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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
第二章 にゃんと! キャットな女の子
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狐と猫 ♡ 2

こんばんは 雛仲まひるです。


さて妖猫登場で美九音のご機嫌は麗しくないようですが、知泰は今日を生き残れるのかっ!


ではどうぞf^^

 二学期が始まってから初日に続き、二日目も散々な朝を迎えたはずの俺の腕に、か細い腕が絡められている。


 そのか細い腕の持ち主が腫れ上がった瞼に視界を遮られ、盲目状態の俺をまるで親切に導いてくれている様に見えるんだろうな? 傍目はためからは。


 たぶん擦れ違う男どもの視線を釘付けにもしているだろうぜ? 俺達と同じ陽麟高等学園に通う男子生徒どもの「七霧マジ死ね」なーんっつー殺意が籠る視線を俺の敏感肌が、チクチクと感じて止まないんだが……。


 そう腕に絡む、か細い腕の持ち主は久遠寺 美九音。学園全萌え豚どもの……基、全男子生徒どもの憧れの的、いや女子生徒や先生にも受けが良いこいつは、学園全生徒の憧れの的と言っても過言じゃない。


 昨年、俺達が1年生の時に陽麟学園文化祭で執り行われた“俺の嫁コンテスト”ぶっちぎり1位の超絶美人(性格知らなけりゃ)で超絶可愛い(寝ている時だけ)俺の幼馴染だ。


 何故? てめぇ―みてぇな冴えない男が超絶美人で超可愛い美九音と腕を絡ませて、イチャイチャ登校してんのかって? 狐耳幼馴染超羨ましいだって? ちっ……。言っとくが俺はなっ! 早く今の状況から解放されたいんだがなっ。


 いいか? 俺が美九音と腕組んでいるのは好き好んでいイチャイチャバカップルみたいにしてんじゃねぇーの。


 今朝の出来事を知ってる奴には分かるだろ?


 それにだってよ幼馴染だぜ? 物心着く前から一緒に居りゃー自然と友達以上兄妹未満っつー妙なベクトルに向かって流れるもんさ! しかもこんだけベッタリくっついてりゃー腕に感じるはずのやわっこい至高の超感覚の感動が幸福感がよろこびが微々たるものってどういうことよ? 決してツルペタちゅーわけじゃねぇーよ? 美九音の名誉のために言っとくけど。それにぶっちゃけ、ちゃんと女の子って意識する時もあるよ? 極稀にだけど……。


 だけど友達以上兄妹未満っていう、ずっと前から当たり前になってる意識の中で、どうしても美九音は俺の中でノーカンになちまうんだよな? でないと来る日も来る日も繰り返される傍若無人、理不尽の嵐に耐えられるわけがねぇだろ?


「ねぇー? あんたウチに対して超失礼なこと考えてなかった?」


「いやなにも……お前の気のせいじゃね?」


 ギシッ、ミチッ。


 痛てぇよ! 急に肘関節決めんじゃねぇー。


「うそ言うなっ。あんたウチの可愛らしい胸に文句付けてたでしょ? 不憫とか残念とか貧相とかちっぱいとかさぁー」


「そこまで言ってねぇーよ! 今日はっ」


 逆にフォロー入れたんだって。


「今日は? は? へーぇ今日・・ は、なんだ? ぅんと……ほんとにこの下僕だけは失礼しちゃうわねっ! ウチのバストはバランス重視なのっ。今朝の化け猫の無駄乳とは違うんだかんねっ! ちっちゃわけじゃないんだから勘違いしないでよね? 控え目で慎ましやかなだけだからっ」


 抜かった……まんまと誘導尋問に引っ掛っちまった気分だぜ。


「知~くん♡」


 ぽよよ~ん。たゆん。


 おや? 妙な擬音と腕に魅惑の弾力を感じる様な感じない様な……。


「とーもきゅ~ん♡」


 ぽよよ~ん。ぽよよ~ん。たゆんたゆん。


 後ろから絡め取られた腕の弾力と耳元で囁かれる鼻に掛った甘ったるい声は……件の無駄乳ねこ こと、今朝俺に災いをもたらした諸悪の根源妖猫だよな? お前はおっぱいで俺の腕を圧迫するんじゃない。


 お前が動くたびに、たゆんたゆん、ぽよよ~んぽよよ~んって擬音が聞こえて来る気がするわっ!


 俺は視界を遮っている腫れ上がった瞼を指で抉じ開けた。


 今朝方とは違う髪型だけど……、今はツインテールに纏めてるが間違いねぇ。この黒い髪はそう不法侵入女。基、不法侵入妖怪。こいつめっ! また俺に災いを運んで来やがったのか? てめぇーは何処の魔女の宅急便ですかっ! あっちはちっちゃなうっかりと幸福を運んでくれるけどなっ!


