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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
第二章 にゃんと! キャットな女の子
13/130

狐と猫 ♡ 3

こんばんは 雛仲 まひるです。


さて今日も今日とて騒がしい朝を迎えた知泰。


何時もの様によいうか、違うというか。美九音とイチャイチャ? 通学しているとまたしても猫が!


そして超可愛くて人気者の幼馴染。美九音と知泰の学園生活の一片が本日、明らかに!


ではどうぞf^^

 美九音は「ぐぅぬぬ」と犬歯を剥き出しにして悔しそうに歯噛みした後、俺に文句を付ける。


「とーもーひーろっ? またウチに内緒でこんなエッチな本買ってんの? しかも爆乳特集ってなにっ? それと先月発売の新刊はどうしたの? 虚乳編は買わなかったわけ? ウチそんな雑誌見てないもん」


 美九音よ。なにが悲しくて購入するエロ本事情を幼馴染に話さねばならんのだっ。っつーかお前また俺の部屋を漁りやがったなっ。


「狐? あたしの勝ちね。知くんは大きい方が好きだってさ」


「ぐぬぅぬぅ……。なにさ猫っ。あんたなんか一生肩こりに悩まされればいいのよっ! 体育の時間に揺れて痛いって言って悩んでれば? ウチはそんな厄介な悩み事なんて皆無なんだからっ! どう羨ましいでしょっっ」


 美九音っ! 悔しいからってそんな悲しい自慢をしてんじゃねぇー。なんだか美九音が不憫になってきた。


「知泰? ウチ許さないから……ぐすっ」


「どうしたの? 久遠寺さん。急に泣き出して」


 俯いて鼻を啜る美九音に気付いた女子生徒が近寄ってきた。


「あっ! 七霧君が久遠寺さんを泣かせてる」


「大丈夫? 久遠寺さん」


「ん、んん。なんでもない。……ぐすっ」


「七霧くんてば、女の子泣かすなんて最低っ」


 無実とはいえ、これはいかん。このままでは俺の好感度に著しい影響がでてしまう。


 俺の夢見ているキャッキャウフフな学園がっ! 学園全生徒の憧れの的である美九音を泣かせているこの状況を鑑みると、このままでは……。


 七霧ハーレム構想の夢が終焉を迎えてしまうではないかっ。


 ふと涙目になって睨む美九音を見て、悔しさの余り自虐的になっていた美九音に少し悪乗りが過ぎたかな? とも思ったしまぁ俺も少し反省するか……。


「美九音? ごめんな。少し調子に乗り過ぎたかもな」


「ふんっ。ゆ、許したげないっ」


「そんなこと言うなって、ほらもう泣くなよ。どうしたら許してくれるんだ?」


「知泰の爆乳コレクション全部捨てて、二回くらい死んでくれたら許したげてもいいよ?」


 ……あの美九音さん? それ許すって言わなくね? 許された時には俺死んじゃってるし。


「いや……それは」


「もう要らないでしょ? あんたにはその無駄乳猫が絡み付いてくるんだし? あっ、でもこんなエロい本って分別なにの日に出せばいいの? 燃えるゴミの日?」


 NOっ! その本は確かに萌えるけど、雑誌や新聞は別の日じゃなかったっけ? っつーか捨てないでっ! 




 完全にヘソを曲げてしまった美九音を宥め透かし、好物であるところのプリン、期間限定増量中のニコニコおはよーc(>ω<)ゞプリンデラックスを1ダースほど買い求め渡してやると、初めの内はツンとした表情をしていたものの、なんとかプルンに夢中になってくれたお蔭で、我がコレクションの死守に成功したのだった。


 そうこうしている内にようやく学園に着いた。




 しかし俺、七霧 知泰の悲惨な日常はまだまだこれからなんだぜ? 今朝の窮地を脱したものの一難去ってまた一難。時間が流れ昼になるとまた災難が俺を襲うんだって? チクショウっ悲しくなってきた。


 それというのも食べ盛りの男子高校生のお待ち兼ねでもある昼休みは、俺にとって決して手放しで喜べる時間じゃない。


「よっ知泰、学食行こうーぜ。しっかし今日もブサイクな顔してんなーお前」


「うるせぇーほっとけやっ! これでも男前になったんだっ」


 俺の席の前に座って声を掛けてきたのはタジマハール。 渾名あだな多嶋たじま はるという。


 まぁ普通以上にエロに興味を抱く俺の友人だ。


「逆だ知泰」


「タジマハール、お前はいちいち細かい事を気にするんじゃない」


「はぁ……もういい。どうやらお前は人語を理解出来ないらしい」


 おい。人をしれっと人外認定するんじゃない。


「お前がほんと羨ましいよ。我学園のマドンナ久遠寺 美九音ちゃんと毎朝通学。しかも今日は噂の美人転校生の黒井くろい 未美みみちゃんも加えて両手に花状態でイチャコラ通学してたってか? 何時の間に未美ちゃんと親しくなったのよ? お前。このスケベ、コマシ、全男子生徒を敵に回す積もりかよ」


