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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
第一章 ちょっと? 九尾な女の子
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九尾な女の子 3

 幼馴染の姿をグラウンドから校舎の表正面を探してみるが見当たらない。やれやれ次は校舎の周囲を回って校舎裏にでも我が愛しの幼馴染美九音ちゃんを探してみるとするかな。


 校舎の周りをぐるりと一周するも美九音のを見つけることが出来なかった。ほんと何処行っちまったんだ? あいつはよっ。仕方ねぇーなもう一周してみっか。




「もうっ役立たず遅いっ」


 フラフラ校舎の裏手に向かい歩いていたところ、校舎の外壁に並行して植えられた木の上から、耳に馴染んだ声で、ささやかに言葉のナイフを投擲されてこめかみを押さえる。


知泰バカこっちにさっさと来るっ。ぅんと愚図なんだからなにもたもたしてたわけ? 信じらんないっ。か弱いウチをひとり先に来させるなんて最低っ」


 おいおい。お前ってば時折凄い科白を言ってくれるな。校門前で自分が言った事憶えてないのか? ほんとてめぇーは毎度毎度好き放題言いやがって、今に見てろよ今度はガツンと言ってやるからなっ! ……たぶん怖くて言えないけど。


 幼馴染の声がした方向には外壁に並行して木々が植えられている。美九音は校舎裏が望める一番高い木に登り、妖らしき者の様子を窺がっている様だ。


 まったくお前って奴は、もっと女の子としての慎みを持ちなさい。パンツ見えてんぞ。


「なんで、あんなもんが居るのよ」


 知るかバーロー。


「どうした? 様子が分かったのならさっさと降りて来いよ」


 いい加減首が痛てぇ。


 早く降りて来い。それ以上発展の望めない乳揉みしだいてやっから。……ってそんな恐ろしいこと出来るか俺のボケェ。


「……あ、あんた、そんなにウチのおっぱい揉みたいの?」


「揉まねぇーよっ」


 即答だっそんなもんっ。


「あっそっ、ふん。なによっ知泰が揉むって、揉みたいって言ったんじゃん。もう頼まれても絶対触らしたげない」


 ふん。いらねぇーよ。どうせならもっと揉み甲斐のあるやつを選ぶね! 俺は知ってんだぜ? 厳かに慎ましやかに隠しておいた俺の秘蔵コレクション発掘して暴きだした時、それこっそり見て凹んでたろ? 耳へこたれてたもんお前。ザマァァァーバーロー。


 決して発音する事の叶わない、ささやかな反撃を心の中で呟く俺、マジへタレ。


「何時までそこに居んの? お前」


「うっさい。今降りるっつーの」


 言うなり3m近くあるところから飛び降りる美九音。


 流石にスカートを股に挟んで盛大に捲れ上がるのを押さえている。


 まぁ今更なんだけども。


「ねぇ? あんたウチのスカートの中覗いてたでしょ?」


「覗いてたんじゃねぇーよ! 見えちまうもんしょうがないだろ? それにお前のパンツなんて見飽きてるっつーの」


「なっ! あ、あああ、あんたっなにしれーっと、とんでも発言しちゃってんの? 誰かに聞かれて勘違いされちゃったらどうすんのよ。あんたは昼夜構わず幼馴染の下着を物色し嘗め回すように観察しているとんでもない変態だって思われるんだよ?」


「それは困るな」


 七霧ななきり 知泰ともひろ。彼女居ない歴16年。可愛くて優しい彼女作ってキャッキャウフフ楽しい高校生活を夢見てたんだが、ここで夢の終焉を迎えるのは忍びない。


 彼女作って楽しいスクールライフを俺は満喫したいのだ。童貞のまま大人になれっかっ! そんなリスクは背負えん。


「んん? どうして?」


 ……美九音よお前、如何にも俺が彼女欲しがるのを不思議っ? みたいにきょとんとして首かしげてんだよ。


「まぁウ、ウチは? 例え変態が、か……かか、彼氏だなんて噂が立っても? そ、そんくらいのリスクなら幼馴染の好で耐えてあげる覚悟はあるよ?」


 いや、いやいや。いやいやいやいや、お前の彼氏になる覚悟もリスクも背負いたくねぇし、そもそもお前の覚悟やリスクの話しではないんだが……。


「なによウチじゃ不服なわけ?」


 先程の美九音ちゃんからの心優しき申し出を無下に断っちまった所為か、はたまた「お前のおぱんちゅは見飽きた」発言の所為かは分からんが、既に現れている尻尾の毛を逆立せ風船みたいに膨らませて、なんて殺意の籠った視線を向けやがんだよお前はっ! そんなに怒るとまた……。


