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クリスマスはケーキと相場は決まっているっ!

こんばんは

雛仲 まひるです。


狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子。


このショートストーリーはイラストを頂いたときに書いたものです。

一枚は以前にUPしたちびみくねちゃん。

そしてその時に頂いたデレみくねちゃんのラフを載せますねっ!

苦手な方は挿絵をoffにしてくださいねっ!


では番外編をどうぞ><


 これから話すことは、去年の年末にあった俺と美九音の話だ。


 知っての通り美九音は、我が儘で傍若無人でちっとも可愛げのない俺の幼馴染みなのだが、たまーに、ほんとたまーに可愛いところもある。


 しかしそれを上回る凶暴さを持っているもんだから性質たちが悪い。


 なんせあいつは、凶悪にして狡猾な狐。あやかし九尾の狐なんだ。


 そうあれは去年のクリスマスイブ……。




「……ねぇー知泰? これどういうことっ」


 小雪チラつく寒いクリスマスイブ朝、布団に包まり惰眠を貪っていると、苛立しげな女王さまヴォイスが鼓膜を震撼した。


 っつーか! 朝っぱらからうるせぇ~ぞ。美九音っ!!


 甘ったるいシャンプーの香り漂わせる蜂蜜色の髪の毛に灼眼の紅い瞳の美少女は俺の幼馴染、久遠寺 美九音が四角い箱を手に立っていた。



 知っている奴もいると思うが、こいつはただの幼馴染じゃない。あの大妖白面金毛九尾の狐の生まれ変わりなんだ。


「どういうことってクリスマスイブだろ? だからケーキ用意してやったんじゃねぇーかっ」


「だ~か~らっ! なんでケーキだけなのよ、っつてんのっ!」


 はっ!? クリスマスっていや、やっぱ相場はケーキだろ? ……そうかっ分かった。昨日プレゼント強請っていやがったよな。もしかしてお前、催促してんのか?


 でもさ昨日、買って渡してやったらお前「空気読めっ、こういうのは分かっててもイブの夜に渡すもんでしょっ! あれこれムードの出るシチュエーションとか考えなさいよねっ」とか言って口尖らせて怒ってただろっ。


「はいはい。分かりましたっ! ほら」


 綺麗にラッピングしてある小箱をベッドの引出から取り出して美九音に渡してやった。


「ちょっ! これはまだでしょ? 昨日、あれほど言ったじゃんっ。あんたってばほんとバカなんだからっ! もっとタイミングってもんを考えてよねっ」


 ……こ、このクソアマぁ~。俺にいったいどうして欲しいっつーんだよっ。


「ウチが言ってるのは、なんでケーキ1個だけなのかってことなのっ」


 はっ!? 二人だけなんだからホールケーキ1個もあればそれで充分だろ! それにそのケーキはお前が選んだ特注サイズだからっ! ちょっとしたウエディングケーキだぞそれっ。


「太るぞ」


 バッシンっっっ!? ☆


 言うが早いかビンタで会話してきやがった。


「痛てぇ~よっ! っつーかお前は口より手が早いんだよっ」


 ゲシゲシ!? ☆


 今度は足の裏をお見舞いされた。でもまぁこれはれで……(*´д`*)


 !? 勘違いしないでよねっ! 別に踏まれることに悦びを感じてないんだかんねっ!! ほら短いスカートで顔面に蹴り貰ったら見えるだろ? まぁこいつパンチラくらい俺の前では平気みたいなんだけども……、なんだか男として負けた気分になる。ORZ


「と、知泰の……バカっ! 大事なこと忘れてっ!」


挿絵(By みてみん)


 大声で怒鳴った美九音を見ると涙目になって睨んでいた。


「知泰のアホっ、バカっ、スケベっ、変態っ、痴呆症っ! あんたなんか……あんたなんか……大っ嫌いっ」


 美九音は云われなき暴言を俺に浴びせて部屋を飛び出して行った。


 ……大事なこと?


