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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
第五章 ウチの名前は久遠寺 美九音。マジで! キュートな女の子
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マジで! キュートな女の子 2

こんばんは

雛仲 まひるです。


さて、無事に座敷童に合うことが出来た知泰ですが協力を拒否されてしまったが、彼にはまだやるべき事が。


やるべきことのために知泰は再び、大神と対峙することに!


ではどうぞ><

 座敷童の年頃は、見た感じ10歳くらいで小学生にしか見えない。しかし見た目の割にはしっかりしているところを見れば、美九音達みたいに転生前の僅かな記憶と情報を積み重ねて生まれ変わってからの歳なんだろう。


 紅葉や未美よりしっかりしているんじゃね? 美九音は論外、あいつは唯の駄々っ子だ。


「その刀の名前は“ 大炎魔七斬だいえんまななきり”その素材と錬金方法は要約して言うですね。ヒヒイロカネを冥界最下層に燃える漆黒の業火と黒き獣の涙を集め清水とし冷水に用いて、七日七晩鍛え刀身に黒き業火を付与した。刀鍛冶は不明。“大炎魔”は文字通り冥界即ち地獄、根の国、黄泉でとがを焼く炎。“七斬”の由来は一振りで七筋七痕、大気と大地を斬った太刀筋を残した事から来ている。その実は刀身に秘めた炎が放たれ通り過ぎる際に起こる衝撃波。黒き炎は七日七晩、対象を焼き尽くすまで消える事の無い黒き煉獄の業火。刀に封じ込めたるは名を椿姫つばき。化の者の身を咎の炎が永劫焼く。封じ込めたる詳細は憚られる。だって、こんなのを作れ封じることが出来る者って言えば、きっと神の名を冠する者で稀代の名工ですね」


 しかしまぁ何者かは分からねぇーけど、永劫身を焼かれることとなった椿姫っていう何者かを封じ込めたる詳細は憚られる? 神様にでも逆らったのかねぇー? 封じられるくらいの罪を犯した罪人かなんかだろうか。


 ……なんだかいろいろ胡散臭いけども、この際俺も気にしない事にするから、諸君も気にするなよ?


 妖や“人ならざる者”が作った物なんて俺には理解出来ねぇーし、名前なんて実際に見た者の印象で付けられた名だと思うしね。


「ちなみにヒヒイロガネって言うのはね。RPGなんかでよく登場するオリハルコンと同じ金属なのですよ」


 なるほどね、未知の金属ってわけね。まぁなんでもいいけど……。


 っつーかくるるだっけ? お前って現代のテレビやゲーム事情を知ってるって事はテレビ見たりゲームしたりとかすんの?


「うん暇だもん。あたし引き籠もりだし」


 そりゃまぁ妖だって現代の人間社会に溶け込んで生きてるんだし、人間の文化に触れるのは当たり前だわな。美九音だってプリン大好きだしまぁいいんじゃね。


 暫し何気ない歓談をすることになった。


 くるるが余りにも楽しそうに話していたからだ。座敷童って実はこんなに楽しそうに笑えるなんて俺、思いもしなかったんだよね。


 座敷童ってさ、ほらなんか前髪ぱっつんのオカッパで根暗なイメージじゃね?


「御主人様はやっぱり温かくて優しい」


 急になにを言い出すんだよ大神の奴は。照れるぜ。


「これで御主人様を、益々この戦いに行かせるわけにはいかなくなった」


「待てよ大神。お前との実戦さえ積めば俺だって、もう少しくらいはマシになるぜ?」


「そうかも知れない。でも御姉様も御主人様も私は大事。御姉様は白面金毛九尾の狐、妖の中でも類を見ない程の大妖怪なのだから、妖の事情には常に関わりを持たざるを得ない存在。それは御姉様が望む望まないに関わらず、やって来る事情。御姉様(九尾の狐)が御姉様(九尾の狐)である限り逃れられない宿命だから。でも御主人様は違う」


 つまりはなんだ美九音は本来強い妖だから、美九音が望んでなくても利用しようとする奴が近付いて来る。だから美九音は望んでもいない戦いに巻き込まれても仕方がないって事かよ。


「そ」


 そんなことってあるってたまるかよっ! あいつだって望んでもない戦いなんてしたくねぇーだろ。


「それに今回の御姉様襲撃は鬼一族が以前から常に企んでいた事、だけど御主人様宛てに届いた矢文には、九尾(御姉様)を使って御主人様を誘き寄せ、御姉様を意のままにするために御主人様を人質にする算段だ、とあった。しかし手紙の内容では今いち鬼一族の真意がまだよく分からない。手紙を出した主が真意を聞かされていない可能性も大きいけど、御姉様の協力が得られなかったら、喰らって妖力を上げるるっていうのに、御姉様を手に納めている現状で七霧の血筋を巣に招き入れることのリスクを冒してまで、御主人様を欲する理由が見当たらない」


 崩壊していた俺の家に残された破魔矢には、文を括り付けられていた手紙の内容を思い起こす。




 拝啓。


 久しぶりだね、知ちゃん。3年振りかな? 


