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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子(裏) 注意:狐2ndシリーズではありませんよ?
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ちょっと? 九尾な女の子(裏) 7

 ウチは今、ウチのやるべきことをやるね、知泰。


 知泰のことはそりゃ心配だけど、このまま戦いになれば他の生徒や先生たちに事態が知れたらきっとパニックになっちゃう。


 騒ぎになれば知泰の特殊性に気づいた妖や陰陽師が、知泰を狙って来るに違いないからウチは先手を取って守らなきゃ。


 しかしそうは言うものの、戻りたい気持ちが顔を覗かせ始める。


 来る日も来る日も武道の心得を叩き込まれていたことは知っているけど、陰陽師の家系に生まれながら、妖怪退治の術を教わってないらしい。


 きっと知泰の家族は気づいている、だから七霧は知泰に人間の扱う術を教えなかったんだ。


 自分たちの子供の特異性に気づくなんてことは、親なら至極当たり前のことだけれど……。


 だったら七霧ともあろう対魔師の一族がウチの正体を知らないはずなのに、でも七霧はウチを退治も封印もすることなく知泰の側に置いているのはなぜ? それにはきっと理由があるんだ。


 今はその理由は分かんないけど。


 でも……ウチのパパとママは? ウチが化け物だと知らないの? それとも知っているの?


 ダメダメっ、今はそんなことを考えている暇は無いんだった集中しなきゃ。


 周囲に点在しているはずの殺生石の気配を探る。


 ウチの力――お願い応えて。


 目を閉じ感覚を研ぎ澄まし散らばった殺生石ちからの破片を探る。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ◇ 見つけた。


 見える感じるウチの力、全国に散らばっているウチの力の破片……お願い、来てっ。ウチに力を――あいつを守るだけの力を――。


 集まってくる殺生石ちからで満たされていく……、ウチの身体の中に入ってくる力の感覚が分かる。


 熱い。身体の中が熱くなる、息が苦しくなるくらい。


 もっともっと集めなきゃ、もっともっと集めなきゃ。例えウチが、ウチの体が壊れてしまっても、今のウチがどうかなっちゃったとしても……。


「……っ」


 人間に変態して擬人化しているウチの身体の中で集めた九尾の力が暴れだしている。


 ダメっ。


 これ以上は全盛期のまま封印されている九尾の狐の妖力の力の本流に精神が流されちゃう。このまま集め続ければ、ウチ……もう正気を保てなくなっちゃうかも知れないかも知泰……でもっ。


 ……でもまだ足りない。


 これじゃ異相空間を開くだけで精一杯、もっともっと集めなきゃ仮想空間を作り出せない。


 知泰……ウチに力をください。


 目を閉じている瞼の裏に映る知泰の姿に問い掛ける。


 あんたを想うウチの気持ちが九尾の力に負けないように、力を貸してウチを守ってね知泰……。


 





























 はっはっはっ……はぁー。よ、よし……間に合った。仮想空間を創り出せた。


 ガッシャーン。


 激しい破壊音が鼓膜を揺らしたのは仮想空間を作り終えた直後のことだった。


 嫌な予感が頭を過ぎる。無事でいてね知泰、ウチが直ぐに行ったげるからね。


「と、知泰っ」


 疲労感が激しく重く感じる身体をお越し壁を伝って這うように立ち上がる。


「行かなきゃ……」


 知泰のところへ。


 見守らなきゃあいつを。


 残る力を振り絞って立ち上がり、おぼつかない足取りで知泰のところへ向かった。




 ウチの目に飛び込んだのは、左腕をだらりと下げて刀を構えて鬼と対峙する知泰の姿だった。


 目尻の辺りには血が流れ、ところどころ制服も破れている。


 もういいよ……もういいから止めてっ。


 そう声に上げそうになって言葉を呑み込んだ。


 ウチの所為だ。ウチがあんなことを言っちゃったから……知泰は無理を承知で戦いに挑んだんだ。


『不味いかも……。このままじゃあいつが無雑作に垂れ流してる妖気に引き寄せられて、多くの妖が集まり出すかも。そうしたらあいつが興奮して暴れ出してガッコなくなっちゃう……。皆死んじゃう』


 ウチの所為だ知泰になにかあったら……。


 ウチを守りたい、戦わなくていい、と言ってくれた知泰の気持ちが嬉しくて喜んじゃったから、甘えちゃったから妖の事情に知泰を巻き込んじゃったんだ。


 でも見守らなきゃ約束したから。


 知泰が鬼に向かって踏み込んだ。


 鬼と交差した瞬間、右腕を斬られた鬼は血飛沫と「ぶぅわぉぉおおお」と獣の咆哮を上げた。


 やった! 知泰っカッコいいっっ。(*´д`*)


 でも浅い。体勢を整え直して――と、知泰?


