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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
第四章 ほんとは? 腐っても狼っ娘
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腐っても狼っ娘 4

こんにちは 雛仲 まひるです


さてちょっと九尾第四章 腐っても狼っ娘


知泰に襲い掛かった大神紅葉と美九音との間に

むかしむししなにかあったようです。


はい、どうぞ><

 先程、俺と大神との間に起きていた件に相当御冠の御様子である我が愛しの幼馴染、美九音ちゃんにこの一件がまったくの誤解である事を説く作業を本格的に始める事にする。


 しかしまぁなんで無実の……、寧ろ被害者の俺が弁解をしなくちゃならないんだ? なんだか外出先で仲の良い女友達とたまたま出会って話しているところを彼女に発見されデートしていると勘違いされた彼氏みたいじゃねぇーか? 俺。


 ……まぁ悲しいかな俺には彼女はいないし、そんなハプニングが起こせるような仲の良い女友達もいないんだけども……。


「だから大神に襲われたのは俺でカクカクシカジカってわけだ」


 頬にいっぱい空気を孕んで御立腹の美九音ちゃんを宥め賺しながら、大神との件について経緯を説明をした。


「ふ~ん。カクカクジカジカは分かったし、狼を仲間に入れる事もあんたの勝手にすればいいじゃん。元々ウチらもつるんでいるわけでもないし? け、けどっ! なんでベッドの上で抱き合ってたのよっ!」


「ああもうっ! よく人の話を聞いてろよお前はっ」


「だってウチ、妖怪だもんっ」


 このアマァー。いちいち屁理屈言いやがってっ、お前は小学生かっつーの。


 げんなりしながらもう一度、俺が、俺が(←ここ重要なので2回言うがなにか?)命を狙われた事、抱き合った状態になってたのは大神の動きを封じる為だった事、そしてちょっかいを出そうと企てている妖の害が俺達に及ぶ前に大神らが妖を退けていてくれた事を話した。


「分かった。いいわ今回はあんたの両腕と両足折るだけで許したげる」


 ちょっと美九音さん!? それってぜんぜん許して貰えてないと思うんですかどっ。


「狐ごめん。私……」


「あによっ」


「……これ返す」


 大神が俺を襲った時に持っていた刀を美九音に差し出した。


「これって……ウチが随分前に持ってた火絶銀狼丸ひだやしぎんろうまるじゃん。なんであんたが持ってんの?」


「狐は憶えていないのも当然かも知れない。けれど狐がこれを私にくれた時、狐はまだ復活してなくて、殺生石の破片からエクトプラズマ化した実態のない思念体だったから」


「そ? じゃぁ要らないあんたにウチがあげたんでしょ? ウチ他にも持ってるし、あんたにあげたのだから、それはあんたが持ってなさい」


「あ、あり、がと……」


 大神は美九音に貰ったという日本刀、火絶銀狼丸ひだやしぎんろうまるを愛おしそうに胸に抱え込んだ。


 この後、大神は美九音との出会いを話てくれた。




 大神は、むかしむかし雪の多い北の地方で生まれたそうだ。その時はまだ狼の群れも大きく仲間も多くいて、狼はこの国で獣の中で食物連鎖の最上位に君臨していた。


 しかし時が移ろう中、環境は変化して行き人間が銃を手にした頃から狩る側から狩られる側に回った狼達は次第に数を減らして行って、やがて滅んだ。


 しかし大神は生きた。生き抜いた。


 最後の一匹になるまで残っているかも知れない仲間を探し、生き残っている仲間に寂しい思いをさせまいと思う気持ちだけで生き永らえ、ついに大神一匹になったそうだ。


 そこに待っていたのは同族が居ないと言う絶望感と孤独と寂しさ。


 それでも生きた大神はやがて生きながら付喪神となり、後に狼の末裔の犬から犬神となった一族と出会い行動を共にしたのだと言う。


 だが、そこで毛色の違う狼の犬神である大神は、犬神の中でも秀でた戦闘能力を疎まれながらも、仲間に入れてくれた犬神一族の恩に報いるために、一族に敵対する妖との戦いにおいて常に先頭を切って戦ったそうだ。


 しかし大神が強ければ強い程、時の犬神一族の長は大神の力に怯え、疎み、嫌い、それを見ていた仲間達も大神から距離を取るようになり、やがて離れて行ったのだとさ。


 犬神一族の中でも孤独になった大神はその頃に一度、一族から距離を置きひとり深い山に籠ったんだと。


 犬神一族を離れても大神が求める安らぎが来るはずもないまま、土地の妖に狙われ襲われ追われ続け、来る日も来る日も戦いを繰り広げ傷つき、ついに力尽きて倒れた深い雪の中、死を迎えようとしていたところに、雪国に飛来し白い大地の下に埋もれていた殺生石の破片から、エクトプラズマ化した実態のない思念体の九尾の狐(美九音)が現れたのだそうだ。


 美九音も孤独だったのだろうな? 大神の匂いを嗅ぎ付けた美九音は寂しさから解放されるため、また温もりを求めて大神の前に現れたんだと俺は思う。


 だってこいつ、ほんとはスゲェ寂しがり屋で泣き虫な奴だもん。


 美九音から妖力を分け与えて貰った大神は命を繋ぎ止める事が出来たそうで、その時に今後の戦いにと大神が手にしていた刀、火絶銀狼丸ひだやしぎんろうまるを手渡されたんだと。


 そして大神は最後にこう付け加えた「私……初めて出会った時から……ずっとずっと狐の事が好きだった」////ってさ。


 ……って!?


