夏のビーチは肉球でいっぱい! 5
おはようございます。
雛仲 まひるです。
眠いです。
あっいや、夏のビーチは肉球でいっぱい!
最終話となります。
新たに登場した犬飼姉妹と大神 紅葉、犬神一族。
彼女らの登場で次章、ひと波乱ありそうな予感ですが、
知泰の周りは騒がしくもまだまだ平和です?
ではどうぞ><
背中に悪寒が走るほど冷たい眼をした大神、心を何処かに忘れて来たのかっと思うほど無感情にも思える表情をした大神と擦れ違い、行き違った矢先、大神が突如振り返り、……再び目を合わせたその瞬間。
大神のしなやかな足が振り上げられた。
俺、目掛けて。
「知くんっ! 危ないっ離れて」
未美の声がしたと思ったら、ほぼ同時に側面から強烈な衝撃が横っ腹から腰に掛けてに奔っり、ふっ飛ばされた。
飛ばされている途中、視界に映った俺を突き飛ばした人物、それは未美だった。俺を狙った筈の大神の蹴りが未美を襲っていた。
チクショウっ! また俺は助けられちまった……。
未美は俺を突き飛ばし変わりに大神の蹴りをまともに喰らって、大きくふっ飛ばされたが空中でクルリクルリ三回転と一捻り身を翻し軽やかに砂浜に着地した。
俺も負けじと身を翻して……砂浜に腹から滑走した。カッコ悪ぅ。ORZ
「……ちっ。もう最悪っ! あんた達がなんの妖かと思えば犬かっ。あたしとの相性悪過ぎない? 犬猫の仲って言うほどだし」
未美、それ犬猿の仲な。
こんな時にも突っ込んじゃう俺の素敵過ぎる悲しい性が恨めしいぜ。
距離を取った未美に間髪入れずに大神が襲い掛かる。
「一度くらい私の蹴りを流したからって生意気な猫」
「ふんっ。そんな蹴りくらい何度でも躱してあげるわよっ、犬ころっ」
「私は犬じゃない気高き狼。勘違いしないで」
「狼の犬神? 犬だろうと狼だろうと、どっちにしてもあんまり大差ないじゃん」
力任せに拳打を繰り出す大神の攻撃を、猫持ち前の身軽さで躱わす未美。
暫く猛攻する大神と躱わす未美の構図で戦いは続いた。しかしどうやら体力で上回る大神の猛攻に身軽な未美にも次第に動くに陰りが見えてきた。
「きゃっ」
ついに未美は大神の攻撃を躱し切れずに、一発貰って俺のところまで飛ばされて来た。
俺は飛ばされて来た未美の体を受け止める。
「大丈夫か? 未美」
「うん。あ、ありがと、知くん……!? 知くんっ、避けてっ」
視線をあげると大神の蹴りが襲って来ていた。
ヤバイっ。今から避けても躱し切れねぇ。
しかし……。
もう避けられない。今まで戦ってくれた未美の体を包み身を硬くした。
「と、知くん?」
これくらいはさせろよ未美。
未美の体を強く抱き締め大神の蹴りの衝撃に備えた。
くっそっ痛てぇんだろうな? 俺も武道経験者だから分かるけど、こいつの蹴りは並みじゃない。上半身、踵に膝、腰、全てを使って力を捻じ込んだ蹴りだ。おまけにまったく力んでないから蹴りのスピードも速くて重そうだ。
俺は未美を抱き締めたまま、大神の蹴りがヒットする瞬間を待った。
……あれ?
「ちょっとあんたっいきなりなにしてくれてんのっ? それともウチが気付かずなにも聞いてなかったとでも思ってたわけ? あんた達に言っとくけど、ウチの下僕にちょっかい出すなっつーの! ついでに下僕2号にもねっ!」
美九音、お前何時の間に?
「狐、あんたあたしを助けて……」
未美の手前で大神の足を掴んで凛と立ちはだかる美九音ちゃん。
マジカッコイイぜ美九音さん。俺達を下僕扱いする台詞がなけりゃーなっ!