 新田にった 綾乃あやのです。知ちゃん家の隣に住んでいて七霧道場に通ってた綾乃だよ。今は分け合って鬼さん達と行動を共にすることになってるけど元気だよ。


 知ちゃんも元気みたいでなによりだね。それにみくちゃんも元気で嬉しかったよ^^ あっそうそう、鬼さん達のところで、みくちゃんは鄭重に預かっているから心配しないでね。


 鬼さん達はみくちゃんに用があるみたいなんだけど、そのみくちゃんが言うこと聞いてくれなくて困ってるの。でもそろそろ鬼さん達も痺れを切らして、あと七日待ってもみくちゃんが協力的でなければ、九尾の妖力を喰らって棟梁が自らその力を得るそうだよ。


 それで何時もみくちゃんと居る知ちゃんを誘き寄せて人質に取ってみくちゃんを脅すことにしたんだ。でも私は知ちゃんを怖い目に遭わせたくないからこう言っておくよ。命が惜しくば九尾みくちゃんの事は諦めろ、以上です。


 知ちゃんお願い来ないで、私は知ちゃんを傷つけたくないから。


 敬具。




 言われてみれば、大神の言う通りだ。唯単に美九音が言うことを聞かないなら、あいつを喰らって妖力を上げて封印を解けば言いだけのことだ。


 綾乃、お前なにがしたいんだ? なにを望んで鬼なんかに……。


「そ、それが――なんだってんだっ。お前が俺に感じている優しさとかに関係あんのかよ」


「ある。御主人様はきっと今回の実行犯の女を倒せない。戦場での情けは自分の身を危険に晒す。まぁ私が御主人様の傍にいる限りそうはさせないけど」


 ……っ。


「綾乃の事で俺を心配してくれてんのかよ」


 大神は言葉にせずコクリと頷いた。


 こいつは出会って間もない俺を御主人様と言って懐いてくれているんだと思うと、あん時に無茶した自分を褒めたくなるぜ。


 頑なに心を閉ざしていたこいつが、心底、他人を心配することが出来るようになっていることを俺は嬉しく思うね。


 縁側に腰掛け足を宙に浮かせ、左右交互に振りながら恥ずかしそうに心配してくれた大神を見ていると愛おしくさえ思えて来て、桜色の髪の毛に生えた灰色の獣耳の間に手を乗せ撫でてやった。


 大神は少し驚いた様子で一瞬耳を緊張させたが、直ぐにコロコロ耳を動かし目を細めて頭を下げた。


 視界の外からは尻尾が大きく板張りの廊下を掃いている音が聞こえて来る。


 美九音もこうやって頭を撫でてやると、どんなに怒っていても機嫌が悪くても、拗ねた振りをしていても狐耳と尻尾を動かしてたっけ? まぁ俺も年頃になってからは頭を撫でてやる事も減っちまったけどさ。


 照れくさいんだよお互いにな。


「御主人様、……くすぐったい」


「そう? ごめんごめん」


「……け、稽古始めないと。残って貰うにしても私達が御主人様の傍を離れて居る間、自分の身は自分で守って貰わないと困る。この機に御主人様を狙ってくる敵が鬼一族だけとは限らない」


「んじゃ始めるか大神。宜しく頼むけど刀が触れそうになったら無理せず逃げてくれ」


「御主人様のくせに生意気」


 おいおい可愛い顔にそんな科白は似合わないぞ。そりゃどこぞのガキ大将が言う科白だぜ。


 大神は縁側から腰を上げ庭先に向かい中程まで来たところで振り返る。


「御主人様、手加減はしないけど。いい?」


「望むところだぜ」


 俺の承諾を得た大神の体に変化が起き始める。この前に見た半妖形態に姿を変え出した。


「先ずはここから」


「本気になると言わなかったか?」


「最初はこの状態での全力で行く。……最終形態を余り長い時間、持続したくはないから。もし私を最終形態にさせる事が出来て、勝つ事が出来たなら私の大切な物を御主人様にあげてもいい」


 ちょっ! お前。女の子の大切な物って言えば、……それってまさかだよな? 一応聞いておこう――かな。


 か、勘違いすんなよ別に18禁的な展開を期待しているわけじゃないんだぞ、俺は。


「そ、それって――な、ななな、なんだよ」


 ヤベェ、声が上ずっちまった。


「知りたい?」


「えっ? えと、……まぁ知りたい、っかな」


「御姉様の[パキュ~ン]膜」


 やっぱりかっ! 期待を裏切らねぇー奴だ。


 あれ? ちょっと待てよ、さっき美九音ったか? おっ……お、おおお、お前ってやっあぁー! 自分の物より美九音の方が大事なのかよっ! 大事に想われているっつーのに美九音の奴が可哀想に思えて来るのは何故だろうか? 想われるベクトルが違う方向に向くって怖いよな?


「最終形態になるまで私を追い込むことが出来たら、御褒美に私の[パキュ~ン]もあげる。でも御主人様が負けたらどちらもあげない。御姉様の[パキュ~ン]は私が貰う」


 果たして俺は、なにを頑張ればよいのだろうか……。微妙に頑張り難いんだけども。


 だってさ頑張って勝つ事が出来たとしても[パキュ~ン]目当てで頑張ったみたいになっちまうじゃん? この事が美九音の耳に入った時の事を考えると……。いかん乙女の至宝を入手するダブルチャンスだというのに、お宝に繋がる航海図が見当たらねぇ。


「ねぇ御主人様聞いてる? それとも乙女の[パキュ~ン]膜は要らない? 御姉様の[パキュ~ン]よ[パキュ~ン]。それに勝てれば自動的に私の[パキュ~ン]膜も付いてくる。乙女達の[パキュ~ン]まさに出血大サービス♡ 」


 なに上手い事いってんだよっ! 出血大サービス♡ じゃねぇーよっ! 舌好調だなお前はっ。


「ねぇ御主人様、乙女達の[パキュ~ン]なのよ[パキュ~ン]膜」


 ああもうああもう、さっきから〔パキュ~ン〕〔パキュ~ン]うるせぇーんだよ。こうなりゃやってやるやってやるさ。 


「構えろ大神」


 こうして俺の美九音の貞操を守るのか守らないのか、なんだかよく分からない戦いが始まった。


To Be Continued

御拝読ありがとうございました。


次回もお楽しみにっ! ねっ! テヘペロ(o^-')ゞ♡

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