「昨夜だよ♡ あたしが手篭めにされたのは」


 誰だ! 俺のトップシークレットを口走った奴はっ。しかも有りもしない事実を捏造しやがってっ。


「やっほー♡ 知ーくん。ご飯食べにいこ」


 振り返ればそこに件の猫が居やがった。まぁクラス同じだから当たり前なのだが。


 そうそうお前。未美って名前なんだな? 昨日は保健室に居て自己紹介とか聞いてなかったから知らなかったけど。


「知泰。ご飯♡ いこ、ご飯……ちっ。なにっクソ猫……」


 言い掛けて周囲を見渡した美九音は改めて言葉を続ける。


「あっ!? あ、あら黒井さんいらしてたの? 知泰になにか御用なのかしら? ウチと知泰はこれから二人で学食にいくのだけれど、なにか?」


「あら久遠寺さんって意地悪ね。あたし転校してきたばかりだから知人が居なくて……。知くんしか」


「あらそうあの? でもごめんなさいね。知泰はウチと二人っきりでご飯食べるの。これは世の中の常識なの邪魔しないでくださる?」


 美九音っお前の常識を世の中の常識にするんじゃない。


「あの黒井さん? 俺で良かったら食事付き合います。こんなジャガイモのお化けみたいな顔した奴は放って置いて俺と。ささ久遠寺さんも御一緒に――」


「ごめんね多嶋君。知泰がウチと二人っきりじゃなきゃ嫌だって言うし、後で拗ねるから、ほんとごめんね」


「あたしもごめんね。気持ちは嬉しいけど後で知くんが怒るからまた誘ってね」


 多嶋 陽。あえなく撃沈。


 っつーかお前ら俺の所為にして断んなやっ! それに美九音は兎も角、未美まで俺以外の人前じゃ猫被ってんのかよっ。


「ようっ……知泰? 今日の放課後、話がある面貸せや。無事に帰れると思うなよ」


 親の仇みたいに睨んだ後、泣くんじゃねぇよ、陽。



 

 良い機会だから七霧 知泰の昼食を教えてやろう。


 えっ? 知りたくもない? まぁそう言うなって、っつーか聞いてくださいっお願いします。


 俺はほぼ毎日、美九音に御伴させられて昼食を摂るんだが、これには美九音の事情が深く関わっているんだ。


 美九音は昼食に決まって狐うどんor狐蕎麦定食時々月見定食を注文する。


 まぁそれはいい。好きな物を食べたいだろうしな。だがっ毎日付き合わされている俺はとんでもないとばっちりを喰らう事になるんだって。


 なに? なんだって? そんくらい可愛い幼馴染と毎日昼食事出来るだけでも幸せ者なんだから我慢してやれ? おいおい馬鹿言っちゃいけねぇよ悲惨なもんだぞ?


 狐うどんor狐蕎麦定食時々月見定食の内容は、うどんor蕎麦、稲荷寿司(二個)、漬物、小鉢、サラダにデザート付(五百円也)となっているんだが……。


 まぁ定食の内容はさて置き、本題に入るとだ俺にはメニューを選ぶ選択権はない。美九音が同じものを毎回注文しやがんだよ。


 それには事情があるわけなのだが、あいつの好物はプリンを筆頭に油揚げ、卵、肉ets。


 何時も何時もこいつときたら、俺の稲荷寿司と具の油揚げ、卵、それとデザートをかっさらって行きやがるのさ。その代わりに「これと交換したぁーげる♡」と言って漬物、御したしが乗った皿と麺を半玉程、サラダに入っているセロリとキャベツ半分ほど、特にキャベツの芯のとろころだけを寄越す。


 つまり俺の定食は常に素うどん(蕎麦)大盛り、プラス漬物(二皿)御したし(二皿)、キャベツとセロリメガ盛りサラダになるわけだ。


 どうだ悲惨だろ?


「知泰っこれと交換したぁーげるね♡ 知泰は男の子だし食べ盛りだし、いっぱい食べないとね♡」


 ほらな。殴ってもいいか? この女。


「ひっどいっー狐。知くんに草ばかりあげて。知くん、あたしの魚の煮付け定食のオカズ分けてあげるから、待ってて今取り分けてあげる♡」


 本日の魚定食は金目の煮付けか。猫……お前って案外いいところあるじゃねぇーかよ。


「はいっ知ーくん♡ 先ずわぁーこれね」


 ……知泰のトレイに漬物が追加された。知泰はとっても複雑な気分ちになった。


「次わぁー。これっ」


 ……知泰のトレイに御したしが追加された。知泰はとってもとっても複雑な気分になった。


「次わぁーうどんの上が寂しいからぁー。……ジャジャーンっ! はいこれね」


 ……知泰のうどんの上に魚の骨が追加された。知泰はとってもとってもとっても嫌な気分になった。


 お前らなぁー! これはなんの嫌がらせだよ? 俺は怒ってもいい怒ってもいいよな?