 ほらな? 言わんこっちゃないそうやって直ぐに怒るから、御自慢のふさふさ尻尾が薄っぺらい布切れを盛大に持ち上げちゃうもんだから、中身が見えちまうんだってば。


 幼馴染の俺とお前は普段も学校でも自然と一緒に居る時間も多くなるし、九尾の秘密を知ってる俺の前では直ぐ気を緩るめて耳とか尻尾晒すもんだから、俺がお前のぱんちゅとのエンカウント率がグンッと跳ね上がていることを分かってんのか?


「なに見てんのよ?」


「ごめんなさいっ」


 早かったね! 俺が頭を下げるまで……、ほんと泣けてくるぜ。


「まぁいいわ良くないけどまぁいいわ。それより良く見てみなさいよ。あんたなら見えるはずだから」


「いいよ別に、お前怒るし」


「はぁ? 怒るわけないじゃん。ウチが見てって言ってるんだから」


 こいつは見て欲しいのか見て欲しくないのかどっちなんだよ。


「どうしても?」


「うん。どうしても」


 まぁ……、俺もまったく興味ないわけじゃねぇよ? 俺だって男だし。でもさぁーやっぱ勇気いるわ。


「ほら早くしれっ♡」


 っ……なんて嬉しそうな顔していやがるんだ断れねぇじゃねぇか。ほんと美九音って天然で時々むちゃくちゃ可愛い仕草しやがるのなぁー。


 っつーかお前そんなに今日気合入ってんの? いったいなんの日? なに記念日っつーんだよ。


「分かった。もうお前ってば、ほんと我が儘だよな? じゃぁ見るぞ」


「うん♡ 早く見れっ♡ ……って、えっ!? えぇええええっ!! ちょ、待ってっ――」


 美九音が手で押さえるより早くスカートの裾を掴み一気に天高く舞い上げる。

 

「きゃっ」


 おおっ! いっちょまえに可愛い悲鳴なんて上げよって、言うだけの事はあるじゃねか美九音。近くで見ると今日は随分背伸びしてんのなお前ってば。


「とーもーひーろー?」


 あれ? なんか背筋がリアルに凍るほどの寒気がするんですけども……。


 美九音を見ると、真っ赤な顔をして全身をわなわな小刻みに震わせ、今にも爆発するんじゃねぇかってくらい尻尾の毛を逆立ててたね。


 なに? もしかして俺やっちまった? やっちまったのか? うんそだね。とっても御機嫌麗しくない御様子だよね美九音ちゃんだよね。


 間違いない俺は死ぬ。


「あの……ごめん。俺勘違いしたはわ。美九音、頼むから殺さないでくれ」


「却下。あんたはもう死んだ方がいいと思うよ?」


 っつかさ? 普段から頼みもしねぇーのに見たくもねぇパンツをチラチラ見せるくせになに? 何時もは見えてる事に気付いてないのかねぇ、こいつ? それともなにか? チラチラ見えんのは良くて改めて見るのがダメなの? なんだかなぁそれって「こそこそしている痴女」か「堂々としている痴女」の違いしかなくね?


「九割殺しにしたーげる♡」


「ま、負かりませんか? あと七割くらい」


「負かりません♡」


 くそっ! 取り付く島もありゃしねぇ。でもって満面の笑みで可愛く言うんじゃねぇよ! 不適に笑む美九音を見て俺は覚悟を決めてこう言ったのさ。


「や、優しくしてね」ってな。


 To Be Continued

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