 いかん悪い予感しかしやしねぇ。


「もぅ知くんって、ほんとSだね? あたしを置いて通学しちゃうなんてさ。ずっと寮の玄関で待ってたんだよ? ……!? そっか放置プレイだったんだね♡」


 違げぇーよ! っつーかお前寮に住んでたのかよっ!!


「うん。昨日からこっち来て入寮したんだよ♡ それにクラスも一緒だよ。あはっ♡ 昨日、知くん居なかったけど名簿見たから間違いないよ。これから宜しくね」


 こいつ転校生だったのか? いちいち覚えてねぇーけど通りで同級で見た覚え無いはずだわ。っつーか美九音、さっきからうるせぇーよ。ウウー、ウウー犬歯剥き出して唸りやがって。


 美九音は妖猫が俺に纏わり着いた時からこんな感じである。


「あら居たんだ狐? そんな貧弱なまでの板板・・・しい胸押し付けちゃって知くんが可哀想じゃない」


「な、なんですってっ! ウチ、板じゃないもんっ。慎ましやかだから控え目に見えるだけだもんっ! ぬ……ぬ、ぬぬぬ、脱げばすんごいんだからっ」


「うそ言わないでよ。朝取っ組み合いした時散々見たし触ったけど、これの何処が凄いのよ。ほれほれ言ってみなさいよ」


「ひゃんっ」


 無音。猫のターン効果音発生せず。


「きゃっ」


 美九音のターン。


 たゆんたゆん、ぽよよ~んぽよよ~ん。


「ほれほれ」


 猫のターン。


「ぬぐぅぐぐ」


 ここからずっと猫のターン。連鎖音開始。


 たゆんたゆん、ぽよよ~んぽよよ~ん。


「ほらほら」


 たゆんたゆん、ぽよよ~んぽよよ~ん、たゆんたゆん。


「おりゃおりゃ」


「くっ……」


「ほらほら、ええのんか~」


 たゆんたゆん、たゆ~ん。ぽよよ~んぽよよ~んぽよよ~ん。


「ほれほれ、ここがええのんか~」


 たゆんたゆん、たゆ~ん。ぽよよ~んぽよよ~んぽよよ~ん。ぱよぇ~ん、ぱよぇ~ん。


「ばたんきゅ」


 You are the winner 猫。


 七連鎖っ!? お邪魔ぷよになりてぇ~! っつーかこ、こいつ……また美九音の胸鷲掴みにして捏ねくり回しやがった! お、お前は何処の勇者だ。命が幾つ有っても足らねぇーぞ。


「よ、よくもーウチのキュートな胸をっ! 喰らえっ秘儀っポパイクロー」


「にゃぁ~! そんなに強く掴まないでよぉ~痛いじゃないっ」


 おいおいお前ら、天下の往来でなんちゅー破廉恥なことをおっぱじめてんの? ほれ言わんこっちゃないギャラリーが増えてきてんぞ。


「……ぅん、っく。よ、よくもウチのさくらんぼみたいに可愛くて敏感な[ぱきゅ~ん]を弄ってくれたわねっ。クソ猫っ」


「はぁ……あっ、くぅ。狐あんたこそ随分あたしのスイーツな[ぱきゅ~ん]を念入りに攻めてくれるじゃないっ」


「おいお前らいい加減にしとけ、そろそろ――!?」


「んっ……やぁ。と、知、泰? あんたの所為でこうなってんだから、あんたが選びなさい」


「と、知くん? あぅ……やぁん。そ、そうよはっきりしてよね」


「どっちのおっぱいが好みなのっ」


「どっちのおっぱいが好きなのっ」


 お前ら、なんちゅーことを……。寄りにも寄って通学で数多の女子生徒が通学しているところでなんちゅうことを訊いてくれてんの? ここで答えたら俺が女の子同士にキャッキャウフフさせて、その変形した胸をどちらがいいかと選ばせている変態男だぞっ! 間違いなく変態のレッテル貼られるじゃねーかっ。 


