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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
第四章 ほんとは? 腐っても狼っ娘
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腐っても狼っ娘 1

おはようございます。

ちょっぴり体調不良の雛仲 まひるです。


さて今回から新章に突入です。

本作品五章仕立ての第四章目となり、知泰の周りも妖美少女で賑やかに? 騒がしくなる予感。

と!

思いきやなにやら不穏な雲行きになってまいります。


ではどうぞ><

 7月31日。旅行から帰った翌日から残りの夏休みを謳歌すべく、殆ど手づかずの宿題を倒すために美九音大明神のお力をお借りする事にした。


 その対価として「あんた、ウチが勉強教えたげるから対価を支払いなさい。世の中ギブ・アンド・テイクよね? だからあんたはウチの労力に見合うだけの対価を献上しなければならないの。分かるよね? それで等価交換ってことにしたーげる♡」と、の賜う美九音大明神に上納するため、あいつの大好物であるところの、とあるブツを入手すべくクソ暑い中を買い出しに最寄のコンビニまで自転車のペダルを漕ぐ事に勤しんでいるのだが……。


 一番近いコンビニは我が家と道を隔てた眼前にあると言うのに、我が愛しの幼馴染美九音ちゃんが御所望するお気に入り“ニコニコおはよう∠(#`Д´)/プリン”は、そこのコンビニには無く東にとあるローカルコンビニまで行かなければならない。


 つい先日まで学園の近くにもそのローカルコンビニ2号点があったのだけれども、夏休みに入って直ぐに開かずのコンビニと化していた。恐らく夏休みになって学生需要が減るの見越して新学期が始まるまで閉めることにしやがったらしい。


 ということで以前話したと思うが東方面に敷地を抜けるには15kmもの距離があり、更に隣ご近所の家屋を越え廃校を過ぎた更に5km程先のローカルコンビニ1号店に“ニコニコおはよう∠(#`Д´)/プリン”は密やかに慎ましやかに夏休み期間中は存在しているのだ。


 どうしてコンビニオリジナル商品なんてあるのかねぇ? そりゃまあ各社の差別化やブランド競争もあるだろうけどもお気に入り商品に何処かの地方にしかないコンビニで出会い、それに嵌まった時には些か煩わしい気分になってしまうものだな? それが自分のためではないのだから虚しい気持ちになってくるってもんさ。




 無事“ニコニコおはよう∠(#`Д´)/プリン”を2ダースほど入手出来た俺は帰りを急いでいる。


 どんだけ急いで帰っても「あんた遅いじゃん。ウチを何時まで待たせるつもり? ほんと愚図なんだからっ」って有り難くないお言葉を、罵倒を美九音女王様から浴びせられるんだけどなっ。


 そんな事を考えて憂鬱な気分にながら急いで帰途に着いていると、こんな時に限っていちいち信号に掴まり足止めされる始末。暑さと遣る瀬無さからついつい「はぁ~」と、ため息が口を吐いて出てくる。


 信号待ちをしている目に、立ち入り禁止の札が貼られたフェンスに囲まれた敷地内に放置された建物は不気味だ。もう廃棄されて随分経つ、至るところのガラスが割れた古びた廃校を横目に額に滲んだ汗を拭った。


 いや夏の風物詩だねぇー。草木も放置された所為で鬱蒼としているし、なんか出そうで寒気がするわ。


 敷地内のグラウンドは見る影も無く草むらになってるし廃校って不気味だよな? ……そうだ今度、美九音を連れて来てやるとすっか? ほらあいつって幽霊苦手だし日頃の恨み晴らさで置くべきかっ。


 俺が美九音を連れて来た様を想像して、ほくそ笑んだそのとき何処かで聞いた事のある声が俺の名前を呼んだ。


「七霧 知泰っ」


 誰だっ俺をフルネームで呼ぶ奴は!


