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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
第五章 ウチの名前は久遠寺 美九音。マジで! キュートな女の子
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マジで! キュートな女の子 4

こんばんは

雛仲 まひるです。


本作品に出会ってくださりアリガタウ。


大神、間崎、宇敷は知泰を戦いに参加させるべきではないと話し合う。

話を聞いてしまった知泰は単身鬼に挑むが……。

美九音奪還に、知泰いよいよ鬼の巣に乗り込む。


はいどうぞ><b

 翌朝まだ夜が明ける前に布団を出て、隣で寝ている大神に声を掛ける。


「悪りぃ紅葉。俺、もうイクな」


「ぁ……ぅん、……御、主人様…だいしゅき……」


 おっと、いきなり勘違いしそうな展開ですまん。七霧、おまっ、ついに……って思っちまったかも知れないが大神とはなにもねぇーよ。


 大神との模擬戦の前に、なんかとんでもない約束事を大神が言ってたから、この展開じゃ勘違いしちまっても仕方ないけど、そういうイベントは起こってねぇーからなっ。


 実はあの後、大神が拗ねちまって大変だったんだって。


 御存じの通り俺は幼馴染の美九音は当然の様に、猫こと未美の事も名前で呼んでるよな? そしたら大神の奴がさ「御主人様の傍で仕える私だけ、なぜ大神なの? 御姉様は兎も角として猫は名前で呼んでるくせになぜ?」って言ってなかなか自分の部屋に戻ってくれなくて「名前で呼んでくれるまで戻らない」ってごねている内に大神がウトウトし始めて、でもさ今更で恥ずかしくて名前で呼んでやれなくてさ。


 いい加減、可哀想に思えて名前で呼んでやったら、満足したのかそのまま俺の横で寝ちまったんだよ。


 俺もその頃には限界でそのまま寝ちまったんだって、本当だぞ。


「さってと紅葉、行って来る」


 隣でスヤスヤ寝息を立てている大神を起こさない様に小さく声を掛け部屋を出たして、玄関に向かう途中、くるると間崎が寝ている部屋の前で一言詫びて七霧の生家を後にした。


 昨夜、紅葉と間崎、枢が話してたのを聞いちまったんだ。


「七霧君を久遠寺さん奪還に参加させるべきではないと僕は思います。彼は短期間によく大炎魔七斬だいえんまななきりの力を引出すことが出来たと思いますが、しかし扱えているというレベルには程遠いです。大神さんとの模擬戦後、彼は一度も刀の力を引き出せていませんでしたからね」


「私も御主人様を参加させるのは反対。一緒に行けば私は命に代えてでも御主人様を守り抜く。けど御姉様を確実に救い出すには敵勢力とこっちの戦力差から見て私が守りながら戦えば……、違う、それでなくとも戦力差は歴然、こちらに分が悪い」


「あたしも九尾のお姉ちゃんを助けに行きたいけど、ここを、七霧の家を離れるわけにはいかないです。自惚れるつもりはないですけど、あたしの結界があれば多少有利に事を進められるとは思うのですけど……、あたしは事が済むまで知泰お兄ちゃんをここで足止めしなくちゃですね」


「彼は納得しないでしょうが仕方ありません。妖に身を投じたとは言え、彼の知人が居ては戦えてもいざとなったとき命は奪えないでしょうからね」


「戦いの最中に迷いが生じれば自身に死を呼び込む。御主人様は誰かと戦うには優し過ぎる」


「そうだね。知泰お兄ちゃんが命を落とす事になったら、九尾のお姉ちゃんが悲しむです、きっと……」


「悲しみと怒りに狂った御姉様は、きっと自暴自棄になって九尾の封印を解く。そして完全に九尾の妖力を取戻した後にこの世を破壊し尽くす人間界も妖界も全て。もしかすると鬼の一族は御姉様が人間を滅ぼした後に一族中心の新たな妖が支配する世を再構築する事も視野に入れているかも知れない」


「彼女が本気になれば人間にも妖にも止める手立ては無いですね。七霧の秘術を覚醒出来る可能性を秘めた肝心の七霧 知泰が居なくなった後では」


 美九音はそんな奴じゃねぇーよっ。皆勝手な事ばかり言いやがって……。


 あいつはあいつはなぁ! 身勝手で傲慢で我が儘で傍若無人だけど本当は……、はっ!? いかん俺にも世界滅亡未来予想図しか描けねぇ。


 だけどよ美九音。俺がそんな事はさせねぇーから絶対にだ。 だって嫌だろ? 幼馴染が世界を破壊するなんてさ?


