第41話 開幕あるいは幕間(上)
長かったので途中で切りました。
中途半端でごめんなさいmm
side:キヨシ
いざ決戦!
とはいかなかった。その前に魔王が〈スワ首長国連邦〉に仕掛けてきたんだ。
魔王も回復に時間がいるはずだし、俺は俺で思うところがあったんで色々準備していたんだけど…
どうも考えが甘かったみたいだ。
攻めてきたのは魔王本体じゃなく魔王が手なずけた魔物の混合軍で、魔族一体が率いていたらしい。その魔族が“魔王軍”を名乗ったそうだ。幸い…と言っていいのかはわからないけど、ちょうどトキ達《黄李の楯》の他十数人の冒険者が依頼でスワ連邦に逗留していたので、連邦軍と協力してどうにか迎撃できたらしい。俺も一応トキを通して攻撃してはいたんだけど、視えないので効果のほどは解らなかった。
さらに、ちょうど協力要請のためにスワ連邦へ向かっていた勇者一行も急いで合流して、魔族は逃したものの勝利をおさめることができた。
俺の助力を除けば、この辺の展開は『トワノウタ』と同じだから、大まかな流れは変わっていないみたいだ。まあ、魔王の目的も物語通りと考えていていいんだろうな。
となると、次は―――
side:勇者
俺たちは〈スワ首長国連邦〉に向かっていた。
スワ連邦といえばロミューラ山脈の麓、ドワーフ族が治める国で鍛冶と武具、そして力を重んじる国だ。
魔王討伐のためにはドワーフ製の付与武具は欠かせない…らしい。ま、魔力が計測器の限界を振り切ってるぐらいじゃあ魔王に歯が立たないってことか。
…にしても静かだ。空気も重い。
スロキアを出てからというものみんな最低限のことしかしゃべらない。
それというのも、あのキヨシとかいう霊樹が変なことを言ったからだ。
「もしかすると誰かの筋書によって自分が動いているのかもしれない」口に出しこそしないが、みんな思っていることは一緒だろう。俺自身、一人で不寝番しているときは考え込んでしまいそうになる。普通なら一笑に付すんだろうが…アリアさんがヤツのシュベリエ陰謀説を否定しないことが引っかかる。アリアさんは嘘を吐かない、だから奴の話が本当なんじゃないかと思ってしまう。
「――んっ! みんな転声機 起動れて。」
暗い沈黙の中ユナがハッとして声を上げた。どうやら念話による通信のようで、登録した相手の念話を転送して発音する魔具を起動するようにみんなに言う。
促されるままに起動すれば、切羽詰まった声が響いた。
=―――者協会スワ支部。緊急事態宣言、救援要請を致します!ただ今“魔王軍”を名乗る魔人および魔物と交戦中!!繰り返します。こちら、冒険者協会―――=
「“魔王軍”だって!?」
「スワ支部って言ったわよ!」
「緊急事態宣言…国家間の諍いにすらこだわっている余裕がないとは」
「聞いての通りだ。スワにはどっちにしろ行くんだ、急ごう!!」
目的地からだっただけにみんなの混乱も大きいが、そんな場合じゃないだろう。カミオとアリアさんはすでに肉体強化の印を展開している。
……あぁ、くそっ。これも筋書だってか!?
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国境の関所は無人だった。俺たちはそのままスワに入って奥へ進んだ。
強化された体はヒトの範疇を超えた速度で走り、流れる景色に違和感を覚える。耳が遠く戦闘の音を拾う、近い。カミオと視線を交わした直後、視界が開け金属音と怒声が響く。
何百何千という魔物、それを倒し食い止めるドワーフたち。中には連邦軍でない鍛冶師のような人も、若干名だがドワーフでない冒険者もいた。
「大丈夫ですか?」
横からアリアさんの声が掛かった。
まともに大規模戦闘を見たことのない俺は気圧されて、つい立ち止まってしまっていた。
「私たちがここで戦ったても周囲を巻き込むでしょう。行くならば最前線へ、退くなら今です。」
相変わらず厳しい言葉をくれる、アリアさんの目線の先には派手な閃光や煙が上がっている。前線では魔族もいるのかもしれない。
「退く余裕なんてない。行こう!」
※緊急事態宣言・・・冒険者協会による冒険者たちへの警告あるいは要請。協会、又は各国の存亡にかかわる危機においてのみ出される。
→各支部から出された場合、国が国籍・種族関係なく援軍を要請しているということになる。