表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
第一章 ちょっと? 九尾な女の子
2/130

九尾な女の子 2

こんばんは


雛仲 まひるです。


俺得リニューアル作品ですが楽しんで頂けたら幸いです^^



 平凡っていいよな? そりゃなにも無い日常ってわけじゃねぇーよ。 


 平凡な毎日ってさ、ある意味で平和ってことだろ? そう思わねぇか? 少なくとも俺にはそう感じるねっ! 平凡、凡庸万歳だ。


 えっ? なんだって? 在り得ないほどの超絶美少女の上に、擬人化した狐耳とふさふさ尻尾を有する妖の幼馴染に起こして貰って、朝食まで用意して貰っておいてなにが平凡かって? なんのギャルゲーだよって? おいおい馬鹿言っちゃいけねぇよ。


 美九音さんの凶暴さと狡猾さを見たろ? それに俺の……、オイラの生い立ちを知らないからさ。こんなの俺にとっちゃ平凡だね。


 いいか良く聞け。俺の家系は古く代々当主争いっつー古めかしい風習があんのな? 死んだじいちゃんから聞いた話じゃ御家は平安時代から続いているらしいんだが、なんでも偉い人に代々仕えていたらしい。


 何時の時代からか続く古武術神道七霧派って、陰陽の系譜の流れも汲む斬拳走呪を極める武道場を開いたそうなんだが、結構時代時代の裏舞台で活躍してきたらしく、現在の本事業の傍ら、その名残で今も道場経営もしてる家元なんだよ。


 まぁ俺には六つ上の完璧兄貴と四つ上のすんごい姉貴が居て、二人とも俺と違い優秀なんだけど、また兄貴がとんでもなく優秀でさ大学在学中の兄貴が二十歳になった時には当主がもう決まったんだ。


 無論当主になったのは兄貴なんだが、本当は俺が二十歳になってから当主争いをするはずだったんだけど、まぁなんてぇの? 見切られたんだよね俺、あははぁ。


 何時も出来る兄貴と比べられて、嫌になるよほんと苦痛以外の想い出しかねぇよ。


 勘違いすんな? 落ち込んだりはしてねぇよ? 平凡、凡庸が一番! 元々跡継ぎなんて興味もないし当主争いなんて悲惨なもんだぜ実際。

 

 両親は優秀な兄貴や姉貴を可愛がるし、兄貴とはだんだん距離置いちゃって仲悪くなるし姉貴は、まぁ俺には優しいけど……。まぁいいじゃねぇか姉貴の話はまた今度ってことで。


 そうそう話の腰折って済まん。


 それぞれの後押しをしている親戚縁者とか仕えている者達とかも出張って家族仲はギスギスしまくるし仮面家族? 家族ゲーム? いいもんじゃねぇよ、ありゃ。

 

 そんでもって家の事業は好調。去年から道場も世界に進出したもんだから、親父とお袋は本事業も兼ねてアメリカ、兄貴は留学兼ねてイギリス、姉貴に国内の大学に通いながらグループ傘下のモデル事務所の経営と新しく七霧派道場が本部を東京に移す準備を任され忙しいって東京に住みだして、俺は屋敷に一人残る事になったんだ。


 っつても屋敷自体は、だだっ広いもんだから使用人はいるけど、俺は出来そこないで当主争いの負け組だし、肩身が狭くて敷地内で住む区画を移して高校入学を機会に一人暮らしを始めたんだけどさ。


 まぁ金銭面での援助はして貰ってるけど俺まだ学生だしな。


 でもほんと当主争いなんてもんが早々に決着してくれて良かったぜ。こんなのが長引いてたら心が荒んでたね絶対。


 平凡、凡庸……。もしかすると俺が一番欲しかったものを手に入れたのかな? 今。


 それと余談だけど美九音の家は俺ん家の隣で稲荷神社なんだぜ。羨ましいか? なんっつたってビバ! 幼馴染のリアル巫女コス イェイ ><b




 朝っぱらから自らつまんない事を回想しちまって、げんなりして歩いている内に我母校、陽麟学園高等部の校門が見えて来た。


「ねぇ? 知泰」


「あん?」


「なんだか学校に近付くに連れて嫌な感じがするんだけど、あんたなにか感じない?」


「いや? 別になにも、っておいっ美九音よ。お前、耳と尻尾出てんぞ」


「なんかこの気持ち悪い感じ妖が居るぽい。ウチちょっと先行って見て来るね? 知泰、あんたはここにいなさいっ。もしもの時に邪魔だから」


 狐耳と尻尾晒していても気にした風もなく、美九音は御自慢の耳と尻尾をそばだたせながら、校門前に向かい走り出した。


 っつたく、あいつは……正体バレても俺は知らんぞ。




 ゆっくり何時ものペースで門扉をくぐって学園に駆け込んで行った美九音の後に遅れて続く。美九音が言うように妖が居るとして俺になにが出来るって話だからな。


 俺は平凡な高校生で妖退治なんて出来ないし、妖は妖である美九音に任せておけばいい。


 今はどうも事情があって本調子ではないそうだけど、なんせあいつは大妖怪九尾の狐なんだからさ。


 校門を潜ったところで他生徒達の様子がおかしいことに気付く。


 なにしてんのこいつら?


