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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
ちょっと? 九尾な女の子 特別編 クリスマススペシャル!
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変態サンタとわろえない狐 11

 サンタクロース。子供の頃に誰もが信じた架空の人物、今も子供たちに夢を与え続け夢を運んでいる憧れの人物。


 だが目の前に現れたこいつは違う。


 サンタクロースの衣装を着ていても、あの人好きのするサンタクロースの風貌は赤い衣装がはち切れんばかりに出たメタボ腹とアルプスの美少女ハイジに登場する頑固だけど根は優しいおじいさんや宇宙戦艦ヤマトナデシコに登場した置田艦長を思い起こさせる白い髭と風貌から好々爺を思わせる。


 目の前に現れたこのサンタクロースは違う。禍々しくおどろおどろしく異様で特異で脅威で不気味で不快で不愉快で不可解だ。


 俺は咄嗟に美九音の前に立ちガードした。


「おや? こんなところにまた久遠寺 美九音が居るのか。先程目的を果たして来たばかりなのだが……」


 既に美九音に会って目的は果たした、だと? いやそんなはずはねぇー、こいつは空港を出てから俺と一緒にいたし、それに……美九音のパンツは健在だ。今さっき触って確認したから間違いねぇー。


「よく似てはいたが……あれは人違いだったか」


 良く見るとサンタクロースの手にはピンクの縞々パンツが握られている。あれはまさか……来八音ちゃんのパン――(ry


「えっ? サンタさんは何でウチの名前を知ってるの? どうして知泰が来八音が今日履いていたパンツを知ってるの?」


 背後に回した美九音が顔を押しのけて肩口から弾んだ声に目を輝かせてひょっこり顔を出し、不気味なサンタに向かい弾んだ声で疑問をぶつけ、俺には疑問を投げかけた。


 ウルトラミス! ヤバいなんとか美九音の疑問を逸らさねば……あとで殺される。


「いいから美九音は俺の後ろに隠れてろ。こいつは危険だ」


「んん? 何で本物のサンタさんじゃん」


「違う。いいから下がっていろ」


 今にもサンタクロースの下に駆け寄りそうな勢いの美九音を手で制し、そんなにも大きくはない背中で今にも噛みつきそうな美九音の前に出た。


「ふっ。久遠寺 美九音、ささこっちにおいで君にとっておきのプレゼントを用意してある」


「うわぁ~本物のサンタクロースだっ!」


「違う、良く聞け美九音。こいつはサンタクロースなんかじゃねぇーよ。こいつは【あいす・ありす】の女の子のパンツを盗んだ変態サンt――っておい」


 美九音が俺の制止た手を払い除けてサンタの下へ駆け出していた。


「ねぇねぇサンタさんは本物のサンタさんですかっ」


 あんのバカ、だから違うと何度言えば……。


「美九音っ! そいつから離れろ」


「サンタさんっお願いがありまひゅ」


 サンタクロースが唇を釣り上げ薄い笑みを浮かべた。


「なんだい? 言ってごらん」


「サイン下さいっ」><


 ……あのバカほんとバカ。俺の話をまったく聞いてねぇー。


「分かったサインもあげよう。その代りに君の履いているパンツをくれるかね? あと七霧 知泰」


「なんだよ? 俺にも用があるなら先ず美九音から離れて貰おうか? 話はそれからだ」


「ふっ、知れた事よ。貴様が収集し持つているその袋にぎっしり詰まった美少女たちの脱ぎ立パンツをわしに寄越せ」


 お前ーーーーっそれ言うなやっ!


「へっ? 今なんて……」


 ほらみろ美九音奴が狐のくせに鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔になってるじゃねぇーかっ。


 来八音ちゃんの安否も気になるし、何より美九音に袋の中身を気取られる前に決着を着ける。先ずは……変態サンタが手にしているピンクの縞々を取り返す。


「さあ久遠寺 美九音よ。パンツを渡すのだ。サインが欲しいのだろ? ならばパンツを脱いで渡せさすれば与えられん」


 バチコ――――ン☆


 冬の乾いた空気を切裂く轟音と共に美九音のビンタが変態サンタの右頬に炸裂した。変態サンタの奴は涙目になって打たれた右頬を摩っている。


 うわぁ痛そう……思わず条件反射で俺まで右の頬を押さえちまったよ。


「な、ななな、何を……皆の憧れサンタクロースに何て事をするのじゃ、この娘は」


「嫌よこの変態サンタ! 生憎ウチのパンツにはもう予約が入ってるんだからねっ!」


 美九音が俺の方に視線を寄越して、にこりと微笑んだ。


 んん? 今なんってたこいつ? お前はパンツでも売ってるのかよ。そんなことしてお金を稼ぐのはいけないと思います。


「あとそのパンツ来八音のよね? いくら憧れのサンタクロースだとしてもウチの妹に変な事したら許さないから。さあ主曰く右の頬を打たれたら左の頬を差し出せって言うじゃない? もう一発よ」


