第21話 冒険者登録したけど
なんか、冒険者になってしまいました。もっと後の予定だったのに・・・
side:キヨシ
……27、28、29、30!よしっ依頼完了。倍の数出て来たけど、よくあるこt
「ちょ、ちょっと、今の何したんですかっ? と、というか、あなた何なんですかあっ?」
なんだっ!?
振り返ったそこには見覚えのあるメガネっ娘(冒険者風装備)。えーっと、確かぁ…協会本部の受付さん!!
そう。俺は今日、シンさんやケントさん、トキの勧めもあって念願の冒険者になったんだ。なんか、冒険者カードは身分証明書にも財布(クレジットカード?)にもなる優れもので、旧文明の遺物を流用してんだって。
協会には開館時間に合わせ行ったんだけど、人がそこそこいて――30分くらいかな?登録用紙に記入しながら待ってた。そんで、俺の番になって案内されたのが眼鏡かけたの女の子んとこだった。
必須事項しか書かなかったわりにすんなり冒険者カード貰えたからそのまま近場の依頼を受けて、今に至るわけなんだが
……どうしたもんかなぁ
side:???(受付さん)
うーん。ダイジョブなんですかね、あの子。
草わけいって…随分なトコ通ります。尾行くわたしの身にもなってほしいデス。まぁ、仕事なので気付いてもらっては困るのですが…。
あ、申し遅れました。わたし、冒険者協会勤務の冒険者(通称:専属)のメリッサです。わたしたち"専属"は受け付、事務などはもちろん今のような新人くんたちや不審な動きをしている冒険者の監視もしてます。
そして今、わたしが尾行しているのは"不審"な"新人"のキヨシくんです。何が不審って、まず紹介者があの”紅の教授”だったんデス!!見た目12,3歳の人族の少年の紹介者がですヨ! しかも、必須事項の名前、出身地、戦闘スタイルしか書いてないんですヨ。名前も家名無しの"キヨシ"だけですし。
上もアヤシイと思ったらしく、「依頼遂行の様子を見てこい」と指令が下りました。
さてさて、戦ってくれないと困るんですが……っと、討伐対象の〈小鬼〉が出てきたようです。スタイルの記載は『魔術?』のみ…いちおう、スグ出れるよ―にはしときますか。
「10匹か、よしっ。…ロック、…パワー、” 風術 型ノ刃 五連 ”」
ふーずつ?ヤイバ? 変わった発動法だけど、威力は下位ぐらいかな? 報告はするけど、『警戒より利用すべき』っと。
あ、もう全部やっちゃいましたか。…あ、また出ました。
「おぉ丁度のこり分いるじゃん。今度はこんなんどーだ。 狙うは敵(的)、我示す力を以て討て、”水術 型ノ矢 五連 ”」
詠唱を変えたっ?やっぱ『警戒す―――あっまた来たです。今度は15、平気かな?
「あぁぁぁぁ、詠唱めんど。」
シュバッ、スパッ、グシャ・・・・・・
えっ、えっ、えぇぇぇ―――。
「ちょ、ちょっと、今の何したんですかっ? と、というか、あなた何なんですかあっ?」
「――――あっ、えー、はい魔術です。」
あ、見つかりました。でもまぁ良いですこの際。
ちょっと驚いて振り返った彼はめんどくさそうな顔をしてこう言います。ゆるして、みたいな。無論、許しません。
追及の結果、『彼が霊樹で、約130才で、”紅の教授”の契約者で弟子で共同研究者であり、ここで使ってた魔法は〈学術祭〉で発表するものだから勝手に公開されると困る』ということがわかりました。
……どう報告しましょう?
””内は日本語ですよ。