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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
ちょっと? 九尾な女の子 特別編 クリスマススペシャル!
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変態サンタとわろえない狐 10

 美九音と俺との距離。


 小学校の頃も中学生になっても、そして少しづつ大人へとステップアップして行く準備段階の高校生になってからも今まで少しも変わっていない。


 心の距離も物理的な距離も何も変わっていない。


 物理的な距離で例えるなら、そうだな? 毎日の様に一緒に登校してもお互いに並んで歩いていても、美九音の体に触れることはなかった。


 常に俺たちの距離は一定で、並んで歩く2人の間は大よそにして10cmから20cmくらい空いている。


 物心がついた頃にはもう俺たちは出会っていて、出会ってから今まで俺たちの距離は何時も微妙な距離を保って来たし、その距離を俺は何処か心地良くも思っていたのだと思う。


 それが俺たち幼馴染みが無意識に、或いは意図的に保って来た俺たちだけの距離だ。



 環さんが待機室に入って行ったのを見送った俺と美九音と来八音ちゃんは、並んで空港のロビーを出口に向かって歩いた。


 待機室に入って行く環さんの寂しげな背中がとても印象的だった。まあ無理もねぇーか? あの娘ベッタリの環さんだから、2人の愛娘を残して日本を離れた国へ行くのは寂しいよな。


「来八音はそれちょっと違うく思うな~。パパの背中が寂しかったのは愛娘が男の子に抱擁されてうっとり顔をしてたからだと思うな? 美九音ちゃんのあれはそうね……メスの顔をだったもん」


「「ぶふっ」」`;:゛;`;・(゜ε゜ )ブッ!!


 噴いた。美九音と同時に盛大に噴いた。


「こ、来八音っ、あんたなんてことを言うのよっ」


「えぇ~だってそうだったでしょ? そう思わない? せんぱーい」


「来八音ちゃん? 俺の事を先輩って呼ぶのは、まだ気が早くね? 陽麟学園の編入試験って難しいって聞いてるぞ」


 難しい割には未美は兎も角としても、紅葉の奴は良く入れたもんだと思うけど……。ちなみに夏休みに未美が補習を受けてた件な? あれ成績が悪くて受けてたわけじゃなくて、前の学校と授業の進み具合が教科によって違ったらしくて、それで調整のために夏休みに補習を受けていたんだけどな。


「そっかな~? 来八音的にはもう陽麟学園に編入したつもりなんだけどな~……。あっ! それともやっぱり“お兄ちゃん”って呼ばれる方がいいのかな?」


 口元に右手の指先を当て含みを込めた小悪魔的な笑みを浮かべながら、ジトッとした眼をした視線を送ってくる来八音ちゃん。


「ち、ちちち、ちょっ、ちょっと来八音っあんたね? 知泰をおおおお、お“お義兄ちゃん”なんて、き、ききき、気が早いわよ」


「「えっ?」」


 美九音のきょどった物言いに俺と来八音ちゃんは、お互いの頭の上に〔?〕を浮かべて顔を見合わせた。


「来八音は今まで知泰お兄ちゃんって呼んでたよ? 美九音ちゃんも知ってるでしょ」


「あっ……あ、そう! そうだったわ。そっちのお兄ちゃんだったのね。ウチび、びっくりちゃった急に改まって「お兄ちゃん」って呼んだ方が良い? なんて来八音が聴くからウチはてっきり“お義兄ちゃん”だと思ったわよ」


 「「ぶふっ」」`;:゛;`;・(゜ε゜ )ブッ!!


 噴いた。今度は来八音ちゃんと盛大に噴いた。


「「えっ?」」


「ち、違う、これは違くて……。そのウチが、そ、その……あ、ああ、あの……もし、もしもの話だけど、将来知泰のお嫁さんになったらっそう呼ぶんだなって……あっ!?」


 おい美九音。在り得ない妄想がダダ洩れになってるぞ。


「来八音がこっちに来ている間に美九音ちゃんと知泰せんぱいって、もうそんな関係になってたのっ! 油断してたよっ!」


 言い訳をしようとして墓穴を掘った形になった美九音の顔が急速に赤らんでいく。


「いやいや変わってねぇーよ、来八音ちゃん。俺たちは何も変わってねぇーよ」


 確かに一度は美九音の動物的嫉妬から、或いは我が儘なこいつの性格から、自分の物を他の者に奪われるのは面白くない、ってことから妖界で結婚式は挙げたけどさ。


「むぅ。もううっさいなっ……バカ」


 美九音は赤らめた顔に乗る形の良い眉根と瞼を潜め、口を尖らせてそっぽを向いてしまった。


「むふぅふぅ~。もうっ我が姉ながら可愛いな~美九音ちゃんは」


「来八音っ! 怒るわよっ。それよりあんたこの後、こっちの友達とクリスマスパーティーがあるから待ち合わせているんでしょ! さっさと行きなさいよっ」


「はいはい邪魔者は消えますねぇ~お姉ちゃん。じゃあね知泰お義兄ちゃん、来年はこれまで以上に宜しくね、せんぱいっ♡ あっそうだ外から眺める空港は各行のデートスポットだよ。2人で仲良く見てくれば? じゃあ美九音ちゃん、七霧・・せんぱい後はお姉ちゃんを宜しくね♡」