「「えぇー!? えぇえええええええええええええ」」


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ狼っ。一応聞いておくけど、そ、それどう言う意味でなの?」


 大神は顔を赤らめ俯いて答えた。


「狐の事……、一人の女の子としてスキ♡」


 美九音っ! 大神を女の子好きに目覚めさせた切っ掛けを作ったのはお前だったのかよっ!


「ちょっ! ウチ知らないよ知泰っ。あと狼? ウチはノーマルだからねっ! ウチは普通に男の子が恋愛対象なんだからねっ! 女の子が嫌いとかじゃなくて、そういう意味で男の子の方が好きなんだからねっ」


「うん。私男の子同士でも大丈夫。寧ろ大好物」


 そんな事を聞かれてるんじゃねぇーよっ! っつーか大神お前って奴は腐ってもいるのかよ。


「うん。美形の男の子同士の[パキュ~ン]って萌えるよね? えへへ」 


「えへへ」じゃないっ! 俺達に同意を求めてんじゃねぇーよっ。


「はいこれ、友達になってくれた御礼に貸してあげる」


 そう言ってBL本を差し出す大神おおがみ 紅葉もみじさん16歳、職業犬神兼女子高生。


 い、要らねぇーよそんなもんっ。




 なんとか大神を真っ当な道に連れ戻そうと試みたが、……駄目だった。


 大神はこれまで見せたこともない活き活きした表情で百合の世界の事について、薔薇の世界の果て腐界の事について語っていやがった。


 腐ったミカンを取り出す前に腐切ってやがる。……もう手遅れかも知れない。だけど美九音まで腐らせんじゃねぇーぞ。


 こいつなんにでも興味示すし、一番になりたい奴だから。


 ……でもさ、大神? お前ってそんな顔も出来たんだな。


「そ? ま。い、いい、いいんじゃん? あたしはノーマル! ノーマルだけど、別にいいんじゃない? ウチに危害が及ばなければ狼が女の子同士であれ男の子同士のあれが好きだって言うなら、恋愛対象で男の子より女の子の方が好きだって言うんだから、それはそれで認めてあげなくちゃね」


 美九音の野郎、自分に危害を及ぼさないない事を前提に肯定しやがった。


「これも一応聞いておくけど、単なる男の子ともひろ には興味無いのよね? あんた」


「う~ん? ……どうだろ? 御主人様に抱かれて初めて思った。男の子も行けるかも」


 こいつ、最早救いようのない変態だっ! なんでも行けるエロの権化だ。それと誤解を招く言い方をするんじゃない“抱かれた”じゃなくて“抱き着かれた”または“抱き締められた”だっ。


「御主人様? 抱かれた? 知泰それどういうこと?」


 ほらみろ? 折角誤解を解いたのに話をぶり返しやがるから、美九音の奴また誤解して疑問系になってんじゃねぇーか。


 “抱かれた”って言ったら、18禁的行為に及んだみたいに聞こえるじゃん。


 嫌な予感をビシビシ俺様の敏感肌が感じて鳥肌が立ったね。


「七霧 知泰っていう冴えないけど、でも優しくて温かい人間が私の女の部分を刺激してくれた」


 ちょっ! 大神さんっ!


「……このスケベ、エロ魔人、変態。知泰? あんたもう死んでいいよ。ぐすん」


 美九音よ。何故お前が泣くっ! 泣きたいのは俺の方だっ。


「それと七霧 知泰が、今日から私の御主人様になった。私は命に代えても御主人様を、御主人様のドウテイを守る」


 大神、それは守ってくれなくてもいい。っつーか守らないでください、お願いします。


「ぐすん。……知泰? あんたそこまでエ、エッチなこと早くしたいの?」


「お姉様、それはそう。御主人様くらいの年頃の男子は、頭の中ヤルことしか考えてない。最早サルと同じ。御主人様は私を抱いていたとき、私の胸を夢中で揉みしだいていた」


「と、知泰っ。それほんと? ウ、ウチのおっぱいは触らないくせにっ!」


 俺は大神の言葉の途中で走り出したね。美九音がなんか怒鳴ってたみたいだけど、あの場に居たら俺殺されるもん。


 そして俺は行く宛てもなく彷徨い、その日、家には帰らなかった。




 翌日の夕方頃に俺は家に戻った。


 そろそろ美九音女王様のお怒りも納まった頃だと踏んでいたのだけれども、事態はそれどころではなかったのさ。


 この日から俺の夏休みは一遍した。


 騒がしくて鬱陶しかった日々が平和だったと思う程にな。


 To Be Continued

御拝読ありがとうございました。


次回をお楽しみにっ!

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