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えっ!?冒険できないんですか?  作者: 虹彩
冒険者になって~〈学術祭〉と〈碧風式〉~
32/54

第29話 〈学術祭〉で〈碧風式〉の勧め

キヨシとケント(+スー)の発表ですが、オール観客視点です。

ほとんど閑話ですけど読まないと次話が少々わかりにくいかもしれません。

 

side:とある生徒(高等部二年)


『これより学術発表大会 教員・招待客の部 を始めます。』

   パチパチパチ・・・


普段の年なら専門的な話が多く、生徒が少なくなる午後のステージだけど今年は高等部三年を筆頭にかなりの人数が残っている。なんでも”新しい魔術”が発表されるという噂で、それならば是非見たいという子が多いんだ。かく言うボクもその一人だけど…


『1番は ケント様、キヨシ様による【霊樹の性質】及び【新形式魔術〈碧風式〉の勧め】です。障壁を貼り直しますので、皆様、少々お下がりください。』


まさか、最初に来るとはね。ラッキーだけど。

出て来たのは赤毛のエルフと黒髪の人族。両方男だな、たぶん。それに舞台の端に控えてるのが…17で初等部に入ったとかいう”守り人”だ。なんでいるんだろう?


   ブゥゥゥン――

「どうやら、準備ができたようなので始めさせて頂きます。改めまして〈大地の氏族〉ケントと申します。こちらが―――」


「霊樹 分霊のキヨシです。ケントと契約しております。まずは〈碧風式魔術〉の紹介の前に私たち”霊樹”の性質を私の現状も含めて紹介いたします。」


エルフのケントさんは魔道具の知識があるらしく起動音を聞くとすぐに話を始めた。後を引きついた黒髪の男は霊樹 分霊と言ったけど、透けていないどころか拡声端末(マイク)を持っているじゃあないか。どういう事なんだ?


     ・

     ・

     ・


「―――です。また霊樹の性質から理論上、無詠唱での行使が可能です。」


キヨシさんは契約の〈魔力の糸(パス)〉を利用して、分霊を”霊樹の森”の外に出しているらしい。目標は単独で世界をめぐる事で今回の〈碧風式魔術〉もその一環で考えたと言っていた。

にしても、無詠唱が理論上とはいえ可能なんて凄い魔術だな。…まあ、ボク的には威力が伴わなきゃ意味がないとは思うな。[コード]ってのも面倒そうだし。


「では実演に移ります。助手を引き受けてくださったのは初等部のスー・エイリアさんです。」


ケントさんの紹介で中央にでてくるエイリアさん。彼女は助手だったのか。さっき、〈結印魔術〉のイメージが強いと難しいって言ってたから初等部生が助手なのかも。


「まずは媒体を使った方法です。今回は杖に加工した枝です。」


「範囲・対象指定――。 出力1/100――。 コード[000090-arr] 発動。」


エイリアさんが詠唱(?)をして媒体の杖を振ると魔力文字で[コード]の数字と記号が出てきた。[コード]は「発動」という言葉で水の矢になって木製の的に当たった。威力は微妙だけど…全力なら100本打てるというう事だからどうだろう?


「次は契約で〈魔力の糸(パス)〉を作る方法です。今日は魔術学院謹製の〈簡易契約パッチ〉を使います。」


そういって自分とエリシアさんにパッチをはるキヨシさん。〈簡易契約パッチ〉は数年前にある学生グループが作った開発した商品で2ハンという限られた時間だけ魔力や念話のやり取りといった契約の機能を使える魔道具だ。授業中のおしゃべりによく使われてる。


杖を置いたエイリアさんが詠唱無しで腕を上げると[コード]が出てくる。


    おおぉぉ


「出力1/100――。 発動。」


出力指定と「発動」言葉は必要らしく、後から言うと[コード]が今度は大きめの水球になって的にぶつかった。


「では、最後にキヨシが無詠唱を実演します。今のところ霊樹である彼しかできません。」


理論上というのは、ボクらヒト系種族が、ってことだったのか?

とはいえ、これで〈碧風式魔術〉の真価がわかるといっても過言じゃないよね。


ケントさんとエイリアさんが少し下がってキヨシさんだけが中央で3つの的と対峙するかたちになった。

スッとキヨシさんが手を上げると、3つの[コード]が出てきた。ヨコ3列に並んだそれはキヨシさんがパチンと指を鳴らすと炎の矢になって飛び、的を灰へと変えた。


キヨシさんが「以上【新形式魔術〈碧風式〉の勧め】でした!」と拡声端末(マイク)を使わずに言うと、後ろの2人が前にでてきて、最後は3人並んで演目を終えた舞台役者のように一礼をして去って行った。


『……えー、ケント様、キヨシ様 ありがとうございます。助手は初等部一年のエリシアさんでした。 続きまして2番―――』


アナウンスの先生も驚いていたようだ。

なんだか初めからクライマックスみたいな盛り上がりだよね。

あーあ、次の人カワイソウ。前が凄すぎるうえに、観客半分くらい帰っちゃうもん。

ボクみたいに、ね。






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