 ……七霧先輩ね。きっと来八音ちゃんは姉の美九音を気遣ったのだ。ほんと些細な気遣いだけれども、俺にとって来八音ちゃんも同じ幼馴染みに違いないのだけれど、美九音と俺の距離、そして来八音ちゃんと俺との距離、俺や来八音ちゃんにとっては美九音と俺の同じ距離だったから、彼女は姉を気遣って少しだけ今の俺との距離を遠ざけたのだと思う。


 いやだってさ? これまでこいつが俺に「好き」って言ったことはあったけど、それと同じだけ「嫌い」って態度だし本気なのか冗談か、それともからかわれているのか区別が付かなかったけれども、決して自惚れるわけじゃないけれど今のこいつを見てると、こいつ俺のこと本気で好きじゃね? って思うもの。


 ほんと来八音ちゃんは姉想いの良い子だな~。良く美九音の性格を知ってるよ。


「俺たちも帰ろうぜ、美九音」


「ぅ、うん……」


 美九音と俺の距離。これからも大きくは変わらないだろう。


「ほら行くぞ美九音」


「……ぅん」/////


 2人並んで空港の玄関口へと向かい歩き出す。だけれども少しだけ何時もと違っていることがある。美九音と俺の距離、俺が差し出した手を美九音がギュッと握って歩き出す。


 相変わらず可愛気の欠片も無い俺の可愛い幼馴染みは、仏頂面の顔を真っ赤にして剥れたままそっぽを向いてはいるけれど。




 狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子 クリスマススペシャル 変態サンタとわろえない狐。




 終わり。




















 んなわけねぇーだろっ! おい変態サンタはどうした、貴様が徴収した美少女たちの温もりパンツは返さねぇーのかコラッ、イチャラブまだ~(´・ω・`) って君たちが言いたいのは十分に分っているのだよ。


「ねぇ知泰、誰と喋ってるの?」


 いやまあこれはあれだ作者の嘆きの声を代弁したまでだ。


「ところで知泰? あんたどうしてここに居るの?」


 美九音がきょとんと首を傾げてそんな事を聞いてきた。


「それは……だな」


「もしかしてウチが遠くに行っちゃうと思って、居なくなっちゃうと思って追い駆けて来てくれたの?」


 ……言えるか恥ずかしい。まあ図星だけど。


「ねぇ? その大きな袋なに? もしかしてウチへのプレゼント? ねぇねぇねぇ~ってば~」


 違うっ! これは今回頑張った俺のプレゼントだっ。


「なにあんた丸ノ内のOLみたいなこといってんの? それより……ねぇ知泰、ウチへのプレゼントまだ~?」


「ごめん、お前が言っていた物は買えなかったんだ。ほんとごめんな? 黙って驚かそうと思って黙っていたけど実は俺さ、お前が欲しがっていた高校生に強請るには値段の張り過ぎ感アリアリのプレゼントを買うためにちょっとしたバイトをしてたんだぞ? でも結局間に合わないみたいだけど……ごめんな」


 皮肉交じりに弁解した俺の謝辞に美九音は柔らかく微笑んで小さく首を振った。


 淡い光を放つ街路灯の下に浮かび上がった美九音の柔らかい笑顔は、まるで天から遣わされた天使のようだった。


 本当は大陸から来た化け狐だけど。


 美九音は胸元で指を捏ねくり回しながら、何か言い難そうに上目遣いに俺に視線を向けた。


 か、可愛い。


 お前もやろうと思えば出来るんだな? 俺は信じていたぞお前はやれば出来る子だって。


「うんん、いいの。今回は特別に許したげる。だって今さっき知泰にいっぱい貰ったから素敵なクリスマスプレゼント。凄く嬉しかった……」


 ヤバい、俺に対して何時も凶悪な美九音さんが、恥じらいながらも素直に礼の言葉を述べる姿がマジ天使に見える。


「……でもっ」


「でも?」


 天使に見えた美九音ちゃんの形相が天界から堕ちた堕天使が悪魔に成り変わった如く変化した。


「あああ、あんたがクリスマス前にウ、ウウウ、ウチをほったらかしにして、ほ……ほほ、他の女の子たちの家に遊びに行っていたことは許したげないんだからねっ」


「いやそれはバイトに関係があることだったんだよ」


「ふ~んっ。あっそ? 女の子たちの家でどんな如何わしいアルバイトをしていたのかしら? でその如何わしいアルバイトはもう終わったのかしらねっ!」


「そうだな……もう終わりにする。今ここで」


「えっ? ちょ、ちょっと、あんた何してんのっ! やぁ~だっ」


 俺は美九音が羽織っているコートを引き剥がした。空港で見た時に着ていた服装を俺は良く覚えてない。あの時はほら? 俺もいっぱいいっぱいでそこまで気が回らなかったしな。