「ひぃぃっ」


 今だ変態サンタが怯んだ隙を突く。美九音、お前が作ってくれたこのチャンスは逃さないぜ。


 俺は大地を蹴って変態サンタとの間合いを一気に詰める。そして変態サンタが持っているピンクの縞々パンツを盗り上げる。


「知泰ナイス! ってあんた、来八音のパンツをしれっとポケットに突っ込むんじゃないわよ! 返しなさいっ」


 嫌だね! このヘタレの俺が勇気を出して取り返したパンツを誰が返すもんかっ。


「くっそ貴様らこの儂を謀ったな。許さんじぇーーーーったいに許さんっ。お遊びはここまでじゃ九尾の小娘、そして神纏いの小僧、儂を本気で起こらせた事を後悔するのじゃな」


 変態サンタが赤い帽子を脱ぎ……脱ぎ? 早く脱げよっ。


「ぬ、ぬぬぬ、脱げん」


 頭にジャストフィットした帽子が脱げないみたいだった。帽子を脱ごうと引っ張って顔の皮膚まで引っ張られ変顔になっててワロタw


 変顔に笑い転げて桃太郎侍の悪役宜しく、変態サンタの準備が整うまで律儀に待ってしまう俺と美九音だった。




 待つ事暫く、ついに変態サンタの帽子が脱げ奴が本性を現した。


 その姿は異様。後頭部が物凄く長くてデカイ。


「あんたは……」


 変態サンタの正体を見た美九音の顔が強張った。


「知泰逃げて。今のウチらではこいつには敵わないわ。こいつは数多の妖を統べる頭領よ。その名は――」


 臨戦態勢に入ったのか御自慢の狐耳と御自慢のもふもふ尻尾を出して半妖化した美九音が名を口にしようとしたその時――。


「御主人様、御姉様」


「知くん、狐って、あんた海外に行ったんじゃないのっ!」


「行かないわよ。ねぇ猫? 何でウチが海外留学することになってんの」


「そ、それは……もしかしてあたしの早とちり?」テヘペロ(o^-')ゞ♡


「「久遠寺さん、七霧くん。無事だった? 」」


 俺と美九音、そして正体を現した変態サンタとの間に紅葉と未美、そして犬飼姉妹が割り込んだ。


「なあ美九音。俺、こいつ見た記憶があるぞ」


「でしょうね。名前を聞けばきっと思い出すわよ。こいつ妖でも結構有名な奴だから」


 超有名妖怪九尾の狐である美九音が言う程の妖だ。それ相応に名を馳せた高名な妖なんだろう。


「こいつの名は――」


「……ゴクリ」


「こいつの名は――」


 美九音は対峙した妖に牙を剥き出しにして強い視線を向けたまま、その妖の名を告げようとした。早く言えよっ!


 美九音と同様に紅葉と犬神姉妹も牙を剥き出し、対峙している妖に臨戦態勢を取っている。未美は体中の猫毛を逆立て威嚇している。


 こいつには俺も見覚えがある。異様に長い後頭部……確かこいつは……。


「こいつの名はぬr――」


 紅葉が美九音の言葉に声を被せた。


「ルチ将軍よ」


「プリンプリン物語かよっ!」


 知能指数1300のアクタ共和国の軍人政治家で同国の支配者が何で居るんだよっ! 昔にテレビで放映されてた人形劇になんて古くて誰も着いて来れねぇ―よっ!


「プリンプリン物語!? ウチは知らないけどタイトルからして何だか美味しそうで素敵なお話の予感がするね知泰」


 おい美九音っ! 緊迫した状況でお前はプリンて単語だけに喰い付くなっ! どんだけプリン好きなのお前さ? 目を爛々と輝かせながら、ぱぁ~と顔を華やかせるんじゃないっ。


「「七霧くん、こいつはぬらりひょんですよ」」


「そうこいつは多種多様、一族を持たない妖を数多束ねている最大派閥の頭領でとても頭の良い妖怪ぬらりひょんだよ、知くん。今のあたしたちじゃ束になって掛っても勝つには厳しい相手かも」


 俺やまだ九尾の力を完全に目覚めさせていない美九音なら兎も角として、人間界では妖力をどれだけ制限されているかわ分からないけれど、それでも妖としての本来の力を発揮することが出来る紅葉や未美、犬神姉妹が束になっても敵わない敵なんてマジかよ。


「くっくっく。貴様らも儂に盾突くと言うんじゃあるまいな? 犬神の小娘に妖猫の小娘よ」


「盾突くわ、御主人様を護るためなら私は死んでも構わない」


「あたしもよ。ぬらりひょん」


「「私たちも仲間を護るためなら、やれるところまでやりますよ」」


「狼、猫、それに犬たち、ありがとう一応感謝してあげる。人間の知泰を妖の事情に巻き込んで死なせない。ウチは何が何でも知泰だけは護るわ、そのためにあんたたちの力を遠慮なしに貸して貰うわよ」