「……うぅ、気持ち悪い。なに、これ」


 校庭にしゃがみ込んでうずくまる生徒に声を掛けた。


「大丈夫か? いったいどうしたんだよ」


 パタパタとなにかが落ちる物音が広がって行く。顔を上げて周囲の様子を窺うと多くの生徒達が手にしている鞄を投げ出し、その場にしゃがみ込んで蹲っていた。


 な、なにが起こっているんだ?


 ふと辺りを見回していると、しゃがみ込んでいる中に見たくもねぇー悪友の姿を見付けた。


 男友達って事もあり、一瞬悩んだが傍に行って事情を聞いてみる事にする。


「おう。タジマハールじゃねぇか、大丈夫か?」


「と、知泰、か? こんな時になんだが……、多島たじま はる な。頼むからアラジンと魔法のランプに登場しそうな発音で呼ばないでくれ」


「あははっ。なんだタジマハール元気そうじゃねぇか心配して損したぜ。しっかしお前の名前何時呼んでもウケるな」pupupu^q^


「知泰、いつか殺す」


「で、どうしたんだ急に皆しゃがみ込んじゃって」


「お前ってやっぁー。まぁいい良くないがまあいい。なぁ知泰お前は何も感じないのか? この禍々しい気持ち悪いなにかをよっ」


「うん。感じねぇ」


「この鈍感、不感症、知泰バカ


「ブッ殺すぞてめぇー」

 

 おいっ今、知泰って書いてバカと読んだろ! 俺の名前を辱めるんじゃない。父ちゃんと母ちゃんが聞いたら泣くぞ。


「まぁ落ち着けって校内になにかが居るみてぇなんだ気色悪いなにかが……」


「なにそれ? 陽気が良くなる春先に増殖する駅とか公園とかで呑み過ぎて、ゲロンチョしちゃってる迷惑極まりないおっさんや大学生かなんか? 確かにうちの学校にはすんばらしい桜並木があるっちゃーあるが……、もしかして誰か呑んだくれてたのか? 禿げ散らかった痛々しい頭のおっさんや事ある毎に飲み会してるなにを学びに行っているのか分からん学生や大学に行ってまでアニメなんかに現を抜かす残念な萌え豚どもが学園の桜に群がってゲロンチョしてるとか? まったく最近のハゲチャビンどもはマナーってもんがなってないよなっ」


「この世界も日本も頑張っているおっさん達や時代を担う若者達のお蔭で回ってんだぞ。桜の木に群がる毛虫みたいに言うな! てか、そういう気持ち悪いとか、そもそも痛々しいじゃなくて禍々しいだし……、ウプッ」


 捲し立てて訳の分からん事ばかり言うから、ほらな?


 口元を押さえて蹲る友人、 はる の背中をさすってやる優しい俺。そっかお前がハゲチャビンのゲロンチョだったんだな。

 

 オロロロロロッー。ORZ


 こ、こいつマジに吐きやがったっ! ウプッ!? 


 ……おや? こ、これはいけない。


 オロロロロロッー。ORZ

 

 お、俺とした事がゆ、油断したわ。うっかり貰っちまったぜ……。ほんとにこいつが吐くとは思わなかったもの。




 落ち着きを取り戻し辺りを見渡すが美九音の姿は近くに見当たらない。


 美九音のことをすっかり忘れてたぜ。まぁあいつなら大丈夫だろうさ。本人曰く全然本調子じゃないとか言ってたけど九尾だしなあいつ。


 今の調子でも手に負えないくらい凶暴で凶悪なのに、本調子になったらどうなんのよ俺? きっとあいつの放つ言葉のナイフと理不尽極まる折檻を喰らって毎晩のように涙で枕を濡らすんだろうな……。(遠い目)


 でも……。でもさあいつもまぁ一応女の子? なんだし? 心配しているわけじゃねぇーけど行ってやんなきゃな。


 あいつは俺の幼馴染だからな。くどいようだけど心配はしてねぇーよ? あんな凶暴凶悪女なんてこれっぽっちも心配じゃねぇんだって、ほんとだぞ。


 それでも様子を見に行ってやる俺って優しいだろ? 照れるぜ。


 一頻ひとしきりゲロンチョを出し切って、すっきり回復したところで校内に幼馴染を探しに、全力で走り出した。


 To Be Continued

御拝読ありがとうございました><


次回をお楽しみにっ!


ご意見、ご感想などお待ちしております。


アルファポリスランキングに参加しております。

お手数ですが、ランキングバナーをクリックして頂けると嬉しいです><

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