したのか波音ちゃんが大声で美九音を呼ぼうとした口を両手で塞いだ。


「むぅ……むうむう、……むぅ~むぅ~」


 そして裏路地に通じている路地に、そのまま波音ちゃんの小柄な身体を引きずるように連れ込んだ。


「……うっうう……うっう……ぐすん」


 なにも泣かなくても……。


「波音ちゃん! 大人しくしてくださいっ。言うことを聞いてくれれば直ぐに解放しますからっ」


「うっ……うむうむうむ……」


 波音ちゃんは涙を流しながらコクコクと頷いた。



「いいですか? 大きな声を出さないでください。美九音に気付かれるじゃありませんかっ」


 そしてゆっくりと口を押さえていた手を離した。


「ぷはっ……。な、ななな、なんですかっ! 突然っ」


「すいません」


「まったくもうですよっ。人気の無い路地裏なんかに連れ込まれて私、てっきり知泰さんに無理やりえっちなことされ、嫌だと言うのに乱暴されちゃうのかと思っちゃいましたっ」


 いやいやいや、可愛い生徒を強姦魔扱いするなロリ教師っ。俺の行動の一体どの辺でそう思ったんだ? 大声を出されないように口を塞いで羽交い絞めした挙句にひとけの無い裏路地に連れ込んだってだけで……。


 あっ! ですよね~。自身の行動を振り返り納得する俺だった。

 



 事情を説明して、漸く納得して貰えたところで波音ちゃんが尋ねてきた。


「えと、もしかして……新婚早々デート中だったのですか? ……!? 分りました私分っちゃいましたっ今夜の夜に備えて準備とかですねっ!」


「えと? なにが分ったのですか? 波音ちゃん」


「久遠寺さんがいらしたお店で、ランジェリーを、スケスケヒラヒラのえっちな下着を購入するところだったのですねっ! それで知泰さんは彼女と一緒に店に入る勇気の無くヘタレて、ここで待っているのですねっ! まったく……あなたたちはまだ高校生なのですからねっ! まだ夜のお勤めアイテムは不要ですっ。若さに任せてがっつり……、じゃなかった。もっと慎んだ夫婦生活を営んでくださいねっ。分りましたか知泰さん?」


 この人は一体なにが分ったというのだろう?


「てかあの店ランジェリーショップだったの?」


「はい。私もよく利用しますよ?」


 ロリロリボディーの波音ちゃんにはまだ早すぎますっ! まだスポーツブラすら必要ないじゃないですかっ。


「と、知泰さん……ひ、酷いですっ」


 おっといけない。美九音の様子を探らねば。


「ちょっと知泰さんっ! 中途半端な弄り方したまま放置しないでくださいっ」


 きゃんきゃん喚いているロリ教師は放っておいて、今は美九音の様子が気になる。あいつランジェリーショップなんかになんの用なんだ?


 まさかっ! 波音ちゃんの言うように、最近美九音ちゃんが購入している背伸びどころではない大人びたエロい下着を買って……一体誰のために? くそっ! 早速浮気かよ、あの裏切り者めっ。


「波音ちゃん。美九音が店内に入りそうです。ここからではあいつの様子が分りませんから移動しますよ」


「あの……知泰さん? 一体なにをなさっているのですか?」


「嫁をストーキングなう」


 美九音は決心を固めるように数度頷いてから店内に入っていった。


「いきますよ、波音ちゃん」




 To Be Continued

ご拝読アリガタウ。


本作品へのご意見、ご感想、評価などお待ちしておりますよ^^


では次回もお楽しみにっ!

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