 俺を学校から、いや社会的に抹殺するつもりかよ! お前らは。


「どっちよっ」


「どっちなの?」


「えと、それは……」


「ウチを選ばなかったら殺すから」


「あたしを選ばなかったら殺すね」


 なんてこったっおお神よ! 俺に生きる選択肢をお与えください。


 くっそ俺が生き残る道はねぇ……。


 俺は神様に今ほど失望した事はないね! そうさこれまでだって俺に神様は存在しなかったさ。そうこの日この時までは……。


 しかし諦め掛けたその時、女神は俺に微笑んだのさ。


「ねぇねぇ、ニコニコおはよープリンデラックスだってぇ~」


「あっホントだ“季節限定増量中”だよ。これ」


 勝機! 神は俺を見捨てなかった。神様っさっきは失望してごめん。


 通りのコンビニでお昼を購入したと思われるOLさん達の会話を入手した俺は、一目散にダッシュしたね。


「ちょっと知泰っ? あっこらっ逃げるなっ」


「知くんたら、また放置プレイ?」


 馬鹿どもの呼び掛けを無視してコンビニに駆け込んだ俺は、ニコニコおはよーc(>ω<)ゞプリンデラックスを二個購入する。


 猫の奴が喰らい付くかどうかは定かじゃない、が。しかし間違いなく美九音は反応する。


 これで行き詰った道に活路を見出せるはずだぜ。


 二人を路上脇に引き込み買ってきたニコニコおはよーc(>ω<)ゞプリンデラックスを美九音と猫に差し出した。


 もし公衆の面前で獣耳や尻尾を出されたら敵わん。後々面倒な事になって工作に奔走するのは御免被りた。


 ほんとたまーに美九音の野郎が油断して狐耳やら尻尾やら見つかった時の言い訳っていや、こんのアマは何時も何時も「知泰の趣味でコスプレしてたげてるの。だってウチ幼馴染でしょ? こいつのストレスが溜まって性犯罪に走らないように気を付けたげてるんだよ」なぁーんて言いやがるんだよっ。


 俺のイメージ台無しじゃねぇーかってーの。そう思うだろ?


「ほれ二人共、これでも食べて落ち着け、俺にとっちゃーどっちのバストも魅力的で選べねぇよ。それにバストだけが全てじゃないだろ? お前らはそれ以外でも十分魅力的なんだし、つまらないことで争うなよ、な?」


 差し出したプリンを受け取る美九音と猫。


「うわぁー知くんありがと♡ 一生大切にするね」


 フィシュ! 猫の奴も喰い付いた。


 でも猫よ? 要冷蔵って書いてあるから、なるたけ早く食べた方が良いと思うぞ。


 どうやら猫にもプリン作戦は有効なようである。嬉しかったのか? 黒い猫耳と尻尾が姿を現していやがったぜ。路地裏に連れて来て正解だった。


 俺グッジョブ。(o^-')b


「ウチをプリン如きで懐柔するつもり? ウチは猫と違ってそんなに安い女じゃないんだかんねっ! ……まぁ知泰がどうしてもって言うなら? ウチも貰ったげもいいよ? でもね、嬉しくなんてないんだから勘違いしないでよねっ」


 姿を現した狐耳をクルクル動かし、御自慢の尻尾で忙しくパタパタ空気を払いながら、美九音は頬をプクリと孕ませた物調面で差し出したプリンを受け取った。


 顔では拗ねていてもお前の耳と尻尾は正直だな美九音よ。そんなに嬉しいのか? プリンがええのんか? チョロイぜ美九音さん。


「べ、別に嬉しくなんてないもん……」


「うそ付け耳と自慢の尻尾が喜んでるじゃねぇかっ、お前」


「ちがっ、……これは違うのっ! 喜んでないもんっ怒ってるんだからねっ! ウチをプリンなんかで懐柔しようなんて考えてる知泰にっ。それとウチを安い女だと思ってることに怒ってんだからねっ」


 はいはい分かりましたよ。でも尻尾フリフリして怒ってても説得力ないけどな。まあこれで事態は――。


「そうそう知くん? それでどっちの胸が好み? 勿論あたしだよね?」


「ウチに決まってんじゃんね? 知泰」


 一件落着……!? になってねぇー! 猫の野郎っ話をぶり返してんじゃねぇよっ。


 くそっなんの打開にもならず余計な出費しちまっただけだったか。おのれっ少しは空気読んでよね。


「さっきも言ったろ? 俺は――」


「胡麻かそうとしても駄目。ネタは上がってるよ知くん? はいこれ」


 猫が通学鞄から雑誌を一冊取り出した。俺は取り出された雑誌を見て言葉半ばで絶句したね。


 何故なら目の前には、俺の秘蔵コレクション(魅惑指定)の雑誌が突き出されたからさ。


 っつーか猫、お前何時の間にっ!?


「知くん? 雑誌のタイトル読んでみて」


“特盛りパラダイス おっぱい( ゜∀゜)o彡°がいっぱい( ゜∀゜)o彡°スペシャル 永久保存版爆乳編。来月のスペシャルは虚乳編”の文字を指差す猫。


 言えるかバーロー! 俺をそんなに殺したいの? お前は? はっ!? 殺気っ。


 殺気を感じた方には美九音が居た。恐る恐る目をやるとワナワナ体を震わせた御立腹の美九音の姿があった。


 To Be Continued

御拝読ありがとうございました><


次回は食べ盛りの高校生知泰に受難? がっ!


またのご訪問をお待ちしております^^


次回をお楽しみにっ!><b



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