「な、なんだよ、それ……」



 ☆ξ


 ☆ξ☆ξ


 ☆ξ☆ξ☆ξ



 辺りが暗くなり始め、雪がちらつき出しても美九音は帰って来ない。


 あんのっバカ、雪が降ってるっつーのに何処に行きやがった。


 灰色の空を見上げると頬に冷たい雪が落ちては溶けていく。


 空が泣いているように思えた。


 天使の涙なのか? ……っ、あいつも今頃何処かで泣いてんのかな? ……ほんとにほんとにっ! あんのっバカがっ。


 コートを鷲掴みにして、白く染まった景色の中へと俺は駆け出した。




 美九音の立ち寄りそうなところを回ったが、見つけ出すことは出来なかった。


 何時の間にか雪は止んでいて夜空には満天の星空になっていた。月明かりが何時と違う景色を白く映し出している。


 気が付けば美九音ん家の前まで戻って来ていて、ふと神社の社へと続く階段の前で足が止まった。


『と、知泰の……バカっ! 大事なこと忘れてっ!』


 美九音の言った言葉を思い出し、手に持った白い箱を見つめて呟いた。


「12月24日。忘れてなんてねぇーよ、バカ」

 

『知泰のアホっ、バカっ、スケベっ、変態っ、痴呆症っ! あんたなんか……あんたなんか……大っ嫌いっ』


 ついでにあいつが吐いた暴言まで思い出しちまったぜ。


 ほんとムカつく奴だ。


「美九音のアホっ!」


「誰がアホだってーのよっ?」


挿絵(By みてみん)