 


 こっそり拝借してきた姫子先生の情報を基に描かれた鬼の巣、つまり美九音が囚われている地図を片手に山道を進んで行くと開けた場所に出た。


「この辺りだ。でもなにもねぇーぞ」


 地図に示されている場所近くまで辿り着いているのだが、入口らしき物は見当たらない。


 もう一度地図を確認しようと広げたその時、後ろから枯れ枝を踏み折る音が聞こえ、一気に緊張を高めた。


「誰だっ」


「御主人様、私」


「なんだ大神かよ。脅かすなっつーの」


 びっくりした。


 心臓が飛び出すかと思ったぜ。俺はチキンハートなんだから余り脅かさないでくれ。


「っつーか大神がなんで此処に居るんだよ? 打ち合わせしてた時間より早いんだぜ」


「……」


「おい大神、黙ってないで答えろよ」


 大神が口を尖らせ睨み付けている。なんだよ? なにが気に入らないんだ俺が黙って出て来た事に怒ってんのか?


「主の命令だ。答えなさい大神さん」


「……」


 だんまりかよ。なら仕方ない……。


 えいっ。


「きゃんっ」


 殴ったグーで。(´・ω・`)


 例えあやかしとはいえ、女の子をグーで殴るラノベの主人公ってどうなの? まぁ作者の野郎が俺の折角の見せ場ではヘタレにするし、バトルじゃ描写が面倒だからって瞬殺させるし、こんな物語の好感度なんて下げてやるぜっ。


 主人公の好感度ってヒロインの処女性に次いで大事なんだぜ? 嫌なら俺のカッコイイシーン書きやがれっ。


「……わ、私の御主人様は私の事を紅葉もみじと名前で呼ぶと約束した。大神と呼ぶ御主人様は御主人様ではない」


 ったく面倒臭せぇ奴だなぁ。


「紅葉、なんでお前が此処に来ているんだ」


 紅葉が怒った様にまた呆れているみたいに頬を膨らませならがも、凛々しく誇らしげに耳を立て真剣な目で俺を見据えて顔を近付けて来た。


「私は御主人様を守ると決めている。御主人様の傍に居るのは当然の事。こっそり抜け出した御主人様の後を着けて来た」


「俺を守りながらは戦えないだろ? お前が強い事はお前に襲撃された時と手合せした時に十分知ってるけど、昨夜お前達も言っていただろ」


「言った。けど御主人様は来てしまった。なら守りながら戦えばいいだけの事」


「馬鹿野郎っ。俺を守りながら戦えばお前の枷になっちまうじゃねぇかよ。お前まで死ぬかも知れねぇーんだぞっ」


「構わない。自分の主を死なせる様な守り手は死んで当然」


「アホかっお前はっ。……ったく俺が嫌なんだよそう言うの。俺の都合に巻き込んでお前を死なせたら、俺が美九音に叱られちまわぁ「あんた、なに自分の都合に他人巻き込んじゃってんの? ほんと使えないわね馬鹿」ってな」


