表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
ちょっと? 九尾な女の子 特別編 クリスマススペシャル!
117/130

変態サンタとわろえない狐 5

 女の子の敵、変態サンタ許すまじ。真冬さんからもたらされた情報は、俺に宿る正義の炎に火を点け、一気に燃え上がらせた、燃え上がらせてしまった。


【あいす・ありす】の女の子たち全員にキスされたいとか、少しくらいならメイド服の胸元から手を突っ込んで触っても許すとか、そんな魅力的な情報に萌え上がったわけじゃねぇーよ? 本当だよ? うっかり魅力的な情報とか言っちゃってる気がするんだけども、そんなことを女の子公認とは言えども、ハレンチ行為をやらかした日にゃ俺は美九音に殺されかねねぇーからな。


「いや、いくらお礼と言ってもうちの娘たちもそこまで許すと言ってなかったと思うけど……。でもそうかパンくんはうちの娘たちのおっきなおっぱいにはお気に召されなかったようね?」


 真冬さんっ! 誰もそんなことは言っていないっ。あと俺の呼び方がパンくんに戻っているぞ。


「そうだよね何だかんだでパンくんってば美九音ちゃんが一番だもんね? 美九音ちゃんの小さいおっぱいの方が本当は好きなんだよね? 良いんだよ変態サンタの方は私がなんとか解決しておくから、パンくんは美九音ちゃんを追い駆けてあげなさい」


