第32話 結局のところ(改)
おまたせしました!!
体育祭の準備にかまけて(?)ました、スミマセン。
では、どうぞ。
side:キヨシ
いやあ~、紅茶がおいしいなぁ…
でも、やっぱりレモンか、せめて砂糖がほしいなぁ。…あ俺、前世じゃレモンティー好きだっt
「申し訳ありませんでした!!」
俺の現実逃避もここまでのようだ。
俺の前には土下座するおっさん。本人とケントさん曰く、〈冒険者協会テクノリア支部〉の支部長さんらしいけど、頭の寂しさといい疲れた雰囲気といいなかなか苦労してそうだ。
というか土下座ってセカイスラコエルンデスネエ
っと、またしても現実逃避に向かうとこだった。
ちなみに俺が今いるのは学院の応接室。なんで、指名手配されてたはずの俺がこんなとこでそんなお偉いさんに謝罪されてんのかというと
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遡ること数十分前。
俺は門番(治安隊という有志の方々だそうだ)二人に半ば連行される形で関所に併設されたある場所に連れて行かれた。
連れて行かれたのは”個別対応室”という名の…明らかな取調室だ。扉の のぞき穴と天井近くの小窓以外に窓はなく、それぞれに鉄格子がかかっている。…てか、誰がそんなとこから逃げるんだ。
「誰も逃げやしないわよ。あれは威圧目的なの。」
俺の考えを読んだかのように答えたのは、机の向かい側に座るバニーさん…じゃなかった、兎系獣人族の女のひと。門番二人の話によれば実力社会の治安隊で女だてらに中隊長まで上りつめた強者だとか。
ふんわり系美人なのに、出てるオーラは鋭い。なるほど、たしかに強そうだけど読心術の心得はさすがにないだろうし、
「顔に出てましたか?」
「いいえ、口に出てたわよ。」
あちゃー。俺もなかなかまぬけだな。
気まずさに頬を掻いていたら、微笑んでいた中隊長さんの表情が真剣なものに変わる。
「…随分落ち着いているのね。キミには協会本部からの指名手配が出ているのよ?わかってる? はあ、よっぽどのことじゃなきゃ冒険者が協会から指名手配になったりしないのに…何をしたの。」
いや、だから俺が知りたいんだけど…
心当たりといえば、本部の職員さんに〈碧風式〉を見られて口止めしたことぐらいか。でも登録表記は嘘じゃないし、そんなんで指名手配されるのか?
「職員に口止めしたぐらいしか、心当たりはないんですが…」
「え、口止め? 何の? 脅したりしてないわよね?」
「なんで脅すんですか。〈碧風式〉を使ってるのを見られたんで、ココで発表するまで公にしないでくれって言ったんですよ。」
「うーん、じゃあ、違うわね。協会には冒険者個人の利益をできる限り守るという義務があるもの。」
おお、初耳。 でも、じゃあ、なおさらなんでなんだ?
――ドタドタドタ・・・――
ん?なんか騒がしいな。足音か?
――バタンッ――
「キヨシ殿、申し訳ありませんでした!!」
「!!?」
「ッ、どうしたんですか!?支部長殿、今は取り調べ中「それです!!」
それってどれだ!? てか、誰だ、このハg…男性は。
中隊長さんは”支部長”って呼んでたけど
「セリア中隊長、その指名手配は手違いなのです。より詳しく申せば、『犯罪者及び要注意人物手配書』ではなく『情報急募依頼書』のはずだったのです。協力を申し込むべく探していた人物に対しこのような手違いを…。キヨシ殿、話し合の場を設けましたので御足労願えますか?
と、いうわけなので中隊長殿」
「手違いならば、否やはありません。キヨシさんも、強く言ってごめんなさいね。」
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てなわけで今に至るんだが…わかってもらえたかな。
要するに、協会は 俺が新人にしてはかなり強そうなので『情報急募依頼書』という悪事をしてない人(行方不明者など)の手配書を出したつもりが不審人物用の『犯罪者及び要注意人物手配書』を出してしまっていた、というようなことらしい。
で、謝りながらも協会の要望を伝えてくる支部長さんの話によれば、協会は”紅の教授”たるケントさんとその契約者の俺を、囲い込むとはいかないまでも協力体制にしたいらしい。
同席しているケントさんにも聞いたが、実際 多くの高ランク冒険者達は協会に勤めたり、協力宣言をしているらしい。
でも霊樹って基本的にどこの組織にも依らないからなあ。エルフにしたって向こうが進行してるだけだし。
とりあえず、非敵対誓約でもしとくか? 俺、一応スロキアの相談役的立場だし…