 知泰が動かない。もしかして動けないの?


 動かない知泰に目掛けて鬼が金棒を振り上げた。


 どう……したの? 知泰……、早く逃げ――。


「知泰っ」


 ダメだ知泰は意識を失っているみたい。このままじゃ知泰殺されちゃう。


 動けっ動けっうごけっっっっ、ウチの身体っっっっ――。
















 


知泰、ウチのために戦ってくれてありがと。ウチは、ウチはね――。


「……ご、めん美九音。俺……約束守れ、なかっ、た」


「もぅバカっ無茶ばっかしちゃって……。ほんとバカ、バカなんだからあんたは」


 間一髪、ウチは知泰の身体を受け止めた。


 ……よかった間に合って。


 腕に抱き締めた知泰の虚ろな目が雄弁に語っている。


 ウチのスカートの中身を――。


 って! えぇえええええええええええええええええ。


「とっ、知泰っ! 死に掛けてるのにウチのスカートの中身を詳しく解説しなくていいからっ! ……もうバカっ、ほんとエッチなんだからっ」


 こんなになってまでウチのパンツが見れて嬉しかったの? もっほんとにほんとにもうっバ、カ……。


「知泰? 女の子のスカートの中身を三分の一ページにも及んで読者さんに解説しちゃう鬼より鬼畜で畜生にも劣る脳みそのあんたには、あとでおしおきなんだかんねっ! ウチに断りも無く勝手に死んじゃったら許さないんだからっ。っとその前に……。ちょっと? 低能鬼っウチの下僕になんっつーことしてくれてんのっ」


「美九音ってめぇー! 下僕ってなんだよ下僕って。そこは大事な幼馴染とかくらい言えんのかっ!」


「却下っ」


 ウフフ。バカね、告白はあんたからさせたげるからウチからは言ったげないっ。


「ねぇ鬼? このままあんたを放っておいたらあんたが垂れ流している妖気で他にも妖が集まっちゃうでしょうがっ! そんな事も分かんないわけ? 大人しくどっか行っちゃえば見逃してあげたものを……。ウチらはね、戦いたくなんてなかったのに、何時までもあんたがメタボ腹露出してうろついてるから、この白面金毛九尾のウチの逆鱗に触れる事になったの分かってる? ウチはね、出来れば御淑やかな女の子のままでいたかったのっ」


 無言のまま目で訴える知泰の抗議は無視してちゃおう。


「却下っ」


 だってウチは……今、物凄く怒ってるんだもん。


「さて、あんたはウチの下僕に怪我を負わせた。でもそんな事はちっぽけなことよ。どうでもいいわ」


 またまた無言で訴える知泰を冷たく無視しちゃう。


 だって拗ねてる知泰ってば可愛いから。


「あんたも分かってんでしょ?  むかしむかしに人間と共存していくことを決めた ウチら には ウチらのルールってもんがあるでしょ大むかしと違ってっ。その低能な頭でも分かってるはずでしょ?」


「ぶぅうぉぁぁあ」


 首を傾げていた鬼が急に暴れ出し奇声を上げて襲い掛かってきた。


「ちっ、仕方がない。あんたはもう消えなさい」


 食らいなさいっウチの愛のラブラブパワーっ!


 妖術なんて小細工なんてしない。ありったけの妖力を右手に収束して一気に開放する。


 鬼は断末魔さえ残すことなく放った九尾の妖力に呑み込まれ、一瞬にして消し飛んだ。


 よっしゃー! 見た見た見た? ウチもカッコよかったでしょ? ねぇ知泰? ……ねぇってばねぇ? とも、ひ……――。


「と、知泰? しっかりしてよっ……ねぇ知泰ってばぁ? 返事しなさいっ知泰……と、も…ひろ? ……っ、死んじゃ、ヤダぁー」


 息も絶え絶えにウチの腕の中で力無く横たわる知泰がいた。


 何度呼んでも返事は返って来ない。


「死んじゃ、ヤダって……ゆった、のに……バ、カ……」


 呼び掛けてもピクリとも動かない。もう知泰の鼓動も呼吸も感じることが出来なった。


 止め処も無く涙が溢れ出して止まらない。


「……骨は拾ったげるってゆったけど、本気にするんじゃないわよ、バカっーーーー」


 To Be Continued

ご拝読アリガタウ。

次回もお楽しみにっ!

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