 振り向くと眼前には白い棒状の物体がしなやかな弧を描いて飛んで来ていた。視界の端に映り込んだ棒状の物体の根元で、ふわりと宙に円を描いた布切れが舞っていて、その先には見覚えのある顔があった。


 こいつは確か……。


「ぐはっ」


 辛うじて両腕を上げガードするも強烈な衝撃と痛みが、腕を通り越して顔面にまで奔ると同時に俺の体は火を噴き回転しながら飛翔するカメの怪獣宜しくフッ飛ばされた。


 挙句にフェンスにブチ当たった衝撃を背中に感じ、同時に腐って脆くなっていたフェンスを突き破った凄まじい破壊音が耳に届いて、間を置かず地面に体がタッチダウン。俺ってカッコイイ……言ってみてなんか凹んだ。


 ほんとはズザァザァーっと地面を顔面と腹で滑走する俺、カッコワルっ。 ORZ


 あれは……。


 俺は見たスカートの中身を……黒い生地が股間と白い腿まで隠したスパッツ? ……チクショウ! なんて忌々し物を着用してやがんだっ。


「残念。だけどスパッツは下着の一種」


 先ほど突然、俺を蹴り飛ばした奴に冷たく研ぎ澄まされた狩りをする獣の目で見下ろされている。


 恐怖に怯む事無く俺は言葉を紡ぎ出した。


「そっ、そんな、ば、馬鹿なっ……」


「だからスパッツの下はなにも履いてない」


「マ、マジですかっ!」

 

 あれ? なんか鼻から口に掛けて生暖かい感じがする……。そして息苦しさを感じ手の平を確かめた。血? 鼻血? か、勘違いすんなよっ! これはガードの上からとは言え、蹴られた時に鼻を打ったからだぞっ。


「ほんと。だってスパッツは下着だから下にパンツを履く必要はない」


「認めないっ。いったいそれの何処がパンツだと言うんだっ! 俺は認めないっ絶対だっ絶対にだっ。……ところでその下にパンツ履いてないって本当ですか?」


 コクリと何処かに感情を忘れてきたかの様な無表情で頷いた美少女は、人の行き交う往来で下着を見せる事など厭わないとは……。


 変態美少女現れたっ。


「履いてない。貼っているけど」


 んん? 履いてないけど……貼っている? 下着メーカーが新開発した新感覚下着かなんかなの? 今世紀最大の新しい下着かなんかなの?


「貼る下着?」


 無言でコクリと頷いた美少女がスカートのポケットから小箱を取り出し、その真相を可愛らしい顔に乗る小さな口から語り出した。


「そ。絆創膏」


 あのね? 絆創膏は下着じゃありませんっ! どんなときでも思わず突っ込んでしまう俺って、素敵過ぎないか?


 っつーかっ。……こ、こいつは神懸り的に真性の変態だ。


 俺を蹴り飛ばした犯人は変態美少女だった。


 すまん間違えた。凄まじい力で蹴り飛ばしてくれたのは大神おおがみ 紅葉もみじ、先日海で会ったあやかし、そうこいつは狼の付喪神で犬神だ。


「てめぇ~、いきなりなにしやがんだよっ」


「七霧 知泰。思っていたより手応えが無い」


 人にいきなり襲い掛るという狂気の沙汰としか思えない行動とは裏腹に、赤いチェックのプリントタックスカートにキャミソールの肩紐が見えるほど襟元がルーズに開いた大き目のTシャツを重ね着している可愛らしい恰好をした大神の姿であった。


「本当にこいつが長老衆の言っていた。最も妖が恐れる七霧一族の血統なの? こんな奴を対鬼一族の切り札と思い守ってやっていたなんて虚しささえ覚える」


 ちっ……。4月の鬼の件からこっち密かにトレーニングと打ち込み、形を反復して来たのにこの様かよっ。油断してたとはいえ海でも猫に守られちまったし……情けねぇ。 !? なに、なんだって? 今なんっつた? 守っていた、だと?


「七霧 知泰。知らないのはお前だけ。狐も猫も私だとは知らないにしろ、身の回りに起きていることについては気付いていた。なのにお前はどうして気付けない。4月から今日まで妖の襲撃を受けなかった事になんの疑問は無かったの?」


 なんでこいつ等犬神一族までもが俺を守る必要があるっーんだよ? 対鬼一族っつても、俺にはそんな力も術もねぇーのに、なんのために。


「私達だけじゃない。蜘蛛(姫子)も蛇(波音)も犬飼(犬神一族)も、皆お前達に妖を近付けないために戦っていた。正確には未熟な復活状況にある九尾の狐だけど、ついでに狐と共に居る七霧の出来損ないのお前だけれど、知らないところで守られていたことに何故気付けない。そんなことであの人を守るなどとは片腹痛い」