「あっ……ありがと、な二人とも……あははははっ」


「どう致しまして知泰っ♡」


「うん。あたしに遠慮しなくてもいいんだよ♡ 知くん」


 ヘタレっ俺、超へタレっ! ついつい礼を言ってしまったっ。それにしてもお前ら満面の笑みだな。


「ぐっぬぬっ。と、知泰? ウチのネギもあげる今日は特別だぞっ」


「くっ……。じ、じゃあ、あたしは魚の頭もあげる。これで尾頭付きになったね。さあ知くん遠慮しないで食べてね」


「むむむっ。じゃあウチはかまぼこも付けたぁーげるね。嬉しい? 知泰」


「お前ら、もういいって……」


 俺の昼食が時間経過と共に残念定食になっていく様をみていると流石に泣けてきた。


「遠慮するなっつてんのっ」


「遠慮するなっつて言ってるのっ」


 いえいえお気を使わずに出来る事なら俺に構わないでください。


 と言えるわけもなく、俺と残念定食とのバトルが始まったのであった。




「ところでさぁー? と、知泰と猫に訊きたい事があんだけど……」


 憮然とした表情で美九音が尋ねた。


「なによ? あんたに話す事なんてないわよ狐」


「まぁウチには? どうでもいいこと? なんだけどさ。あ、あああ、あんたと知泰が、その……こ、ここ、恋仲? だったてどういうことなの? ウチが割り込んだってどういう事? ジジョウを話しなさいジジョウをっ」


「ふーん。気になるんだ? 狐あんた知くんのことが好きなの? こんなエロだけが取り柄の冴えない雄の何処が良いのよ? 物好きね」


「なっ! ちょっとない言ってくれちゃってんの? ウ、ウチが……、ウ、ウウ、ウチが知泰みたいなエロだけが取り柄の冴えない雄を、す、すす、すすす、好きなわけないでしょ勘違いしないでよねっ。こいつはウチの下僕だから主のウチには知っておく義務があんのっ! 持ち主として当然の義務でしょ」


 なぁ? ブッ飛ばしてもいいか? この女ども。


「そうね? いい機会だから教えて置いてあげる。あたしと知くんはずっと前、二年の間一緒に暮らしてた事があるのよ。七霧の生家でね」


「はぁ? それどういうこと? 知泰とずっと一緒にいた幼馴染のウチには覚えがないんだけど? 寝言は寝ていいなさいよね」


「知くんが七霧の生家で、幼少を過ごしてた時にあたし達は出逢ったの。たぶん狐が知くんと出会う以前の事だと思うけど?」


「ぐぅぬぅぬっ……。そ、それで?」


「そうねあれは……、忘れもしない十二年前の雨が続いてたある寒い日のことよ……。あたしが退魔師達と戦いを繰り広げてたあの頃、毎日の様に追われ戦い、そして消耗していった。ある時あいつらが張った罠にまんまと掛ったあたしは、足に掛った罠から逃げられず冷たい雨に打たれ弱っていたの。そんなあたしを知くんが助けてくれたんだぁー」


 !? この妖猫、あの時の猫? だったのか? っつても……。


「傷の手当をしてくれて温かいミルクをくれて……、あたし今でも人間なんて大っ嫌いだったけど、知くんはあたしが知る人間どもとは違ってた。あたしが妖怪本来の姿を晒した時、それを見ても怖がらず変わりなく接してくれた。お風呂も寝る時も何時も一緒だった。……けど、別れの時は突然やって来たんだよ。あんたを連れて知くんを当時の七霧の当主が迎えに来て、あたしの知らないところに連れて行かれちゃった。あたしはその後、ずっと知くんを探し続けてやっと見つけ出した。ここで……」


「知泰? それほんとっ」


 グリンッと頭を振って俺の方に向き直る美九音さん。


 そんなに睨まなくてもいいじゃないか。


「いや本当って言や、本当なんだけども……」


「歯切れが悪いわねぇー? この愚図。で本当なんだけど、なにっ」


「思い当たる節が有り過ぎて、どれがどれやらさっぱりでして」


「と、知くん? あたしの他にも何処の馬の骨とも分からない雌をたらしこんでたの? 酷いっ」


「ちょっ! 待てって俺はその……捨てられた動物とか見るとほっとけないんだよ昔から……。今じゃ無闇に拾って来りはしないけども、昔はよく連れ帰ったりしてたからな。一応誤解の無い様に言っておくが雌限定じゃねぇからなっ」


 何故か顔を赤らめて驚いている美九音と未美。そして奴らはこう言ったのさ。


「と、とと、知泰って……男の子同士でもイケるの人なの?」


「と、知くんのへたれ受けかぁ……、萌えるかも」


 なんでそうなるっ! それにお前らなに急に腐りだしてんだよっ! 俺は正真正銘ノンケだっ。


 To Be Continued

本日も貴重なお時間を割いて頂いての御拝読ありがとうございました。><


さて次回も新キャラ登場で物語が動き出します。


本作品へのご意見、ご感想、評価などお待ちしております。



では次回をお楽しみにっ!

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