 頭上で馴染みの罵声が聞こえた。


 階段を昇り切ったあたりに視線を移すと、美九音が御自慢のふさふさ尻尾を抱き締め、立っていた。寒さの所為だだろうか? 僅かに震えているようだ。


 寒さの余り自分の尻尾を抱き締めて暖を取っている。


 俺の姿を見付けた美九音が、月明かりに照らし出された蜂蜜色の髪の毛をヒラリと手で靡かせ、腰に手を置いたお決まりのポーズで立っている姿があった。


 強がりやがって、風邪引いても知らんぞ。


 俺はなにかに引き付けられるようにフラフラ階段を上り始めた。


「なにしに来たわけ?」


「届け物をしに来たんだよ」


「あっそ」


 美九音は口を尖らせプイっとそっぽを向いてしまった。


 人が寒い中探し回ってたってことくらい分れよなっ! ほんとムカつくぜ、こいつ。


「帰れっ」


「嫌だね」


 伝えなくちゃいけないことが、言わなくちゃいかねぇーことがあるからな。


 何時しか二人の距離は詰まっていて、美九音の前まで来た。


「寒かったろ?」


 俺の言葉を聞いた美九音は、また尻尾を抱き締めて言った。


「寒くないもん。ウチ、冬毛に替わってるから尻尾モコモコだもんっ。凄く暖かいもんっ。……くちゅ」


「くしゃみしてんじゃん、お前」


 己の身を庇うように両腕で尻尾を抱き締める美九音。


「さ、寒い……」


 当たり前だっつーの、お前どれだけの時間、外に居たんだよ。


「美九音?」


「な、なによ……」


「ハッピーバースディー&メリークリスマス」


「と、知泰……。もうバ、カ遅いよ」


「なんか言ったか?」


「寒いっつたの! ウチ、寒いんだから早くギュってして暖めてよね……」


 御自慢のふさふさ尻尾をギュッと抱き締め、上目遣いで俺を見る美九音をみると、ドキッと心拍数が跳ね上がった。


「はいはい」


 ったくよ。こいつはたまーにムカつくほど可愛いんだから。


「早くっギュしれっ!」


「はいはいはい」


 凍える美九音の背中に手を回す。


「離さないでよねっ? ウチ、寒いんだから……」


「はいはいはいはい」


「ねぇ知泰? ウチのこと……大事?」


「まぁ……幼馴染だしな」


「……ほんとバカっ、ほんとにもう……唐変木とうへんぼくなんだからっ」


 それから暫くして気温もグッと下がり始め、これ以上外に居るのは正直辛くなってきた。


 そろそろ家の中に入った方がいい。そう思い俺は美九音を戒めていた腕の頚木くびきを解いた。


「……ャダ、離さないってゆった。絶対の絶対、離しちゃだめなんだかんねっ」


「無理すんなっつーの。そんなに寒いならそろそろ家の中に入ろうぜ? ほらこれニコニコ堂から新発売されたプリンだ」


 クリスマスケーキとは別に美九音の誕生日用に用意してあったニコニコ堂のプリンが入った箱(12個入り)を差し出して見せた。


「ギュ、もう終わりにするの?」


 潤んだ目をして甘えた声で尋ねる美九音ちゃん。


「でも……」


 でもまぁこいつが望んでるなら、このまま抱き締めていたい気もする。


「……し、仕方ないから? 離すこと許したげる」


 負けたっ! 俺、プリンに負けた!! ORZ



 ☆ξ


 ☆ξ☆ξ


 ☆ξ☆ξ☆ξ



「ふっふぅ~ん♡」


 鼻の穴からハート♡でも飛び出してきそうな勢いで渡した箱を満面の笑みで開く美九音ちゃん。


「なっ!? あ、あああ、あんた……これっ」


「おっぱい( ゜∀゜)o彡°にこにこプリンだ。まぁクリスマス限定じゃねぇけど、これ取り寄せないと手に入らねぇーんだぜ」


「あ、あああ、あんた、寄りにも寄ってウチの誕生日に……クリスマスイブに、こんなもの買って来て、なに企んでんの? なにが望みなわけ? 答えによっちゃ殺すからっ」


 いや別に他意はないんだが……。


「あんた、イベントにかこつけて、まさかウチを、ウチのバージン狙ってるわけ? ウチがクリスマスプレゼントにバージンあげるとでも思ってたわけ? そんなこと考えてたら許したげないんだからねっ」


「考えてねぇーよっ! 誰が兄妹みたいに育って来た幼馴染みのバージン狙うかよっ!」


「……バカっ! それはそれでムカつくから許したげないっ」


 どうやら俺はどちらにしても死刑確定のようだった。


 ほんとこいつは、何時からこんなに可愛くない幼馴染みに育っちまったんだ?


「ふぅんとにもう! 知泰は乙女心って物を分かってないんだからっ」


 プリプリ怒りながらも、狐耳をしきりにそばだて、美九音ちゃん御自慢のふさふさもふもふ尻尾でパタパタ空気を払ってプリンに夢中の幼馴染みの姿は……やっぱり可愛いじゃねぇーかっ! チクショウっ。


 バシッ☆


「さっきからあんた、なにキモイにやけ顔して見てんの?」


 前言撤回っ! やっぱり可愛くねぇーっっ!


「……えと、きょ、今日は……ありがとね。知泰……」


 赤らんだ頬を膨らませ、口を尖らせながら照れくさそうにそう言って、そっぽを向いてしまう美九音は……。


 やっぱり……と俺は思う。


 なんだかんだで可愛い仕草をこいつはするんだよ。だから性質が悪いよな? そう思うだろ?


 しかし、まぁーおっぱいプリンを夢中になって、むしゃぶり付いてい美九音の図って、美少女ヒロインとしてはとっても残念な絵図らだけどな(笑)


 まぁこいつが喜んでるならそれでいいかっ。


 おわり


御拝読ありがとうございます。><


セカンドシリーズor特別編が上がるまで、本編とは別にネタが浮かべば定期的に番外編など入れていければなぁ~と考えております。


今後ともちょっと?九尾を宜しくお願いいたします。


ps:イラストを描いてくださった主さま、受験勉強ガンバっv^^


ではでは。


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