「違う。御主人様が死ぬ事になれば御姉様が悲しむ。私は御姉様が悲しんでいるところを見るなんて耐えられない」


「お前がそこまで言うならまぁいいや。来ちまったもんは仕方ねぇ。だけど間崎や枢は来てないよな?」


「来ていない。大丈夫、見つかる様な間抜けじゃない私は」


 私はって……。はいはい俺は大間抜けですよ。


「今更追い返しても無駄。御主人様じゃ鬼の巣の入口を探し当てられない。私の嗅覚が必要」


「まぁそうだな。こっそり鬼の巣の入口を探すなら、お前の鼻が必要になるんだけどさ」


「……?」


 情報じゃこの巣にいる鬼の数は300に及ぶらしい。


 こっそり入って美九音を見付けて連れ出せりゃ御の字なんだけど、300もの鬼の監視を潜ってこっそり連れ出すなんて無理だからな、だから俺はこうするのさ。


「美九音ーっ。何処だ返事しやがれぇー」


「ばっ、馬鹿。見付かる」


「見付かるんじゃねぇーのっ。見付けて貰うんだよ鬼さん達に」


 一度に300もの鬼を相手にするなんて馬鹿げてるさ。


 でもよ入口の数はそう多くねぇーだろ。出入り口から心太状ところてんじょうにノロノロ押し出される様に出て来た鬼を各個撃破すんのさ。


 体力がなくなりゃ気力を振り絞って力尽きるまでだ。その間にきっと皆来るはずなんだ。


 たぶん俺の行動は姫子先生の情報網に既に掛ってるはずだからな。


 俺に出来る事は雑魚の数を少しでも減らして、後に来る仲間のために援護しておく事だけだ。


 それで美九音を助け出せる確率が少しでも上がるなら俺はそれでいいさ。


「はぁ……私の御主人様は馬鹿。バカ・オブ・バカ」


「後悔してるなら帰っていいぞ?」


「うんん、後悔はしていない。ただ御姉様が羨ましい」


「なんで?」


「御姉様には自分の身を投げ出してまで助けに来てくれる人が居る。私にはきっと居ない」


「そうか? お前が浚われても同じ事するさ」


「ご、御主人様はズルいっ。御姉様の心を独り占めにして御姉様しか選ばないくせに、私の心も浚って行く……」


 顔を赤らめ俯いた紅葉の言葉は、半ばから蚊の鳴く様な小さな声になってよく聞き取れなかった。


「なに、なんだって? 声が小さくて聞こえねぇーよ」


「な、なんでも無い。そ、それより御主人様っ来る。正面鼠の方角から鬼の気配を感じる。ん? 二手に分かれ挟み撃ちにするつもり? 御主人様構えて、もうすぐこの辺りの結界が晴れる。距離大よそ300、数は分からない」


「いいや突っ込むぜ。数がわんさか出て来る前に距離を詰めて入口の前に出る。外で自由に暴れられる前に数を削る。俺は右、紅葉は左側から来る奴を頼む。背中は預けたぜ紅葉」


「御主人様? 一つ聞いてもいい」


「なんだよ小言は聞いてやらねぇーぞ」


「もし一人で来ていたら、二方向、複数からの攻めだったらどうしていたの? 入り口がひとつだったとは限らなかった」


「そうだなぁ~。時間はダラダラ掛けてらんねぇからな。美九音が移動させられたり、危険が及んじゃ意味ねぇから。それでも一人でやらなきゃなんねぇー時、どれか入口一つに絞って後は炎魔で入口を斬り付けて炎で塞いで、真ん中陣取ってこいつを無我夢中で振り回すだけさ。そうすりゃ何回かに一度は大炎魔が応えてくれるだろうさ。そして頃合をみて突入してた」


 そんときゃ応えてくれたよな? 大炎魔七斬だいえんまななきりさんよ。


「御主人様、奴らが来た」


 大神の言葉とほぼ同時に霧が払われる様に、木々に囲まれた山道に居るはずの景色が消え辺りが開けた。


 最初に出て来た鬼は入口近くの番をしていた鬼一族で一番格下だと聞いている鬼、以前学園をうろついていた黄鬼十二体だ。


「行くぜ紅葉」


「はい御主人様」


 ビビる気持ちを押し殺して、一気に間合いを詰め様と強く地面を蹴って踏み出した。


 To Be Continued

御拝読ありがとうございました。


次回もお楽しみにっ!


本作品をご愛読くださっている皆様に感謝いたします。

また、心温まる、今後に活かせるご意見、ご感想。

そして評価、お気に入りして下さった皆様、ありがとう。

大変励みになっておりますよ^^


ではでは。

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