「真冬さん、勘違いして貰っては困ります。正直に言うと言ってしまうと俺は確かに美九音が大事です。でも……」


 何故だか俺にも分からない。何故こんなにも、あのちっぱい兵器美九音ちゃんのことが心配で気になるのか分からない、……けれど。


「やはり一度受けた仕事だから?」


「違いますよ真冬さん」


 だから勘違いするな、と何度言えば……。


「んん? 勘違い? 他にどんなことを勘違いしているというの?」


「俺は確かに美九音を大切な奴だと思っています。だけど……だけどそれはあいつのちっぱいが好みなんじゃないっ」


「つまりは人を好きになる、ってことは見た目じゃない、と言いたいのかな? 何だかんだで美九音ちゃんをちゃんと見てるんだね、君は」


 あゝ、見てますよ。俺はずっとあいつを見て来てる。だが……。


「おっきいおっぱいの方が好きに決まっているじゃないですかっ!」


 まったく……誤解しないで頂きたい。


「……パンくん、あんたという奴は」


「御主人様……」


「知くん最低だぁ!」


 あれ? 真冬さんと紅葉がじっとり冷たい湿り気を帯びた目をしている。未美からは最低というお言葉を頂きました。


 でも未美よ。お前は何故ちょっと嬉しそうなんだよ? あゝそうかお前ってば胸大きいもんな。


 そんなことより今は美九音の追跡と変態サンタの追跡をしなくちゃいけない。


 得てして急ぎの大切なことって重なって起きるもんだよな? どちらか一つを選べなんて出来るわけもねぇーし、こんな時体が一つしかない事に歯痒さを感じるよな。


 さてどうするかな? 美九音とは連絡着かねぇーし……んん? 連絡ね。


 俺は先程、美九音に着拒されていた知り、思わず地面に叩き付けそうになった携帯にとある番号を入力して行く。


 俺にとっはあまり頼りたくはない連絡先ではあるが、そうも言ってられない事態は急を要する。意を決して入力した番号を見詰めたまま通話ボタンを押した。


 二回、三回と携帯の向こうで呼び出し音が鳴り出し、暫くして俺の意中の相手が受話器を取った。


「はい。七霧でございます」


 全てをスピーディーに解決するには七霧の力をフルに活用すればいい。


「あゝ俺だ俺、今屋敷には七霧 飛鳥か源柳斎・スカイウォーカー・与田が居ると思うが、急ぎ電話に出してくれないか? 少し困った事態に陥っているんだ」


「失礼ですが、どちらの俺様でしょうか?」


「俺だよ俺っ! 知h――」


 ツゥーツゥーツッー……。


「あっ」


 電話切られたっっ! 七霧 知泰だと名乗ろうとしたら電話切られた。


「知くん……今のじゃオレオレ詐欺だよ。あたしたちも強力してあげるから頑張ろうね」


「そうね。御姉様の足取りは私と猫で追う、御主人様は変態サンタを追跡して」


「知くんは必ず女の敵、変態サンタを捕まえてね」


「御主人様は事件を解決して、一刻も早く御姉様のところに行ってあげて」


「未美、紅葉……お前ら」


 何だかんだ言ってお前らも美九音のことを気に掛けてくれているんだな。


「ふたりとも、ありがとうな」


「お礼なんてそんな……。ああもうっああもうっ! あたしたち今回は邪魔もしない代わりに狐に協力もしないつもりでいたのに恋敵だし……、でもなんでこうなっちゃうのよっ」


 未美はツインテールに纏めた髪の毛を掻き毟って発狂している。


「そうね、でも仕方ない。御姉様は恋敵だけど、私には大切な恩人。それに御主人様が困っているのを放っておけないわ、猫」


「……まあそういうことだから、さっさと始めましょうよ」


 美九音が恋敵? お前ら何言ってんの? あいつのあれは恋とかじゃなくて、ほらあれだろ? 動物的な習性? 子供じみた独占欲? 他の誰かに自分のえさを取られたくないってやつだろ? それにお前らだって俺が惚れる要因がねぇーし、何故お前らが俺に告白したのか分からねぇーよ。


 あゝそうか、お前らも美九音と同じか、獣系の妖だし習性ってやつだな。ほら夏休みが始まって直ぐに海に行った時に俺、砂浜に埋められたし、それも波打ち際に。


 波音ちゃんが言ってたもん。動物は食べ切れなかった食料を穴を掘って埋めて隠すって、他の奴らに取られない様に隠す習性があるって。


「ああもうっ知くんって、ほんと鈍感っ」


「猫、御主人様のことを嘆いても仕方ない。それより私たちは私たちの仕事をする。御主人様も」


「お、おう」


 かくして俺たちは役割を分担し事に当たることになった。



 俺は今、サンタクロースの衣装に身を纏い、クリスマスムード一色に染まった街中を【あいす・ありす】の店員番号018、あやかし一本だたらちゃんこと一本木いっぽんぎ 果南かなちゃんの住むアパートに向かっている。


 一本だたらの“だたら”とはタタラ師(鍛冶師)からの由来らしい。今度、一度果南ちゃんに大炎魔を手入れして貰おう。


 後手後手やっている内に、すっかり戸張は降り辺りは薄暗く、街路樹は色とりどりの光の実を付けている。


 恋人たちが街の広場にある一際大きなもみの木のオブジェを飾ったクリスマスツリーを仲睦まじく肩を寄せ合いながら見上げて、顔を綻ばせている光景が視界の端を掠めて流れて行く。


 ……ちっ! リア充はみんな死ねばいいのに。


 賑やかな街の大通りから一本道を外れれば、昼間は簡素な風景が広がる長閑な田舎道へと繋がっている。


 先程までの色とりどりの光の波から一転して、すっかり暗くなった場所の夜空は星々が輝く光の海が広がっている。


「あっ知泰くんやっと来た」


 果南ちゃんは涙を浮かべてアパートの外灯の下で俺を待っていた。


「で被害は」


「えと……バイト前に洗濯物を取り込もうとしたら、例のサンタがベランダに居て……怖かった。ひ、被害は干してあったパンツ1枚だけだよ」


「良かった……」


「よ、良くない……よ?」


「いや果南ちゃんに何も無くて、無事で良かったって思って。パンツは替えが利くけれど、果南ちゃんに万が一の事があれば、取り返しが利かねぇーからな」


「と、知泰くん……♡」


 外灯の明かりの中に何故か頬を朱色に染めた果南ちゃんを照らした。


「で変態サンタはどっちに逃げたんだ? あと被害にあったパンツってどんなのだった?」


「え、えとね、としてあったパンツを袋に入れた後、サンタはこの道を右方向に逃げて行った」


 右方向というと東か。


 果南ちゃんが住んでいるアパートの道を挟んだ向かいに田舎造りの一軒家が立っている。大体に置いて敷地に余裕のある田舎では家の玄関というのは南側に作られている。いわゆる南玄関ってやつ。