 美九音は体のラインが良く映えるピッタリしたニットのセーターに、白いフレアミニスカートを身に着け、足元は大人びた黒いロングブーツを履いている。


「あれ? お前今日はニーソじゃねぇーの?」


「きょ、今日はパパを見送りに夜に外出する予定だったし、寒いし冷えるからストッキング履いて来た……あ、あんまりじろじろ見ないでよ、恥ずかしいから……。ってちょっとっあんた何処に手を入れようとしてんのよっ」


 俺には確認して置かなければならないことがある。その為にはスカートの中に手を入れなければいけないんだよ。


「うるせぇーな少し黙ってろっ」


 声を荒げた俺に美九音はびくっと体を竦めて凍り付いた様で、抵抗を止めて大人しくなった。


 大人しくなった美九音の腰の辺りを念入りに触って確かめている間、美九音は恐怖と不安で振るえる体を必死に抱き締め羞恥に耐えて唇を噛んでいた。


「んっ、んんっ、やっ、こ、腰撫で撫でないでっ、お腹……おへそ、んんっ、く、くすぐったいよ……」


 なにこいつ? 腰、細っそ。


 強く抱き締めれば折れてしまいそうなほど細い美九音の腰の辺りで指先が感じ取ったパンツのラインをパンスト越しに確認出来た。


「うん、まだ無事だったか」


「と、知泰? ウチ、こ、こんなところじゃヤダ……寒いし、こんな場所でしたら、す、砂が入っちゃう……誰かに見られちゃう……」


 いや誰かに見られないためにスカートを捲らずに中に手を入れて確かめたんだが?


「へっ?」


 いやだから今日のお前はお腹の辺りまでパンストを履いてるから、もし変態サンタが現れてもパンツだけを脱がして掠め取ることは至難の業だってことだ。


 長年の間、事ある事に俺の前でパンチラするもんだから嫌でも、本当に嫌だったんだが覚えてしまった。


 こいつが曜日や特定の休日によって履き分ける履くパンツアルゴリズムを俺は知り尽くしている。今回の仕事で究められ俺の卓越したパンツ修得術をもってしても無理に近い。


「いやさ? 今日はクリスマスイブだからお前って紐パン履いてるだろ? 大体イベント事が纏わり休日や学校の休みが重なる日には紐パン履いてるから心配だったんだぞ? ちなみに金曜日の夜に俺ん家に来る時は苺柄パンツを履いてくるよなお前」


「……くっ」


 変態サンタの奴に美九音の脱ぎ立パンツを奪われるんじゃねぇーかってさ。(笑)


「急にスカートの中に手を入れてごめんな? まさかこんなところでスカート捲って確かめるわけにもいかなかったし、ほ、他の男にお、お前のパンツを見られたくなかったし……ほんとごめんな? でも流石に砂が入る様なことは……って、お前は何を考えてんだよっ」


「うっさい死ねっ! だって……分からないじゃない…………ウ、ウチだって……こ、怖いけど、本当は物凄く怖いけど……心の準備なんか全然出来てないけど、もし、もしもの時の為に、お、おおお、女の子としては、そういった日には念のために準備はしてんのよっ! 知泰の鈍感っバカ死ねっカス」


 頬を真っ赤に染め、目を><←こんな風にして俺の胸に飛び込んで来たと思ったら、肩口やら顔面やら鳩尾みぞおちやらをポカポカ叩く美九音ちゃん。


 ……いやこれ叩くってレベルじゃねぇーな、もうこれ殴打の嵐。


「知泰のバカっ」


 何が美九音の勘に触ったのかさっぱり分からねぇーが殴打を続けて喚きちらしている、が……。


「美九音。少し離れてろ。どうやらお客さんが来ちまったようだ」


「えっ?」


 俺の言葉で殴打を止めた美九音は、何が起こっているのか分からない様子だ。そんな美九音の肩を抱いて、そっと俺から引き剥がした。


「よっ変態サンタ待ってたぜ」


 視界の向こうに広がる暗闇の中から、街路灯の光に照らされたサンタクロースの衣装を着た人物が不気味に姿を現す。



 To Be Continued

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