 お前ら……。くそっ! 俺だってあの夏から今日まで心を入れ替えて鍛錬してきたって言うのに、まだ足りねぇーのかよ。幼馴染みすら護れずまた俺は助けられるだけなのかよっ……。


「ならば儂の最大奥義で相手してやろう、小娘たちよ。喰らえっ、最新新型大量殺人〇・トゴロチ爆弾」


 ぬらりひょんが手の平に妖力を集めて球状の物質を作り出していく。


「「不味いよ、紅葉ちゃん。あれは……」」


「くっ。分っているわ」


「あんなの使われたら、あたしたちはおろか、この辺一帯が灰燼と化しちゃうよ」


 美九音たちがそれを阻止しようとぬらりひょんに挑むも、奴が放つ妖気に弾かれ近付けない。


「くっ、このままでは。……みんなの妖力をウチに貸してっ。ウチの能力で爆発ごと異空間に飛ばすわ。出来るかどうかは分かんないけど、やるしかないわ」


「でもそれじゃ仮に成功しても、その後に戦う妖力が尽きてしまいます。久遠寺さん」


「そうですよ。それに多種の妖力を自身に取り込むなんて無茶です。下手をすれば久遠寺さんの体が壊れてしまいますよ」


「いいのよ。ウチの我が儘でみんなを巻き込んで悪いけど、ウチは知泰だけはどうしても助けたいの」


「分かってるわ御姉様。私も同じ」


「あたしだって同じよ」


「「仕方ないですね。では私たちの妖力を全て久遠寺さんに託します」」


「ありがと犬、恩に着るわ。時間が無い。あいつが爆弾を完成させる前にこっちも準備するわよ。流石のぬらりひょんも最大奥義の発動中には、こっちに攻撃は出来ないみたいだから」


 美九音。お前は一体何んでそこまでして俺なんかを助けたいんだよっ! でも美九音、お前がそうしたいように俺だってお前を……死なせたくはねぇーんだよ。


 漸く気付いたことだってあるんだ。まだ俺はそれをお前に伝えてねぇー。


「大炎魔七斬りっ。俺に力を貸しやがれっっ!」


 ……くそっ。まだお前は俺を真の主とは認めてねぇーんだな。


 美九音を中心に置いて紅葉、未美そして犬飼姉妹が手を繋ぐように肉球を重ね合い、自分たちの妖力を美九音へと注ぎだした。


「……くっ」


 妖力が流れ込み始めた途端に美九音が顔を歪めた。


「大丈夫? 久遠寺さん」


「多種族の質が違う妖力を取り入れるなんて、やはり無茶です。いくら久遠寺さんでも……」


「大……丈夫……だから」


 可愛い顔を苦痛に歪める美九音を俺はただ見ていることしかできねぇーのかよっ。


「楓、柊、御姉様を信じて。御姉様なら出来ると私は信じてる」


「「分かったよ紅葉ちゃん。私たちも全開で行きます」」


 犬飼 楓、犬飼 柊……。


「そうね。こんな無茶を出来るのは数多の妖の中でも九尾の狐だけよ。狐? 絶えなさい知くんを護るんでしょ!」


 未美、紅葉……。


「う、さ……っい。ウ、ウチを……誰だ、と思って……んのっ」


 美九音……俺はどうして無力なんだろうな? なあ答えてくれよ大炎魔。


「くっくく、完成じゃ。諸とも滅びるがよいわ」


「待ってくれっルチ将軍! 俺が集めた可愛い女の子の脱ぎ立パンツを全部やるだからこいつらは見逃してやってくれ。勿論、全てパンツは個個に分けてビニールパックに入れてある新鮮度は保障するぜ?」


「えっマジで! ……くっくく、小僧? 余り儂を嘗めるでないぞ。今更パンツ如きで揺らぐ儂ではないわ愚か者め」


 ……いや今思いっきり揺らいでたじゃねぇーか。


「喰らうが良い我が最大奥義、最新新型大量殺人〇・トゴロチ爆弾」


 ぬらりひょんの手の平で漆黒の爆弾が急速に膨張を始め、ひび割れから閃光が迸り、強烈な閃光と爆風が迸ると眩い光が周りの景色を呑み込んで行き、その暴力的な光が俺の目の前まで迫って来た。


 あゝまただ、また美九音を泣かせてしまう……あっ? でももうあいつの泣いている姿も見る事は出来ねぇーんだな俺……。


「ギリギリ間に合ったみたいね」


 光と爆風に呑まれたと思った瞬間、美九音の声が聞こえた気がした。


「美九音……お前も無事で良かった……」


 美九音の声が聞こえた後、俺の意識は突如暗転した。




 To Be Continued

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