 したがって一軒家から見て果南ちゃんが住むアパートは南の方角に当たるわけで、アパートから出た変態サンタは右に曲がった、つまりは東の方角に向かった。


 果南ちゃん家の東側に住んでいる【あいす・ありす】の店員をこれまで蓄えてきた情報から割り出して行く。


 この先には確か……雪女の真冬さんの従妹の雨降らしちゃんこと雨宮あまみや 紫雨しぐれちゃん、店員番号027番が住んでいる家があったはずだ。 


 まあ俺だって、ただ女の子の家に行ってただけじゃねぇーんだよ。これまで何もしていなかったわけじゃないんだぜ。


「ところで果南ちゃん、被害にあったパンツってどんなの? 出来れば同じ物か似た物を見せて欲しいんだけど」


「えっ? それ必要なことなの?」


「うん必要。犯人捕まえた時に検証するために必要なことだろ? 万が一にも冤罪かけるわけにはいかないし」


「……だ、だよね~。ちょっと待ってて色違いの同じ物があったと思うから持って来るね」


 果南ちゃんがアパートの鉄制の古びた階段を音を立てて昇って行き、暫くしてまた派手な音を立てて階段を下りて戻って来て、果南ちゃんは固く握られた手を差し出した。


「はいこれ……」


 顔を真っ赤にした果南ちゃんの手の中に、しっかり握られた小さな黄色い布切れを確認した。


「その手の中に握ってるのと同じやつ?」


「い、色違い……ピンクのやつ」


「良く見せて貰ってもいいかな?」


「えっ? えっ、えぇーーーーっ! 良く見せるなきゃダメなの?」


 出来れば特徴を覚えて置きたいところなので、見せて貰いたい。言っておくが他に意図はねぇーからなっ!


 俺の言葉に戸惑いを見せる果南ちゃんは、差し出した手を胸元に引っ込め両手で固く握り締め、耳まで真っ赤にして視線を逸らした。


「う……ん。分かった……でもあんまり見ないで……ね?」


 数瞬の思案の後に、意を決してそっとパンツを握り締めた手を差し出してくれた。果南ちゃんの手の平に小さく丸まった黄色い布切れ……もとい、御パンツ様を俺は手に持ち特徴を記憶していく。


 果南ちゃんの手の中に握られていたからだろうか、黄色い御パンツ様は人肌の温もりを持っていて、妙にリアルな温もりがエロい。


 俺が果南ちゃんから預かった御パンツ様をめつめつ、隅々まで特徴を記憶していると果南ちゃんは羞恥に振るえてこう言ったのさ。


「そ、それね? さっきまで履いてたやつだから……、そ、その……に、匂い嗅がないでね?」


 ……この御パンツ様の妙にリアルな温もりは本物だったのかっ! っつーか俺は脱ぎ立て御パンツ様といえども、匂いなんて嗅がねぇーよ! それも脱ぎ立て御パンツ様の持ち主である本人の前でって、どんだけ勇者なの! 


「も、もういいですか?」


「うん、参考になったよ、アリガタウ」


 羞恥のあまり涙目になっている果南ちゃんの頭に手を置いて優しく撫で、観察し終わった果南ちゃんの脱ぎ立てパンツを、彼女の目に触れないようにそっとポケットの中に捻じ込んだ。


 表現的に誤解の無い様に言っておく。言うまでもねぇーと思うが、常識的に考えてみてくれれば分かると思う。


 恥ずかしさを我慢してくれた女の子を気遣う俺のささやかな労りの気持ちを察してくれればいいんだよ。


 この盗まれた同じ色違いのパンツと、俺が参考までに拝見した脱ぎ立て御パン! なんだか某パン職人を目指す少年マンガみたいな言い方になっちまったけど、恥ずかしさを我慢してわざわざ脱いでまで俺に手渡してくれた彼女が今、この忌々しい記憶となってしまったパンツを直視出来ると思うか?


 否! だからこそ俺は彼女の目に触れぬように、そっとポケットに仕舞ったのさ。何時か彼女が嫌な記憶を忘れて無かったことにするために。


 勿論、俺のポケットに苦い想い出と伴にな。



 To Be Continued

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