「猫? 勘違いしないでよねっ。ウチは知泰に纏わり着く奴等が気に入らないだけ。それってあんたも同じだから。っつーか猫? あんた知泰から離れなさいっ」
「いやっ! 折角知くんの方から抱きついて来たんだもん。離れないわよ」
「ぬぅぐぐ。いいから離れなさいっ! 知泰もさっさと猫を放流するっ!」
「えっ? ……ああ」
俺にしがみ付いている未美の体を押し返した。
「狐のイケズっ! ああ知くんの腕の中……良かった」
うっとり蕩けた表情になる未美ちゃん。
「うっさいなぁー猫。あんたと波音ちゃんだけでも知泰に纏わり着いてイチャイチャしてんの見てるとイライラするってぇーのに、また増えるなんてウチの精神状態に、ストレスメーターに著しい悪影響をもたらすなんて、それって乙女の天敵じゃんっ! 美容に凄く良くないじゃんっっ」
「狐あんたさ? 何時も何時も知くんに悪態ばかり吐いてるけどそれって、イライラする原因に気付いてるの? あんた本当は知くんのこと――」
美九音が俺の方に向けビシッと指を指す。
「はぁ? 勘違いすんなっつーの。こいつはウチの下僕なのっ所有物なのっ! だからウチだけの物なのっ」
おいおい俺は何時から無機物扱いに退化したんだ? 美九音さん。
「「紅葉ちゃんっ! 私達はここに争いに来たわけじゃないでしょ? それに美九音ちゃんは私達の従姉みたいな人なんだからねっ」」
……? 美九音がこいつらの従姉ってどういうことなんだ?
「離して」
「ふんっ。また急に襲い掛かったりしないでしょうね?」
「しない」
犬飼姉妹は素晴らしいハーモニーで大神 紅葉を黙らせた。大神も一時停戦を受け入れる積もりらしく大人しく引き下がった。
姉妹と大神の間には、なにか上下関係でもあるとみたね。
「なになに? お前ら皆仲良さそうじゃね? 喧嘩するほど仲がいいって言うし」
タジマハール。お前は平和でいいよな? 知らない事はある意味約束された平和な日常を送れるって事なんだぜ? まぁそれが一番いいさ。知らないなら自ら足を踏み込むんじゃねぇーぞ。
俺も戻りてぇーよあの懐かしい平和な日々に……(遠い目)
っつーか! 何時だよそれっ! 俺に平和な日々なんてあったっけ? もう認めるよっ強がって来たけども俺には平凡、凡庸な日々なんて無かったんだよ。
「僕も良い機会だから話しておきたいのですけど、いいですか」
間崎が俺を見遣り次いで陽に視線を移した。おkおk陽が邪魔なわけね。分かります。
仕方ねぇーな、こんな方法は使いたくねぇーんだけども、陽を乗せなきゃいけねぇーし……。
「陽、もう昼も過ぎたし腹減ってっ来たから、お前ひとっ走りホテルまで行ってくんね? 俺、朝支配人に挨拶してあるから、俺の名前出せば適当に何か用意してくれると思うし」
「おまぁーなっ! 大の親友をまたパシらせてハブろうって腹かっ! また一人でおっぱ……皆で楽しくやろうって魂胆だなっ!」
……ちっ。
俺は陽に近付き小声で言ってやった。
「あのな陽。ここで豪華な食事をお前が段取りしてみ? 女の子達はどう思うだろうな? 一応七霧の四つ星ホテルなんだぜ? あそこにあるリゾートホテルはさ。……まぁ仕方ねぇーな、嫌がる親友を無理に行かせるわけにもいかねぇーし俺が行ってくらぁー」
「友よ任せろ。俺が行こう」
バカは単純でいいな? 陽。
「じゃ宜しく。準備出来たらケータイにコールくれな」
「あいよっ。親友」
醜い欲望の権化を体良く追い払う事に成功する。まぁチョロイぜ。だけどな陽、お前は首突っ込むな。
知らなくていい事は知らないままの方がいいと思うぜ。
陽が喜び勇んで離れた隙にっと……さてと本題に入りますかね? 皆さん。
「あのっ知泰さん? それは先生達も?」
先程まで波打ち際で無邪気に磯巾着と戯れていた我が2年9組担任の波音ちゃんが近寄って来た。
「そうですよ波音ちゃん。姫子先生にも聞いてハッキリしとかなくちゃいけことないんです」
出来るだけの笑みを作って波音ちゃんの頭にポンっと手を乗せる。眉を吊り上げ唇を尖らせて「私はもう大人なのですよっ。子供扱いしないでくださいっ」と頬を膨らませて講義する波音ちゃん。
でも……後に起こる嫌な予感めいたものを感じてならない。
そうこの時、既に俺は無意識の内に感じ取っていたのかも知れねぇーな。これから先に訪れる戦いの匂いってやつを……。
第三章 なんっと? ワンダフルガールズ おわり
次回っ! エピローグというか幕間。
実は! キュートな九尾の狐 お、おばけなんてっ怖くないんだからねっ!
御拝読ありがとうございます。
次回はプロローグというか幕間です。
いやもうこれ幕間です。
美九音と知泰のちょっとしたイチャイチャ展開と美九音の意外な弱点が……。
では次回をお楽しみにっ!
本作品へのご意見、ご感想、評価などお待ちしております><
またちょっと九尾をご愛読くださり、お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます。
凄く嬉しいです。
いやマジで!
ではではf^^