「大神? お前なに言って――」


「殺す。お前にあの人は守れないと分かったから、殺して七霧の血肉を喰らい私が力を得る事にする。そして私があの人を守る」


 言葉を終える前に大神に辛辣な言葉を被せられる。


「殺すってお前……嘘だろ? 待て、殺す前に話を聞かせろ」


 いやまぁ殺されたくはないけども……。そこになんらかの誤解があるなら解いておきたい。


「お前の話など聞いても無駄。私は本気」


 大神は擬人化した桜色の髪の毛に、銀色の凛々しく立った耳とフサフサの長い毛に覆われた尻尾が現れ、桜色の髪の毛を銀色に、そして琥珀色の眼に眼光炯炯を宿し、鋭い犬歯を剥き出して黒い縦長の瞳を窄めた。


 大神が狩りをする狼そのもの姿で襲い掛かって来た。


 踏み出しは二足歩行だったが、加速するに連れて徐々に姿勢は低くなり、やがて四っん這いの格好で距離を詰めて来る。


 速いっ。そう思った瞬間には、もう俺の脇を大神は風の様に擦り抜けて行った。


 ……痛っ。


 数瞬の間を置いて鋭い痛みを腕に感じ、痛みが奔った腕を見ると鋭利なナイフで斬られた様な一筋の切り口がつけられ、やがてそこから血が滲み、流れ出した。


「今のは警告。死にたくなければ力を示して。半妖形態は日常で狐や猫がじゃれて耳や尻尾を出すのとはわけが違う」


「待て大神っお座りっ!」


 我ながらおバカな命令をしたもんだ。


「お前は私のではないから聞けない」


 ……って! 主の言う事だったら聞いたのかよっ。


 四っん這いの格好から立ち上がった大神は、何時の間に取り出したのか日本刀を口に咥えていた。その刃が鈍い光を放っている。


「警告はした。ここからは手加減しない」


「おい大神? お前は主の言う事なら聞くのかよ?」


「犬程じゃない。私は狼だから」


 人に慣れないって事かよ? 狼って群れで行動し狩りもするんだよな? それに日本狼ってい言えば絶滅種だったっけ……、こいつは長く生き永らえた末に付喪神となった狼の妖なんだよな。


 !? こいつ俺の事を主じゃないと言った。


 何故だ? こいつには主でもいるのか? 恐らくは犬飼姉妹あたりなんだろうが……。ちょっと待て? 何故慣れ合いを嫌う孤高の狼が主と? そうか、もしかしてこいつ、もしかしたら寂しいんじゃねぇーのか? 長年減って行く仲間達をずっと見て来たんだろうし……犬飼姉妹との会話はどうだった? こいつは喋る事も行動もあいつらに制限されてたじゃねぇーか? 考えろもっとあいつはなんて言ってた。


「お前の主になるにはどうすればいい?」


「私を倒して屈服させることが出来たなら、考えてあげてもいい」


 しかしそれ以上の思考をゆっくり巡らせる余裕は無かった。大神が姿勢を低く身構えたからだ。


 来る。


 大神の威圧感に知らず知らずの内に後退りしていた俺の背中が廃校の壁に着いた。


 俺はこいつと話している最中から大神の冷たい眼と全身から感じる威圧感に押され無意識の内に後退りし距離を取っていたのかよ。


 廃校の中に逃げ込もう。咄嗟に俺はそう思った。


 その瞬間、大神が動いた。


 振り下ろされた刀が頭上から襲って来る。


 しかし腰砕けになって膝が折れ、態勢も低くなっていて逃げられない。


 \(^о^)/ オワタ


 俺の人生短かったぜ。


 To Be Continued

御拝読アリガタウ。


次回もお楽しみにっ!


本作品へのご意見、ご感想、評価などお待ちしております。

面白い、面白くねぇよ、美九音可愛い、未美可愛い、波音ちゃん可愛い、紅葉可愛いetsets頂くと喜びます。

キャラたちが――(ry

嘘です><僕がORZ


またお気に入り登録くださった皆様ありがとございます。

大変励みになっております><


もう暫く本作品にお付き合いくださると幸いですf^^

ではでは。><ノシ

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